追想の山々1168  up-date 2001.10.30


白山(御前峰・2702m大汝峰2684mm)〜仏舎利山(2342m)〜別山(2399m) 
登頂日2000.07.03-04
7/3 別当出合(7.50)−−−観光新道コース−−−室堂(11.15-40)−−−御前峰−−−池巡り−−−大汝峰−−−室堂(14.15)・・・山小屋泊
7/4 室堂(4.00)−−−御前峰−−−室堂(5.30)−−−南竜(6.35)−−−油坂の頭(7.40)−−―仏舎利山―−−別山(9.00-25)−−−チブリ尾根コース−−−市ノ瀬(12.30)−−−別出合(13.30)
所要時間  1日目 6時間25分 2日目 9時間30分**** 白山 一等三角点
別山 二等三角点
花に巡り会う山
コバルトブルーの雪解け水をたたえた油池と大汝峰


初回登頂は1990.6.23、それから10年ぶり、二度目の白山。

山開き(7月1日)情報によると、春先の大雪で雪解けが遅れているという。そのとおりかなり緊張する場面も何回かあった。

深夜自宅を発って別当出合到着が午前7時。室堂へは観光新道コースをとった。照り付ける太陽にたちまち全身から汗が吹き出す。標高が上がってくると、先ず目にした花がオオバミズホウズキ、ついでクモマニガナ、マイヅルソウ、ニッコウキスゲなど次々と高山の花が歓迎してくれる。
白山と言えば屈指の花の山。「ハクサン」のつく高山植物は数多い。ハクサンのつく花に幾つ出合えるのか、それも楽しみだ。
代表格のハクサンチドリも盛りである。

好天の下、明日登頂予定の別山が大きな山体を競り上げてきた。室堂までは標高差1200m、途中スケッチなどをして3時間25分の登りだった。
室堂へ荷物を置いて、主峰「御前峰」へ向かう。登拝道の両側にはクロユリの花がいっせいに咲き競い、期待通りでわくわくする。イワツメクサ、イワウメ、アオノツガザクラ・・・・・花の応援を背に受けて御前峰山頂へ達すれば、眼前に白山三峰の剣ケ峰、大汝峰が険しくそそり立ち、眼下にはコバルトブルー、エメラルドグリーンの水面が目にしみる油池、紺屋ケ池と、それを取り囲む豊富な残雪。
池を巡り、大汝峰のピークに立ってから室堂へ戻って一泊。

翌朝、ご来光を期待して再び御前峰まで登ったが、雲に遮られてその一瞬を目にすることはできなかった。
室堂を後にトンビ岩コースから南竜へ下る。一面の残雪でコース不明確だったが、視界は良好、感を働かせてトンビ岩までは無駄なく進む。その後南竜まで落ち込むような急雪渓に突き当たる。アイゼンは持っていない。引き返すべきだった。果敢にも(無謀、蛮勇)ノーアイゼンで雪渓に入ってしまった。滑ったらお陀仏。普段の年ならこんな状況ではないはずだ。
キックを効かせて足場を確保しながら、蟻の這うような一歩一歩。慎重な下降をつづける。雪渓の真ん中で何度も立ち往生したが、少しでも安全度のありそうなコースを選び、ほうほうの体で下りきった。振り仰ぐと、ノーアイゼンでよくも下ってきたものと身震いを感じた。
南竜荘の管理人も「よく下った」と言っていたが、きっと「馬鹿か」と思っていたにちがいない。「あれを下ったのなら、ここから別山への途中にある油坂の雪渓なんか問題ないですよ」とお墨付きをもらってしまった。

南竜から油坂の急登はきつかったが、案じた雪渓は、下りと違ってキックが楽だし、問題なく通過する。油坂の頭で別山がその山頂を現した。
この先は、まだ何回か急斜面の雪渓を横断しなくてはならないが、それほどの緊張はない。まさに雲上の楽園を行く思いである。雪渓の雪解け後には、ハクサンイチゲ、ハクサンコザクラ、ハクサンボウフウEtc.
花季には早かったが、コバイケイソウの大群生地が印象に残った。花や、雪渓の景観に目を奪われながら、小さなコブをいくつか越えて行けば、やがて御舎利山に到着、別山は目の前である。雪渓でかなり体力を消耗しているために疲労感が大きい。目の前の別山まで15分、足が重かったがここもすばらしい山頂だった。
これまでに登った飛越の数々の山が目に飛ごこんできた。はやり残雪豊かな白山の雄姿が、とりわけ目を引く。

御舎利山まで戻り、長いチブリ尾根を市ノ瀬に向けって下った。本当に長い長い尾根だった。
笹原などの草原帯から、やがて樹林へと入って行くが、この樹林がまた見事だった。白山神社の社域ということで、無粋な杉、桧などの植林なんかは勿論なし。落葉自然林のままで保たれている。ダケカンバの巨木が森を支配するかのように生い茂り、さらに下って行くとブナ巨木林へと変って主役が交代する。
登るにしても下るにしても、体力を要するコースだが、実にすばらしい。
山頂から歩きとおして3時間、ようやく市ノ瀬へ下山した。

ところがこれから自動車を止めてある別当出合まで、標高差400メートルの車道を上るというアルバイトが残っている。拾ってくれる自動車がないか期待したが、歩いてあと20分程のところで、やっと拾われたときはほっとした。