追想の山々1169  up-date 2001.10.31


ニ王子岳(1420m) 登頂日1992.06.27 3人パーテイー
東京(23.30)===新潟IC===ニ王子神社(4.45-6.50)−−−一本杉(7.25)−−−一王子神社(7.50-8.00)−−−定高山独標(8.35)−−−油こぼし(9.30-40)−−−ニ王子岳(10.15-11.10)−−−油こぼし(11.45)−−−定高山(12.15)−−−一王子神社(12.40)−−−ニ王子神社(13.20)===祝瓶山登山口へ
所要時間 6時間30分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
新発田市郊外からのニ王子岳
標高差約1100メートル。

山へでかける日は、ある種の高揚感=ハイな心理状態になるのがわかる。400キ ロ以上の道のりを、深夜一人で車を走らせる負担も苦にはならない。
夕方5時帰宅、洗腸、夕食、8時には就寝。11時に起きて深夜の関越自動車道をひた走り、新潟西ICから国道7号線を新発田市へ向う。
夏至直後の3時半、早くも夜がしらじらと明け始める。新発田市郊外にさしかかると、広々とした田園地帯を前景に、高度感には不足するが、ゆったりと稜線を横たえ山が目に入る。ひと目で二王子岳であることがわかった。
新発田市から登山口の二王子神社まで、道が分からなくて少し迷ったものの、予定より早く5時前に到着した。Nクラブのメンバー二人と合流。
青空が大きく広がっている。早く歩き始めたくて落ち着かない。待ち合わせは7時だったから、寝入っている二人を 起こすのも気の毒で手持ち無沙汰に待つ。

出発したのは6時50分だった。いつも単独行をしているから、 こうして他人のペースに合わせるのは思いのほか苦痛に感じてしまう。
駐車場から2〜3分で二王子神社だった。あっけらかんとした広場に焼失後再建された社殿が所在無げだった。社殿の広場はキャンプ場になっていた。
杉林の中につけられたコースはいい道である。沢の流れに沿うように適度な勾配で上って行く。ペースは、じれったく なるようなゆっくりペースである。一本杉を過ぎて雑木林になると、イワウチワのつややかな葉が目につくようになる。チゴユリ、マイヅルソウが白い花をつけている。1時間で一王子神社、10分の休憩。石祠と避難小屋がある。山頂までの標高差は1000メートル強、傾斜も増して来ているようだが、ペースがゆっくりで疲労感がなく、山を登っているという実感がない。
一王子神社からは尾根道らしい感じになって来た。背後に米どころ新発田市の平野が樹間に見え隠れする。
サンカヨウ、コゼンタチバナ、ショウジョウバカマ、オオバキスミレ等の花にもお目にかかる。独標(定高山)は休憩に手頃なスペースである。相変わらずのペースで二人の後につづくが、今日はいらいらしないつもりである。岩場の急坂「油こばし」を通過。ミツバオウレン、ウラジロヨウラク、タムシバ、ミヤマカラマツと植生も変わって来た。シラネアオイの気品ある紫花は美しくも、また繊細で日本的な風情。さらに赤桃色の百合花はヒメサユリ・・・・予想外の出会いに一人うれしくなってしまう。

残雪の詰まった沢を渡るころから、前方になだらかな高まりが見えて来た。二王子岳山頂である。
その二王子岳越しにちらっと見えた残雪の山影、飯豊連峰がうかがえる。そしてはるか左手遠くに浮かぶ残雪の山は月山か?ゆっくりベースを気にすまいと思っていたのに、飯豊の影を見るとそんなことは忘れて、早く山頂へと気が急いて来るのだった。
雑木潅木の丈も低くなり、雪渓を2回ほど渡ると山頂の一角だった。期待以上の超迫力でそこに広がる巨大な山脈は、紛れもない飯豊連峰。避難小屋の建つ山頂からは360度遮るものはない。思い思いに場所を占めたハイカーが10人前後憩っていた。円項の真ん中ほどに二等三角点標が埋設されていた。
ニ王子岳山頂、背後は飯豊連峰
山頂にはそぐわない‘青春の鐘’という、背の高い木製の門が目障りだっ た。観光地的感覚でこうした建造物を設置するのは、もっと慎重にやってもらいたいものだ。飯豊連峰をこれだけの迫力で眺望できるのは外にはないかもしれない。深い谷を隔てて一気に立ち上がった恐竜のような巨大な背稜。加えて日本海側から見る飯豊連峰という点に値打ちがある。大日岳〜 烏帽子岳〜御西島〜北股岳〜地神山〜杁差岳、御西岳、飯豊本山。たっぶりと雪を残したその姿は、白一色の真冬とは違った、この時期にしか見られない山岳美だ。
2年前、日本百名山を完登したが、その最後の100山目が目の前の飯豊山だった。あの感激が蘇ってきた。

あてずっぽうに『月山』かと思った山は朝日連峰『以東岳』であった。目を凝らすと以東岳の右肩に『月山』を見ることができた。西方はるかに浮かぶのは会越国境の山々であろうか、御神楽岳と見当をつけた。
山座同定に夢中になっている間に、次々と登山者が到着して、さらに賑わいを増して行った。

好天の中の眺望を堪能して、我々は帰途についた。  
二王子神社で同行の二人とは別れて、私は翌日祝瓶山に登るべく小国町へ向かった。