追想の山々1180  up-date 2001.11.11


白木峰(1596m) 登頂日1996.10.10 単独行
東京(0.10)−−−大谷林道1200m地点(7.25)−−−白木峰(8.11-15)−−−小白木峰(9.15)−−−白木峰(10.45-11.00)−−−林道1200m地点(11.30)====翌日金剛堂山を登頂
所要時間 4時間05分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
飛越の日本300名山、錦秋の3座を登る(白木峰・金剛堂山・人形山)
白木峰から小白木峰へのたおやかな稜線


秋の4連休、日本300名山未踏のリスト50余座を眺めていると、行く先は飛越の山々に絞られてきた。
プランは前夜発の2泊3日。大笠山、大門山、人形山、金剛堂山、白木峰の5座を候補に、うち3座を登るのを目標とした。
深夜12時東京を出発。

第1日目の予定は富山・岐阜県境の白木峰。登山口は富山県側になる。松本IC、安房峠、高山市、宮川村から楢峠を越えて富山県八尾町へ入るという、長く複雑なアプローチをたどらなければならなかった。信しがたいことだが、楢峠越えはすれ違いも難しい山間の一車線にも かかわらず、れっきとした国道であった。八尾町への標識を頼りに、楢峠から大長谷川沿いを下って行く。第四発電所の地点に金剛堂山八尾町側の登山口表示があった。
白木峰登山口のある大谷林道分岐がなかなか見えない。道を間違えたのかと不安になるころ、白木峰登山口を示す林道分岐点へ到着した。コスモスの花が一群れ、そこだけ明るい空間を作るように咲いていた。大谷林道はきれいに舗装されていたが、20分も走ると通行止の表示がある。標高1320メートルの登山口はまだ先だ。無視してしばらく進入してみたが、工事中の道路は状態が悪く、諦めて通行止の表示まで戻った。そこは本来の登山口より、大きなカーブひとつ分手前で、数台の自動車が止められるスペースがあった。見ると『ブナ林から白木峰』という表示があった。多少歩く距離は長くなるが、ここからでも登山道に取りつくことができる。

今日は10月10日、晴れの特異日。天気予報も好天と報じていたのに、空模様はもう一つはっきりしない。少し気勢をそがれた思いで、とりあえず身支度の上出発した。
山頂の電波塔が大きく見える。わけなく登れそうだ。登山道入口にカプセル型の小屋があった。のぞいて見ると中は小ぎれいでちょっとした洋間のようにレイアウトされていた。何に使うのだろうか。早くも溢れんばかりの紅葉の中を歩くこととなった。ブナの黄色やヤマウルシの紅、どうやらこの山旅は紅葉の好期にあたったらしい。
20分ほど登ると、本来の登山口に合流した。駐車場やトイレが整備 され、避難小屋もある。普段は車でここまで入れる。

ここで急な登りに変わった。一組の夫婦連れを追い越す。登山道は車道を2度横切り、山頂へ直登。勾配は相当きつい。しかし汗をかくほどのこともなく、電波塔の建つ白木峰の一角に着いた。三角点の山項は木道を2〜3分行ったところにあった。なだらかな平坦部を持った広々とした山頂だった。
あいにく周りは霧に遮られて、思ったような展望は得られない。このまま下山ではあまりにもあっけない。展望はなくても時間つぶしのつもり で、小白木峰まで足を伸ばして見ることにした。往復2時間くらいだろう。

小白木峰は白木峰より標高が200メートルばかり低い。いったん高みに立ってから、たとえわずかでも低いところへ下って、また前の高みまで戻ってくるというのは、簡単に決断できない。ためらわずにさっさと下って行ける人は、きっと勇気のある人だ。汗して稼いだ高度は、そう簡単に手放せるものではない。今日はたっぶりと時間があるため、そんなことはあまり気にせず、小白木峰へ向かって下って行った。
少しづつ霧が切れて、視界がきいてきた。
最初は草原状の気分いい稜線で、これなら歩く値打ちがあると喜んだが、そのうち潅木林の中へ入ってしまった。あまり展望は得られない。それでもコース沿いに、あるいは対面の山肌を染め上げた紅葉や黄葉に目を楽しませて飽きることはない。何回か小さなアップダウンを繰り返して最低コルまで下って行く。
前方に半円を伏せたようなピークが二つ見えてきた。奥に見えるのが小白木峰だった。二つの半円とも鮮やかな紅葉に染まっている。一つビ−クを越え、次にピークとも呼べない緩やかな最高点が三角点の小白木峰だった。ガイドブックによれば、この先に湿原があるというので、さらに足を進めてみた。小さな湿原があったが、これではちょっと満足できな い。前方はさらに広々とした平坦部となり、小潅木混じりの草原が明るい景観を見せていた。その平坦部が二つ三つの池塘の点在する湿原だった。 そこまで足をのばした。池塘は山の景観のポイントとして、全体を引き蹄める効果が大きい。これで天気がいいと、池塘が青空を映しこんで、いい写真になるところだか、今日はその青空がない。湿原からは金剛堂山が一切の邪魔物なしに見渡せる。長々とした稜線を持った重量感溢れる山体をしていた。山項部の雲がどうしても離れないのが惜しまれた。

ひと休みしてから、白木峰へ戻ることにする。
上空の雲が徐々に切れて、うれしい晴れ間も広がってきたた。電波塔の白木峰も見えてきた。白木峰へ戻ると何人かのハイカーが休憩していた。展望が少しきくようになって、白木峰一帯は霧ケ峰を思わせる丘陵状のおだやかな山稜をしているのがわかる。

利賀村で「蕎麦温泉」という温泉を見つけて一浴。  
次の山は大門山と大笠山の予定で、登山口の上平村ブナオ峠へ向かった。ところがブナオ峠は工事中で通行止。しかたなく金剛堂山に変更して、また同じ道を利賀村まで戻り、上百瀬集落先の登山口でテント泊とした。