追想の山々1213 up-date 2001.12.07
上野駅(6.09)〓〓〓黒磯駅===ローブウエイ下登山口(10.00)−−−峰の茶屋(10.40)−−−茶臼岳(10.55-11.00)−−−朝日岳810.40-55)−−−三本槍ケ岳(12.25-40)−−−北温泉への分岐(12.55)−−−北温泉(14.00)−−−北温泉入口バス停(14.20)===黒磯駅 | |||||
所要時間 4時間20分 | 1日目 ***** | 2日目 **** | 3日目 **** | ||
忙しかった東京からの汽車日帰り=52才
6時9分上野駅発の鈍行列車。私の車両はたった一人だけ。途中から通学時間帯にさしかかって、高校生の乗降が増え車内にもやっと活気が出てきた。 黒磯駅前から接続している10時5分発ロープウェイ行きのバスに乗り込む。登山者ばかり10数名の乗客はお行儀がよく、話し声ひとつしない静かさ。バスは喘ぎながらロープウェイ駅前に到着。乗客のほとんどはロープウェイ乗り場に向かったが、私は一人登山道に入った。 汽車からは雲に隠れて見えなかった那須連峰も、赤銅色の岩肌をむきだしにした朝日岳が険しく聳立しているのが見える。左手には月か火星と見まがう、荒んで乾燥した山肌の茶臼岳がある。 のんびりと足元の花を見ながら登っていく。斜面のガレキには、イワカガミの花がしがみついている。ロープ ウェイを拒絶して自分の足で登るから見られる花たちだ。峰の茶屋まではゆっくり歩いて40分だった。茶店には人もなくうらぶれた木造の小屋が茶屋の名残をとどめている。ここに荷物を置いて火口まで往復してきた。硫黄の刺激臭が鼻をつく。 ロープウェイからの観光客も一緒になり山頂は大賑わいである。巨岩を伝って火口縁まで行って見たが、火口の中は噴気で何も見えなかった。旧火口を一周するようにして峰の茶屋まで戻り、朝日岳を目指す。 砂礫の急坂を登り詰めると視界が広がって稜線に出た。峨々として見えた朝日岳だが、危険な難所もなく山頂に立つことができた。青空が広がって来たが遠望はきかない。長居をせずにすぐ頂上を後にして三本槍へと向かう。雲が切れそうで切れない空を恨めしく気にしながら、大きな起伏もない道は低潅木帯となって高山の趣が感じられるようになる。 ハイマツの中の一筋の道を辿って三本槍ヶ岳の頂上に到着した。那須連峰の盟主は茶臼岳と言われるが、最高峰はこの三本槍である。周囲はすっかり霧に包まれて視界は全くきかない。親子4人が昼食中だった。私もおにぎりを詰め込んで展望のな い頂上を後に、もとの道を引き返した。 途中スグレ山近くの分岐から中ノ大蔵尾根を北温泉への下山道をとった。なだらかな山稜は小笹が密生し、ハイマツの油性の臭いが漂う。ゆるやかな道すがら、朝日や茶臼に目をやり、花びらをほころばせ始めたばかりのシャクナゲ、ツツジに目をとめ、やがて道はブナの林の中に入って渓谷の沢音が爽々として耳に入ってきた。 熊に注意の真新しい看板が立っている。『クマを驚かせない』はわかるが、『クマをからかわない』は首を稔る。 熊に出会ってからかうような愉快な人もいるのだろうか。動物園と間違える人がいるのかもしれない。 北温泉は、自動車道から更に徒歩で行く奥まった1軒宿のひなびた温泉で、プールのような大きい野天風呂がある。汗を流して行きたかったが、人工肛門の体で入るのは恥ずかしい。渓流で顔を洗ってバス停へ向かった。 |