追想の山々1232  up-date 2001.12.21


御正体山(1682m) 登頂日1990.3.21 単独行
新宿駅〓〓〓富士急谷村町駅(8.30)−−−トンネル(8.40)−−−三輪神社石段(9.20)−−−−仏沢(9.40)−−−峰宮跡(11.10-15)−−−御正体山811.40-12.00)−−−白井御正橋(13.15)===山伏峠===平野===富士吉田駅〓〓〓新宿駅
所要時間 4時間45分 1日目 ***** 2日目 ****
下山路をまちがえるドジ=53才

新宿駅発6:22発の電車に乗車。3両だけが河口湖行きのサンデーハイキング号の『三ツ峠号』が連結さている。谷村町駅下車。駅前タクシー会社の水道を借りて水筒を満たし、8時30分出発。
ガイドブックを片手に自動車の行き交う町中を抜け細野集落への舗装道を行くと、途中鍛冶坂トンネル手前でバスが追い越して行った。都留市駅から登山口の細野集落までバス路線もある。民家の庭先から梅の香が春風に漂い、思わず足を止めて白梅を愛でる。主婦の立ち話の中に「御正体さま・・・」という言葉が耳に入った。御正体山は山全体が御神体と言うが、その会話からも土地の人々が『様づけ』して崇めて来たことがわかる。
菅野川に寄り添う上り勾配の道は、次第に谷あい狭く分け入る感じとなり、またひとつ集落を抜けて神社に通じる石段の前に来た。駅からここまでコースタイムどおりの50分。
神社前の『水晶沢名水』を一口ふくむ。標識に従い杉林の林道を辿って仏沢へ向かっ た。仏沢を横切ってすぐ、登山道らしい道に変ってきた。植林地の中をしばらく辿ると、左手下に再び支沢を見る。沢をまたいで対岸に移り山腹を少し進むと、右に大きく曲がって道は一気に傾斜を強め、ここからは急登に次ぐ急登となった。汗が流れる。標高差約500メートル、地図でも尾根上一直線の登りである。樹間が少し切れた尾根上で、立ち休みして振り返ると、遥かに続 く山並みが展望できる。頭の中で地図を広げて見るが方向がつかめない。

御正体山山頂
急登には何カ所かロープが固定されているが、私は手頃な枯れ技を杖にしておおいに役にたっている。標高1300メートルあたりだろうか、残雪が出て来た。稜線に出るまでは休むまいと流れる汗を拭いながら頑張る。氷化した残雪で何度も足を滑らせる。
稜線に登り着くと、ここが峰宮跡だ。眼前に白妙の衣をまとった富士山がのぞめる。一服してから稜線を南に雪道を進む。女性が氷化した雪にスリップして苦労していた。少 し下って再度の登りが意外に長く思われる。
喬木の明るいブナなどの林が広がる平坦地に出た。そこが山頂の一角ですぐ先が一等三角点や小祠のある山頂だった。山頂は潅木に囲まれて眺望はない。頭上の雲が激しい気流に翻弄されている。

20分程の休憩で出発する。これから前岳、中岳と稜線歩きを楽しんで山伏峠、山中湖に降りる予定であった。山頂をあとにして目の前にあった道を考えもせずに辿る。雪の道をどんどん下って行く。下方に尾根筋が見える。あれを辿るのだろうと思った。しかし随分下るなあ 、ガイドブックでは悪路と書いてあるのに、結構はっきりし道だ。間違ったのだろうか。しかしこれだけ下ってしまってから、もう一度頂上まで戻って確かめるのは辛い。
かなり下ったころ小さな案内坂が木に打ち付けられている。そこは三差路となっていて、「道坂」「白井平」と書かれている。地図を広げて見たが、御正体山が図面ぎりぎりで、今私の居るあたりは地図からはみだしていて確認できない。道坂とか白井平というのはどのへんだろうか。だいいちこの案内板は三差路のどっちを指しているのかさえあいまいだ。よく踏まれている方の道を選んで下ることにする。感じと してはそれが細野集落へのバス道に出られそうに感じた。
急降下してあっというまに沢筋に降り立ち、そのまま沢筋を下って行く。林道に出てくねくねと曲がりながら行くと、下の方に民家が見えて来た。舗装道路に出て、橋の欄干を見ると「御正橋」とある。橋のたもとがバス停になっている。都留市行というのがあるが、次まであと3時間もある。月夜野行というのもあるが、これはどこへ行くのか見当がつかない。30分程で富士吉田行がある。通りかかった人に「谷村町駅へは歩いてどのくらいですか」とたずねると、びっくりしたような顔をして「バスでも1時間以上かかる」という。
今自分のいる場所がわからず、おまけに土地感もまったくないからどうしようもない。(ここが白井平ということが帰ってからわかっ た)
富士吉田までバスで行って、そこで富士急に乗るより方法はなさそうだ。
バスは途中山伏峠を通った。予定では山頂からここへ下って来る筈だったのだ。それにしても地図も確かめず、ただ道がそこにあったからという、何とも情けない誤りを犯し、結局予定のコースを半分歩いただけに終わってしまった。