追想の山々1238  up-date 2001.12.25


諏訪山(1549m) 登頂日1991.12.21 単独行
東京(3.30)===浜平鉱泉(7.05)−−−湯ノ沢の頭(8.25-30)−−−三笠山(9.25)−−−諏訪山(9.45-55)−−−三笠山(10.10-11.05)−−−湯の沢の頭(11.40)−−−浜平鉱泉(12.35)===東京へ
所要時間 5時間30分(うち休憩1時間20分)
西上州、冬枯れの山を歩く=54
湯ノ沢の頭から諏訪山をのぞむ


群馬県西部、長野県佐久地方と接する西上州と言われるあたり、標高1000〜1500メートメルほどのハイキングに手ごろな山がいくつもある。その一つ諏訪山へ出かけた。所在地『上野村』は、日本航空の墜落事故で、500余人の犠牲者を出した史上最悪の航空機事故現場、御巣鷹山のあるところだ。

登山口は浜平鉱泉からはじまる。
刺すような寒気は氷点下4〜5度だろうか。浜平はほとんど平地の見当たらない、山間の斜面にへばりつくように した民家が、わずかに点在するだけのさびしい集落だった。鉱泉宿は吊り橋で神流川を渡った対岸にあった。

吊り橋を渡り、沢に沿ったコースを上流へと遡行していく。湯の沢の岩石が白黄色に変色しているのは、流水に硫黄分が含まれているからだろう。滑滝状の箇所には氷柱も見られる。沢を高巻き、また沢に降りてゆっくりとした登りだ。3メー トルほどの落差の滝を高巻くところで、濡れた岩の表面が凍結して、間違えば水中に落下という、ちょっとスリルを味わうところもあったが、やがて沢が二分して右の沢を詰めて行く。知らぬ間に流れは伏流と なって消え、きつくなった勾配をジクザクに、汗を感じるようになって尾根に立った。
明日は冬至、冬の陽を受けた尾根は落葉樹の林で、冬木立特有の明るさに満ちていた。木立を透かして逆光線に凹凸の峰が見える。それがこれから目指す諏訪山であった。

登りついた尾根を左に直角に向きを変え、小さな岩頭を越え、その先の高みが湯の沢の頭だった。ここで楢原からのコースと合して諏訪山へと向かう。
しばらくは起伏の少ない道を、尾根の東を巻いたり、西側を巻いたり して行く。踏み締める落ち葉の感触を楽しみながら行くと、トタン囲いの小屋がある。荒れてはいるが非常時には十分役立つだろう。
小屋裏から登りがきつくなって来た。アルミ製の梯子を二回通過し、立ちはだかる巨岩の基部を右から回り込むようにして、岩峰のピークに立った。地図には『ヤツウチグラ』 となっているが、『三笠山』という表示が立ち、木製の小社が建てられていた。
快晴に恵まれてこの岩峰は絶好の展望台だったが、それは帰りの楽 しみにして、とりあえず諏訪山まで行くことにする。

ロープを伝っていったん鞍部に下り、今までのコースと違ってやや薮っ ぽくなった道を、梯子を通過したりして急登を撃じると、三角点ピークの諏訪山々頂だった。樹木に囲まれ殆ど展望はきかない。先ほどの岩峰でゆっくりすることにして、すぐ諏訪山を後にした。
三笠山は幸い穏やかに晴れ上がり、風もほとんどない。ゆっ くりと眺望を楽しみ、スケッチに時を過ごした。
地図を片手に確認した山々は
御座山・四方原山・蓼科山・北八ヶ岳・美ヶ原・北アルプス・浅間山・妙義山・根子岳・本白根山・横手山・戸隠山・高妻山・苗場山・榛名山・赤久縄山・二子山(はっきり確認できないが、外に谷川連峰・武尊山ctc)

来たときと同じ道を下った。一人のハイカーにも会わず、山仕事らしい斧の音が聞こえたのみ、静かな山歩きだった。