追想の山々1243  up-date 2001.12.28


高隈山(1236m) (大篦柄岳 御岳)     登頂日1998.10.25 単独行
垂桜(6.30)−−−林道終点(6.40)−−−林道横断(6.45)−−−七つ岳分岐(7.15)−−−標高900m先のコル(7.45)−−−大篦柄岳(8.15-35)−−−スマン峠(9.10)−−−御岳(9.45-10.00)−−−スマン峠(10.35)−−−大篦柄岳(11.20)−−−垂桜(12.35)===猿ケ城温泉===市房キャンプ場(17.00)
所要時間 6時間35分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
高隈山とは、大篦柄(おおのがら)岳と御岳2峰の総称=61才
御岳、大篦柄岳よりのぞむ

昨日、桜島方面から錦江湾を挟んで、海に浮かぶがごとき開聞岳をのぞみ、「九州に来たなあ」という実感を持った。
今日は九州2日目、大隈半島に聳える日本三百名山“高隅山”登頂である。昨日高隅山登山口へ移動するために猿ケ城渓谷の林道をさかのぼり、最もポピュラーなコースの”スモン峠”への登山口を目指した。何の問題もなく登山口へ到着するはずだったが、猿ケ城温泉からキャンプ場を過ぎてしばらく、突然「崩壊の危険あり通行止」でゲート封鎖されていた。方向転換も出来ない狭い場所、しかたなくバックでキャンプ場まで戻って対策を考える。

さて、どうしよう。地図を眺めながら検討。県道71号線高峠高原から入った先の垂桜からの登頂がよさそうだ。
地図を頼りに垂桜の集落へ。そこは高原の開拓地、うらさびれた小さな集落だった。地元の人に尋ねながら「おのがら岳」の標識を無事見つけることが出来た。「おおのがら岳(大篦柄岳)」と思っていたのに、標識は「おのがら岳」、このちがいは何故?。地図を見ると小篦柄岳(これは「このがら岳」と読むことが後でわかった)という山もある。もし小篦柄岳へ登るコースだとしても、そのまま大篦柄岳へ足を延ばすことは可能と思われる。
【註】地元では大篦柄を「おのがら」と言い、小篦柄を「このがら」と言うようです。
車幅すれすれの農作業道のような細道を、通行止め地点まで入った。そこは茶畑に隣接ていて、自動車1〜2台分のスペースがあった。
日が暮れれば誰一人として来るようなところではなく、気兼ねなく静かな夜が過ごせそうだ。見ると樹木の隙間から高隅山の山並みを見ることができた。

翌朝は早起きして洗腸をすませてから出発した。
自動車通行止めゲートの横に”大篦柄岳”の大きな道標が立っている。この車道(農道)も含めて、これから歩くコースは九州自然歩道らしい。標識が立っていた。
わだちの残るススキの車道を10分余り進むと車道終点。ベンチや道標がある。ここから登山道となる。
丸木橋をつづけて二つ渡る。薄暗い杉植林帯は10分弱で抜けて予期せぬ林道へ出た。南国らしい照葉樹が多い。
七つ岳分岐を過ぎて、登りがややきつくなって来る。標高900メートルあたりで、見晴らしのいい露岩に出た。ロープが固定されている。桜島はスモッグのようなベールに閉ざされていて見えない。上空は青い空が広がっているのに、地平線に沿って帯のようにそのスモッグは垂れ込めている。スモッグを突き破って噴煙だけが高く上がっていた。火山噴煙が垂れ込めているのだろう。錦江湾先の、かすかにそれらしい開聞岳の姿を背にして、ふたたび樹林の中を登って行く。

露岩の後、勾配がいくらか緩んで、2回ほど小さな上り下りを繰り返すと、道端に小さな石の祠があり、その先が大篦柄岳頂上だった。300名山296座目の山頂である。
山頂という雰囲気より、山の中腹に張り出した崖地という感じで、頂上を極めたという実感は乏しい。
高隅山という山はなく、この大篦柄岳から御岳、横岳などの山地の総称をそう呼んでいるようだ。高隅山全体を眺望しながら休憩。

高隅山地最高峰の大篦柄岳を登って下山する予定でいたが、時間も早いし御岳まで足を延ばして見たくなった。目測でも相当の距離がある。往復3時間は必要だろう。少し迷ったが、行ってみることにした。時間を考えると足は一気に早くなる。かけるようにスマン峠へ向けて下って行く。標高差300メートルほどの下りを一息に下って、スマン峠へ降りたった。通行止めだった猿ケ城渓谷からの登山道が上がってきている。さらにトラバース気味に緩く下って行くが、登山道に草木が張り出して少し歩きにくい。御岳・妻岳のコルには、同じような道標がいくつも立っている。なんで同じものを・・・という感じだ。
広葉樹の気持ちいい登りを、軽快に足を運んでゆく。最後に少し急な登りとなるが、それもたいしたこともなく、樹林が切れてぱっと明るい山頂へ飛び出た。草木1本ない裸の山頂で、360度遮るものがない。大気が澄んでいれば素晴らしい展望台だ。
山頂には『御岳』の標識のほか『高隅山』という標識もある。高さでは大篦柄岳より50メートルほど低いが、はっきりとしたピークを持って立ち上がる御岳の方が、高隅山の主峰というにふさわしい気がした。やはりここまで足を延ばしてよかった。
私とは逆の方角から中年男女3人が登ってきた。すぐ下に見える林道から登って来たというが、1時間もかからないらしい。下方に赤い屋根の青少年センターの建物も見える。ここから近いという。

予定外の御岳の頂を踏んだことに満足して、同じ道を引き返した。
大篦柄岳から御岳まで、往復3時間と読んだが、結局2時間40分であった。後は垂桜へ向けていつものスピードで下って行った。
回り道になるが、猿ケ城温泉へ立ち寄り、垂水市から桜島を左にしながら、錦江湾沿いを北上、国分市で高速に入り、加治木IC経由、人吉ICを出たところでガソリン給油、フルーティーロードという広域農道を教えてもらい、市房キャンプ場へは、明るいうちに着くことができた。

(九州10日間日程表へ)