追想の山々1260  up-date 2002.01.11

赤城山
黒桧岳(1828m)駒ケ岳(1685m)地蔵岳(1674m) 登頂日2000.10.14 単独行
奈良(0.20)===大沼畔大洞駐車場(9.10)−−−登山口(9.35)−−−黒桧岳(10.20-30)−−−駒ケ岳(11.00)−−−覚満淵入口(11.30)−−−鳥居峠(11.50)−−−小沼−−−(ロス15分)−−−地蔵岳(12.50-13.15)−−−大洞駐車場(13.40)===霧積温泉へ
所要時間 4時間30分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
錦秋の一等三角点赤城山を歩く=63
中央が黒桧岳、右に駒ケ岳。湖は大沼


奈良から群馬県まで、長駆580キロのドライブ。
深夜自宅を出て、恵那サービスエリアで1回目の小休止、2回目は梓川サービスエリア、あとは更埴JTから信越自動車道へ入り、前橋IC、赤城大沼池畔の大洞駐車場へ入ったのが9時。9時間近い一人だけのドライブは長かった。 どうしてこんなにもして赤城山を訪れたかというと、一等三角点100名山の中の一つ「赤城地蔵岳」が登り残しとなっていたからである。

日本百名山踏破の過程で、赤城最高峰の黒桧岳を登頂したが、地蔵岳はそれより150メートルほど低い上に、ローブウエイがかかっていて、登頂に値する山とは考えていなかった。一等三角点百名山も残り少なくなってきて、中国・四国地方の6座を除けば、東日本では唯一地蔵岳のみが残っている。これを早いところ消化しておきたい。そう思っての長距離遠征となった。

コースは12年前の11月上旬、妻と歩いた時と同様、大洞駐車場から歩きはじめた。大沼畔を北へ向かって、湖が途切れるあたりで黒桧岳への登山道に入る。最初から急登である。天気もいいし、さすが関東の山は登山者が多い。早いペースで次々と先行する登山者を追い越して行く。競争のように私についていた若者たち3、4人のグループも、途中からついて来られなくなったみたいだ。
紅葉がはじまって、落葉樹の赤や橙、黄色が青空に映えている。絶好の登山日和となった。長駆出かけてきた甲斐があった。脇目もふらずに山頂をめざす。標高差500メートルほどの登りを、50分程度で登ってしまった。
黒桧岳からの展望は素晴らしい。日光の山々、皇海山、武尊山から谷川岳、遠く富士山まで望むことが出来た。

黒桧岳からは、秋の陽が降り注ぐ潅木の道を大きく下ってから、少し登りかえすと駒ケ岳である。山頂からは眼下に大沼池が紺青の水をきらめかせ、振り返れば黒桧岳の山腹は紅葉に染まっている。このあと登る地蔵岳はお椀を伏せたような姿で目に入る。
長い階段状の道を湖畔まで下って行く。長い鉄バシゴが二つほどあるが、以前もあったのかどうか思い出せない。
駒ケ岳から30分の下りだが、実際には1時間以上も下ったという気がする長い下りだった。ようやく湖畔の自動車道に降り立ち、車道を少し歩いてから、今度は覚満淵へと入ってゆく。湿原状の草紅葉の中に、ひときわきれいに水をたたえた覚満淵は、木道を観光客やアベックなどが散策していた。
沼を離れて遊歩道を上がり、再び車道へ出たところが鳥居峠でレストハウスなどがある。
鳥居峠から標識もない山道へ入る。多分地蔵岳方面へ通じているだろうと言う「感」である。峠から15分で小沼。その先で車道となる。さて地蔵岳への登路を探すがどうもわからない。小沼あたりから地蔵岳を見上げると、山頂を目指す姿が見える。このあたりにコースがあるのは間違いない。行ったり来たりするがわからない。
山頂は見えている。こうなったら適当に山へ踏み込むのみ。邪魔になる潅木を手で掻き分け、道なき斜面を突き進む。山頂方向を目指しているつもりだったが、小さな尾根を越える感じで下りとなった。下ってはいけない、おかしいぞ?失敗したかな、引き返すか・・・・と、突然林道らしい地道に出た。それを上り勾配の方向へ進んでみると、今度は立派な自動車となる。これが小沼から通じている車道だった。つまり小沼から車道を5分か10分歩けば、この地点に着いたのだ。
地蔵岳山頂への整備された登山道もある。これで安心して山頂へと登っていった。山頂までの標高差は350メートル前後と思われる。地蔵岳山頂も、大勢の人々で賑わっていた。
大きな鉄塔がいくつも並んでいる。まずは一等三角点を確認。これで今回の目的が達成された。展望もすこぶる良い。さきほどの黒桧岳と駒ケ岳の山肌を紅葉が染めている。遠く武尊山や谷川岳、さらに目を凝らせば尾瀬の燧ケ岳と至仏山も目に映る。浅間山から四阿山、根子岳、志賀の横手山・・・・。眼下には吸い込まれそうな大沼の青く澄んだ湖面。
腰を下ろして展望を楽しんだ。

下山はローブウエイ沿いのコースを大洞駐車場へ一直線に下った。ローブウエイはいつからか廃業した模様で、施設も赤く錆付いていた。歩く人もほとんどないのか、かなり荒れが目立つ登山道には、潅木がはびこり、岩は苔蒸して滑りそうだ。それでもこのコースを登って来る人に二人出会った。
大洞駐車場への下山は1時40分、結局4時間30分の行程で、思ったより1時間も余計に時間がかかった。
明日登る予定の角落山登山口の霧積温泉へ移動すると、もうスケッチを楽しむ時間はなかった。