追想の山々1270  up-date 2002.01.23


国師ケ岳(2592m)〜北奥千丈岳(2600m) 登頂日1991.06.29 単独行
大弛峠(8.00)−−−前国師岳(8.20)−−−国師ケ岳(8.30)−−−北奥千丈岳(8.40)−−−前国師岳−−−大弛峠(9.15)
所要時間 1時間15分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
奥秩父の核心、一等三角点を最短コースで登頂=54
国師ケ岳


梅雨の合間を縫って山登りをしようとするのだが、そうそう思うようにはことが運ばない。
塩山から川上村に通じるスーパー林道のおかげで、奥秩父連峰縦走路途中の標高2300メートル「大弛峠」まで自動車で上がることができる。
田部重治や小暮理太郎の時代には国師ケ岳と言えば奥秩父最深の山巓で、簡単には行きつけない秘峰であったろうに、今では軽いハイキング気分で登ることさえ可能だ。
カーブの多い林道は、やがて未舗装のダートとなり悪路がつづく。大弛峠には数台の自動車が止まっていた。ぽつぽつと雨が落ちて来た。覚悟はして出かけて来たが、やはり雨では気分が盛り上がらない。
暑さに閉口していた東京だったのに、2300メートルを越えるとさすがに肌寒さを感じる。

案内標識に従って登山道に入った。シラベの林の中に大弛小屋があった。煙突から立ちのぼる紫煙がいかにもそれらしい風情がある。ただ、都会の喫茶店並に『KEY COFEE』という合成樹脂の看板があったのは場違いだった。
小屋の裏手から階段状の登りが始まった。右へ『夢の庭園』の標識が立っている。 少々安直で芸のないネーミングだ。小雨模様の天候にせかされて、その庭園には向かわずにまっすぐ国師を目指した。黒木の樹林の中には、シャクナゲの植生も多いが花季は過ぎていた。

明るい花崗岩のピークに出た。前国師岳の標識が雨に打たれて立っている。北奥千丈岳や金峰山がうかがえる。前国師から少し下り、北奥千丈岳への分岐をやり過ごして登りかえすと、もうその山頂だった。わずか30分の行程に拍子抜けする。
花崗岩の山頂は、天気がよければ広大な展望が得られるはずだが、今日は金峰山方面を見通すのが精一杯だった。
一等三角点を確認すると、すぐに来た道を戻り、奥秩父最高峰の北奥千丈岳に立ち寄る。ここもやはり花崗岩の山だった。

下山は夢の庭園を経由して見た。ベンチが置かれた好展望台という感じはわかったが、雨天では展望どころではない。半ば朽ちかけた木の桟道をおっかなびっくり渡ったりして大弛峠へ戻った。
帰りに立ち寄った乙女高原も強い雨で、とても歩く気分にはなれず、尻切れトンボの不完全燃焼で終ってしまった。