追想の山々1281  up-date 2002.02.05


御在所岳(1210m)・国見岳(1170m) 登頂日1997.05.23 単独行
奈良自宅(4.45)===湯の山温泉(6.45)−−−藤内小屋(7.15)−−−<裏登山道>−−−国見峠(8.30)−−−御在所岳(8.55-9.05)−−−国見峠−−−国見岳(9.35)−−−<国見尾根>−−−藤内小屋(10.35)−−−湯ノ山温泉(11.05)===国民宿舎で入浴後帰宅
所要時間  4時間20分 三重県 御在所岳 一等三角点
山頂が観光地と化した300名山=60
御在所岳山頂


奈良へ転居してから3回目の登山。標高はわずかに1210メートル。しかし久しぶりに山を歩いたという感じがあった。
三重、滋賀県境所在は「遠い山」という感じを抱いていたが、自宅から登山口湯の山温泉まで2時間弱しかかからなかった。
30年ほど前、職場の社員旅行で湯の山温泉に一泊、その際ロープウェイで御在所岳に上り、山頂付近のカモシカを見物した記憶が残っている。
温泉街を通り抜けてロープウェイ駅前の駐車場へ車を止める。
ガイドブックで調べておいた裏登山道から登ることにした。標高差は800メートル。軽いといえば軽い。仮に海抜0メートルから登っても、山頂までの標高差は1200メートルしかないわけだ。
ロープウェイ駅の裏手へ回り込むと、すぐ「裏道登山口」の道標に導かれて登山道へ入る。
手入れの行き届いた登山道をしばらく行くと、蒼滝から登ってくる道に合流する。桟道や鉄の橋を繰り返して高度を上げてゆく。30分もすると藤内小屋の前に出る。どういう人たちがここへ泊るのだろう。一泊を要する山ではないし、ロッククライミングの人たちが、ここをベースにしているのかもしれない。
展望のない樹林がしばらくつづく。上空は雲が多い。左手に切り立った岩壁が姿をあらわした。ロッククライミングのゲレンデ“藤内岩”らしい。その岩壁を霧がかすめて流れてゆく。
岩の露出が目立つようになったコースを、緩急を混ぜながら登ってゆくと、道標の立つ国見峠だった。稜線を左へ行けば御在所岳山頂、右へ行けば国見岳だ。左手へ緩く登ってゆくと舗装された自動車道へ出る。リフトが高みへと延びているのが見える。その高みが山頂らしい。カモシカ園の前をとおり、舗装道路をてくてく歩いてゆくと山頂へ達する階段があった。これを上がると一等三角点の山頂だった。
雲がかかって展望はない。冷たい風が肌を刺す。ロープウェイ、リフトと乗り継いだ観光客が数人あらわれた。

ひと休みしてから国見峠まで戻り、国見岳まで足を延ばした。アズマシャクナゲが一本、迷い込んだように咲いていた。峠から15分そこそこだった。
このあと国見峠まで戻らず、途中から国見尾根へ入った。かなり急な下りだ。イワカガミやイワウチワの花が時おり目につく。下ってゆくと巨岩がコースを遮るように立っている。道標がある。湯の山温泉へは左手の沢へ下る方向を指している。ガイドブックでは、この尾根から右手にコースをとって藤内小屋へと出るように記憶していたが、この道標にはそれは書かれていない。ちょっと迷ったが左手の沢へ向けて下ることにした。

コースの状態が急に悪くなった。不明瞭な踏み跡が心細くつづくのを、見落とさないように拾ってゆく。足場の悪い急峻なガレ状の下りを終わると、踏み跡は沢の中を行くようになった。道標のたぐいは見当たらない。コースはなかなか沢を離れない。このまま沢を下って滝にでも突き当たったらと、少し不安になってきた。赤布やテープを拾いながらなおも下ってゆく。途中で道が消えたら戻ればいいさ、と割り切ることにした。
ようやくコースは沢を離れてくれた。方向感覚としては、藤内小屋の方向を目指している。ほっとしながら行くとやがて登りに通過した藤内小屋の裏手へ出た。後は来た道をたどって湯の山温泉へと下って行った。
これが日本300名山の252座目であった。