追想の山々1284 up-date 2002.02.11
吉野村山口(6.00)−−−竜門滝(6.20)−−−堰堤(6.45)---竜門岳(7.20-40)−−−竜門滝−−−山口(8.40) | |||||
所要時間 2時間40分 | 1日目 ***** | 2日目 **** | 3日目 **** | ||
白鳳時代に栄えたという山口から往復=60才
日本三百名山の小さな山である。取り付きからの標高差は780メートルしかない。 ちなみに日本300名山で1000メートル未満の山が10座あるが、そのうち5座が近畿地方である。 ひなびた山間の集落、山口を登山口に選んだ。わずかの戸数の集落から龍門岳方面へ少し入ったところに、その昔龍門寺という威勢栄えた仏寺があったという。奈良白鳳時代と言うから、今からおよそ1300年前のことである。今は礎石がその存在を示すのみだ。ときの上皇や菅原道真などが訪れたという。こんな小さな集落の奥に、それほどの寺が建立されたのが不思議な気がする。 山口集落の場所が少しわかりにくかったが、行ったり戻ったりして何とか吉野山口神社をさがしあてた。昔、龍門岳山頂にあった嶽神社を、山口の里へ下ろして祀ったのが、この山口神社であるというような縁起書きがあった。 集落から自動車で入れる所まで進入しようとしたが、林道へ入ってしばらく行くと、道は細まり駐車スペースもなさそうなので集落まで戻った。集落近くの高台にある運動公園駐車場へ自動車を残して出発した。 朝日の踊る集落の細道を過ぎると林道になる。 水道施設を過ぎ、杉林の薄暗い道がつづいている。さきほど自動車を引き返したところまで20分くらいだった。 龍門寺史跡の案内書きを見たりしながら行くと、龍門滝があり、その先が仏堂伽藍などがあった場所だと言う。今は杉木立に覆われて当時の様を想像することもできない。 龍門の花や上戸の土産にせん 酒呑に語らんかける滝の花 案内書きに添えられていた芭蕉の句である。芭蕉も往時をしのぼうと、はるばるこの辺鄙な地に足を運んだのだろうか。見るほどの滝ではなかったが、龍門の滝を見たりしてし、知らぬ間に林道は細い山道に変った。少し勾配が強まった山道を、沢伝いに登ってゆく 。ほどなく堰堤の上に立った。山口からここまで45分だった。 しばらく勾配の小さい沢の中を歩くが、足を濡らすようなことはない。相変わらずじめじめした暗い杉林の中だ。 ほどなくコースは沢を離れて尾根に取りついた。「山頂へ750メートル」の標識からは、打って変わったきつい登りとなった。たちまち額から汗が流れ落ちる。赤いマーキングテープが頻繁につけられている。雪だってそんなに降ることはないだろうし、道型は明瞭で迷いようもないが、ずいぶんと親切なことである。ぐんぐん高度をかせいで、結局一度も休憩を取らずに、標高差780メートルを1時間20分で山頂へ到達した。 周囲すべて樹木に囲まれて、眺望はまったくないのに少しがっかりする。三角点は一等点だった。 早々に山頂を後にして下山の途についた。 山口集落の外れから龍門岳を望むことができたが、どこの田舎にでもある裏山という感じのたたずまいにしか見えなかった。 |