追想の山々1289  up-date 2002.02.20

伯母子岳(1344m) 登頂日1997.12.24 単独行
野迫川村大股(7.00)−−−廃屋(7.35)−−−桧峠(8.15)−−−護摩壇山方面分岐(8.35)−−−伯母子岳88.50-9.00)−−−桧峠(9.35)−−−廃屋(10.10)−−−大股(10.35)===護摩壇山へ移動
所要時間 3時間35分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
山頂の霧氷が美しい=60
山頂から護摩壇山方面(右奥)をのぞむ


高野町を経由して、野迫川村の点在する集落をいくつか抜けると、最奥の大股という戸数10戸前後の小さな集落があって、ここが伯母子岳への登山口となる。
まったく平地のない谷あいの集落は、駐車スペースもない。集落へ入る橋の手前100メートルほどのところに、資材置き場の空き地があった。断って止めさせてもらうことができた。

民家の間の、まるで這い上がるような狭い急坂を抜ける。肩を寄せ合う民家、なんでこんなところにしがみつくように住まなくてはならないのかと思ってしまう。平家の隠れ里だったのだろうか。
墓地の先から山道となる。道ははっきりしていて心配はない。植林の中の急な道をジグザグをきりながら登って行く。相変わらずここも陰鬱な杉植林、奈良はどこへ行ってもこれだ。
大股から30分余も歩いたところに一軒の廃屋があった。かなり大きな建物で、一部は屋根が落ちているが建物は形を残し、中をのぞくと棚には飾り物や子供の玩具、その他生活用品が転がって人の匂いがまだ残っていそうな感じだった。 庭の石垣や植木が形をとどめている。 最近まで生活していた人がいたようだ。たった1軒、よくも こんな山の中で生活していたものだと驚き、感嘆しながらその生活ぶりを想像した。

この先から勾配は緩んで楽になる。トラバースしているような感じの緩い道を、少しづつ高度を上げ行く。相変わらず緩い植林の道をたどると、やがて尾根に登りついた。ここで90度右へ方向を変える。冬枯れの雑木林を透かして遠くに霧氷の山が見える。あれが伯母子岳だとするとまだかなり遠い。
植林帯を抜けて落葉樹の気持ちいい尾根を少し行くと「桧峠」のプレートがあった。峠という感じはない。木々の梢には霧氷の花が朝日を受けてきらきらと輝いている。
思いのほか遠くに見えるピークに、気を引き締めなおて先へ向かった。

少し尾根を外した坦々とした道をトラバース気味に行くと、林道状の広い道へ出た。護摩壇山へのコース道標が立っていた。護摩壇山から伯母子岳へと縦走するコースもあるようだが、マイカーの場合はそれができないのが残念。
右護摩壇山、左避難小屋、林道を横切って直進するのが伯母子岳へのコースだった。丸太で土留めした階段がつづいている。逆光線の霧氷がまばゆい。雑木林がうれしい。林道から15分ほどで山頂に着いた。

天気はいいものの、一部雲が出ていて期待したほど遠望はきかなかった。ピークには伯母子岳を示す標柱などが見当たらない。よく見ると倒れた標柱が草薮にあった。山頂は遮るものもない好展望台というだけに、北風にさらされて寒さが厳しい。この後登る護摩壇山方面が見渡せた。しかし背の低い山並みが重なり合うばかりで、中部山岳地帯のような目を引く眺めのないのが物足りない。しみじみと中部地方の山岳展望の良さを認識させられる。
寒さに追われるように山頂を後にした。
大股まで下りつくと、終業式を終えてスクールバスで帰ってきた子供たちが「こんにちは」と声をかけてくれた。
すぐに次の護摩壇山へ向かった。