追想の山々1325  up-date 2002.12.18


皆子山(972m) 登頂日2000.04.18 単独行
奈良自宅(3.35)===足尾谷橋(5.50)−−−林道終点(6.05)−−−沢を離れる(7.00)−−−皆子山(7.35-50)−−−沢(8.10)−−−林道(8.55)−−−足尾谷橋(9.10)
所要時間 3時間20分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
京都府の最高峰=63

皆子山山頂
隣県の山にもかかわらず、登る機会がなくて延び延びになっていた京都府最高峰の皆子山だった。
4月中旬、もう雪も消えていることだろう、そう思って腰を上げた。
琵琶湖西岸の国道から、西側の比良山系へと入ってゆく。さらに国道367号線を北上、登山口の足尾谷橋(あしびだに)へは、迷うことなく到着した。

道標の類は見当たらないが、ガイドブックの解説どおり、さっそく渓流沿いの林道を皆子山へと向かう。澄んだ野鳥の囀りが右から左から競うように聞こえて来る。
途中発電所施設を横目に見たりして15分ほどの林道歩きが終ると、細い登山道へと導かれる。落葉樹の中をしばらく登ると、左手下方に山小屋らしいものが見える。ガイドブックにはKRAC芦火小屋と出ているが、どういう小屋かはわからない。

登山道は渓流に沿って、流れを縫うように右岸、左岸と徒渉を繰り返してゆく。小橋があったり、飛び石を利用して渉ったり、小さな滝を高巻いたり、あるいは岩の縁をへつったりと、小さな渓流にもかかわらず、なかなか変化に富んでいる。
ときおり美しい滝があらわれて目を引く。渓流の岩には緑鮮やかな苔が覆い、深山幽谷の趣さえある。標高はたったの972メートル、そんな低山を登っているという雰囲気ではない。意外や意外、けっこう楽しめる。
足尾谷橋から約1時間10分、渓流から離れて山腹への急登に変わった。
日影の窪地には、わずかに残雪も見える。攀じるような急登をしばらく登ってゆくと、熊笹の茂みがあらわれる。山頂はもう近い。
登り着いた山頂は、林床を熊笹に覆われた落葉樹林で、比良山系蓬莱山方面だけが少し開けているだけだった。春霞の中、うす紫色の姿でなだらかな姿を見せていたのは蓬莱山だうろか。ここが京都府の最高地点である。
里に近い山にもかかわらず、杉や桧の植林はほとんど見えず、大半は自然の落葉樹であることが、この登山コースを楽しいものにしているようだ。
この山はコースが難しいという声も聞こえるが、そんなことはなかった。徒渉や岩場があったりするが、迷うようなところもないし、いわゆる普通の登山コースである。

 一人の登山者にも会わない、静かな早春の山歩きだった。