追想の山々1328  up-date 2003.01.23


武石峰(1973m) 登頂日1993.09.25 単独行
美ケ原山本小屋(12.15)−−−王ケ頭(12.50)−−−駐車場(13.05)−−−武石峰(13.35-40)−−−王ケ頭(14.20)−−−山本小屋(14.50)
所要時間 2時間35分 1日目 ***** 2日目 **** 3日目 ****
一等三角点の100名山=56
武石峰一等三角点

黒斑山を下山したあと、今日二つ目の山“武石峰”へ向かって自動車を走 らせた。

30年振りに訪れた美ケ原高原は、マイカーの観光客が押し寄せ、山本小 屋は立派な観光施設に変わり、昔のおもかげを感じさせるものはなかった。
美しの塔から牧柵沿いに王ケ頭への広い散策道にも、観光客が三々五々行き交う姿が多い。私が松本市の支店勤務で長男が幼児だった頃、この辺りを歩くと牛が寄って来りしたものだが、今では完全に柵で囲われ、人も入れないし牛も出られない。
王ケ頭の電波中継塔も昔はNHKくらいのものだったのが、今はところ狭しと林立、食堂の拡声器からは若者向けの軽い音楽が鳴り渡り、時の経過を実感する。

簡単に往復できるような気がしていたが、目的の武石峰は王ケ頭からまだかなりの距離があった。 妻には「ちょっと行って来る」と言ってきたが、山本小屋からの往復には急いでも3時間以上かかりそうだ。速歩に変えて、 駆けるようにして王ケ頭から天狗の路地へ下ると舗装道路となって、5分も行くとバス終点の美ガ原高原停留所があった。 ここにも立派な建物が建っていた。
武石峰の取付きを目指して、高原の中を蛇行して伸びる自動車道を、てくてくと足を速めて行く。自動車ならほんの数分の距離だろうが、なかなか歩きでがある。美ガ原高原バス停から普通に歩けば45分はかかるところを、半分以下の時間で歩いて、ようやく武石峰への取付きに着いた。ここまで くれば三角点の山頂までは、笹原の中をひと登りするだけだった。

山頂には咲き遅れたマツムシ ソウがやや色あせて秋風に揺れていた。居合わせた地元の若夫婦が「ひと月前には一面のマツムシソウだったんですよ」と教えてくれた。
目的の一等三角点は平坦な頂にあってすぐにわかった。美ケ原の人気の影に隠れて訪れる人も少ないのか、白御影石の標石は無傷で刻字もまだ彫ったままの状態を保っていた。北アルプスの大展望など、一等三角点の名にしおうパノラマが展開されるはずだが、四周の山には雲がかかって、その展望を楽しむことはできなかった。

帰りも同じコースを妻の待つ山本小屋へ急いだ。途中駆け足をまじえたりしたが、往復2時間30分を要した。しかし普通に歩けば、優に5時間はかかる コースであり、まさに超特急のピストン山行であった。