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山行報告-ウペペサンケ山(1836m)・・・一等三角点
北海道(東大雪) 2001.07.24 単独
コース 第二登山口(5.15)−−−水場(5.30)−−−1399P(6.20)−−−菅野温泉分岐(7.25)−−−糠平富士(8.05-15)−−−ウペペサンケ山本峰(8.45-55)−−−糠平富士(9.30-10.00)−−−菅野温泉分岐(10.30)−−−1399P(11.05-10)−−−第二登山口(11.55)===然別湖山田温泉入浴===芽室町===伏見岳登山口へ
2001夏・北海道の山旅(5)

ウペペサンケ山頂
昨夜は夜通し雨が降っていた。
ウペペサンケ山へ登るのはむずかしいかと案じられたが、夜が明けて見るとどうやら雨は止んでいた。

ウペペには一つの思い入れがあった。
日本百名山の選定に際し、深田久弥は最終的に137座に絞り込んだ。100座にするためにはさらに37座を落とさざるを得なかったが、その37座は選ばれた100座と比べても決して遜色のない山ばかりであった。つまり優劣つけがたいということだろう。
選定の事情を知れば、落第した37座も登頂して始めて「日本百名山踏破」と言えるような気がした。
その37座の中で最後まで残ってしまったのがウペペサンケ山であった。

条件の良い中で登りたかったが、遠来の登山者にはそうそう都合よくはいかない。
雨さえ降らなければという思いで出発した。

昨夜野営場で一緒になった定年組3人のうちの一人が、やはり今日はウペペに登ると言っていた。夜明け、彼が野営場を出て行くのを見送ってから私も登山口へと自動車で向かった。
第二登山口に着くと、他の定年組二人も来ていた。私より一足早く出た人は途中のトイレで用を足しているらしい。

昨夕一緒になった定年組3人と私、合わせて4人がそろってウペヘに登ることになってしまった。
先発した二人の後を追うようにして登山道へ取りついた。トイレ用足しの一人は後から追いかけてくるだろう。

15分ほどで最後の水場がある。ここで先行の二人に追いついて、このあと行動を共にすることとなった。水場の先から厳しい急登となる。比較的ゆっくりとしたペースで高度を稼いで行く。雨こそ止んでいるが、山全体が湿った空気に満たされている。深い樹林が幽邃の雰囲気を醸している。
先頭を行くYさんは草木の露で全身びしょ濡れ、3番手の私も腰から下はずぶ濡れだ。
水場から50分の急登を終ると標高1399メートルの稜線へ出た。残念ながらガスで眺望はない。一息いれてから糠平富士を目指す。
天気さえよければ、これから十勝連峰、大雪の大展望を見ながらの雲表のコースとなるところだが、この天候が何としても悔しい。どこをどう歩いているのか、登山道を追いながら黙々と先へ進むのみだ。登り降りを繰り返して菅野温泉分岐を通過、北アルプスの稜線を歩いているような高山の雰囲気を感じる。
展望はゼロだが高山植物が次々と目を引き付ける。イワブクロ、コマクサ、ハクサンイチゲなど、花の種類も多い。

1399メートメルピークから2時間弱で、ウペペサンケ山の標識のあるピークに到達した。一等三角点が埋設されている。残念ながら展望はまったく得られない。目の前には峻峰ニペソツに聳えているはずだ。9年前にニペソツへ登ったときもガスで展望がなかった。ついていない。
ウペペサンケ山の標識と三角点はあるが、通常ここは糠平富士と呼ばれているピークで、最高点はこの先にあって14メートルほど高い。

あまり乗り気でない二人を促して1時間の行程という最高点へ向かった。
ガスで先の全く見えないコルへ大きく下る。高山植物が豊だ。花を愛でながら登り返したピークに「ウペペサンケ山本峰」の標識が立っていた。
展望も得られず、一服して三角点まで引きかえす。三角点の手前で定年組最後の一人に出会った。かなり遅れてしまったようだ。
三角点に戻ったところで雲の切れそうな気配が見える。しばらく待ってみることにした。ほんの一瞬だったが、アルプス的な山稜の先にウペペ本峰が頭を見せてくれた。せめてもの慰めだった。
30分ほど待ったが、再び濃くなったガスを見て下山することとした。

期待の展望には恵まれなかったが、これで深田久弥の意にかなった日本百名山を踏破し終ったという満足感が、頭の片隅を占めていた。 

下山後、ずぶぬれのズボン、シャツ、ジョギングシューズなどを渓流で洗ってから二人と別れた。彼らは明日ニペソツへ登る予定だという。
然別湖近くの山田温泉に入ってさっぱりしたあと、明日予定している日高山脈北部の伏見岳登山口へ向けて自動車を走らせた。

《ウペペサンケ山で目にした花で記憶に残っているもの》 
イワブクロ、コマクサ、ハクサンイチゲ、ジムカデ、チングルマ、ヨツバシオガマ、ウサギギク、キバナシャクナゲ、ミヤマダイコンソウ、チシマキンバイ、ハクサンボウフウ、タカネバラ、ハイオトギリ、ウメバチソウ・・・・