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山行報告-荒倉山(1432m)

長野県戸隠 2001.08.21 単独
コース 竜虎トンネル(5.50)−−−霧見岳−−−砂鉢山(6.55)−−−霧見岳−−−竜虎トンネル(7.40)
信州百名山
戸隠高原でキャンプをしていたが、台風が来ると言うので急遽宿を手配、今日はそちらへ移動することにしていた。

明け方はまだ台風接近の兆しが見えない。早朝に登って来られる山ということで信州百名山「荒倉山」へ行くことにした。
1993年、今から8年前の晩秋に登ったことがある。

戸隠宝光社方面から鬼無里村へ通じる国道を走ると、前回登頂時に登山口のあった荒倉キャンプ場の道標が立っていた。
記憶とちがって舗装された立派な道で驚く。それほど長い道ではなかったと思うのに、どんどん山奥へと入って行く。
ついに峠らしい最高地点を過ぎて今度は下って行くと短いトンネルを抜けた。そこに「紅葉の岩屋」という道標があった。紅葉の岩屋が登山道の目やすである。能で知られる鬼女「紅葉」伝説の地で、鬼女が隠れたといわれる岩屋あって、能愛好家などが訪れるという。

前回はキャンプ場からの登山だったが、そのキャンプ場はもっと下ったところにあるようだ。自動車で上がってきた道も前回の道とはちがったていたらしい。
「紅葉の岩屋」の道標から歩き出す。
すぐに岩屋への道を左手に見送って、荒倉山へは右へと登って行く。3、4分で山道が十字交叉していて道標が立っている。荒倉山という表示はないが「霧見岳」という表示にしたがっ急登の尾根に取りつく。かなり急な道ではあるが、登山道ははっきりしているし、刈り払いもされていて歩きやすい。右手に険しい岩峰を連ねる戸隠山を垣間見ながら登って行く。
行く手を遮るような急登にぶっつかるが、鎖が設けられていてこれにすがって上がりきると、その先が標高1406メートルの霧見岳であった。行程の半分弱という地点である。
見る見る雲量が厚く、多くなって行く気配だ。雨が落ちてこないうちにとにかく急ごう。

下りとなった尾根を伝って行く。岩場を避けて斜面をへつったり、中小のアップダウンを何回も繰り返す。霧見岳までは手入れされていた道も、その先藪が張り出して歩きにくくなってきた。足場も不安定なところが多い。
清水栄一著「信州百名山」によれば、ほとんど登る人もいない山だと書かれている。
霧見岳から先には道標らしいもの一つとして見当たらない。迷いやすいところもあるが赤布を確認して行けば問題はない。
荒倉山という一つのピークはない。戸隠連峰の南にひと塊となって盛り上がった山域を総称して荒倉山と呼んでいるらしい。その最高点は標高1432メートルの砂鉢山である。通過した霧見岳とはほとんど変わらない標高だが、アップダウンを繰り返すのでずいぶん登ったような気にさせられる。

木の間越しに砂鉢山のピークが見え隠れする。すぐ目の前に見えるのになかなかたどりつけない。樹木の切れ間から戸隠連峰のほかに白馬連峰が鮮やかに浮かび上がった。白馬がこんなに近いのかという感じだ。
巨岩の右側基部を通過して、再び下り、また登って行く。いくつ登り降りを繰り返したか、林床の潅木類がまばらになり、歩きやすくなってくると山頂の近づいたのを感じる。

山頂は樹木に取り囲まれて展望はまっくない。山名表示のプレート一つとして見当たらない、あるのは二等三角点と測量用の赤白のポールが1本、淋しい頂だった。登山道はここで途切れてこの先には登山道が見当たらなかった。
今でもここを訪れる登山者はごくわずか、そんな雰囲気がかえってこの山の印象を強いものにしてくれた。
山頂までの所要は1時間ちょうど、普通に歩くと2時間はかかると思われる。

来た道を駆けるようにして下った。