山行報告2067

三周ケ岳=さんしゅうがたけ(1292m)

岐阜県 2001.10.13 単独
コース 林道終点登山口(6.00)−−−幽玄の滝(6.50)−−−夜叉ケ池−−−三周ケ岳(8.10-20)−−−夜叉ケ池(9.00-9.10)−−−幽玄の−−−登山口(10.05)
秋色の里 美濃地方坂内村の3座(貝月山・蕎麦粒山・三周ケ岳)を行く

≪その3≫・・・夜叉ケ池から三周ケ岳  

前日、蕎麦粒山登頂のあと、夜叉ケ池登山口への途中にあるバイクランド駐車場で夜を明かした。深夜何回も目を覚ましたが、そのたび降るような満天の星が輝いていた。  
ところが朝、雨が降っている。これはどうしたことか。予報でも今日は全国的に秋日和となるはず。しかし現に降っているものはどうしようもない。  
とりあえず林道最奥の登山口へ自動車を向けた。  
自動車が2台とまっているが、登山への出発は私が一番のようだ。雨具に身をかためて小雨の中を行く。  
しばらくするとストーマから便が出てきた。洗腸からの経過時間ではまだ先だと思っていたのに予想外の排便、雨の中でパウチを貼ったりしていると、高校生の4人パーテイーが大きなザックを背負って追い越していった。夜叉ケ池から三国山へ藪山縦走とのこと。  

夜叉ケ池までは観光地並の整備された道で、なんの問題もなくファミリーでも安心して歩ける。  
枝沢をまたぐたびに小さなアップダウンを繰り返すながら少しづつ高度を稼いで行く。小雨が落ち、霧が谷を埋めて気分が盛り上がらない。夜叉ケ池までは、随所に小さな沢があって飲み水には不自由しない。
岩壁から滑り落ちる幽玄の滝を過ぎ、夜叉壁を伝い落ちる昇竜の滝を見て、しばらくすると岩のむき出した登りになる。ロープが固定されているが、これに頼るほどのこともない。ここを登りきるとすぐに馬の背のような鞍部になって、そこに夜叉ケ池があったのだが、濃霧のためにまったく気づかずに通り過ぎてしまった。  
まだ夜叉ケ池につかないのか、時間的にも変だ、変だと思いながら登って行くと、どうも通り過ぎた痩せた尾根の登りがガイドブックに載っている夜叉ケ池からの登りだったような気がする。池らしいものは全く見えなかったが、通り過ぎたのは確かなようだ。とにかく三周ケ岳をめざして進んだ。  

ちょっとした展望の良さそうなピークに出た。後で調べると1252mのコブだったらしい。ここから二つ三つ小さなコブを越えて行く。低潅木の尾根道の部分は、天気が良いと格好の展望コースのように思われる。背丈ほどのスズタケの藪が繰り返しあらわれて、軍手をはめた手で押し分けながら進む。今日もまたびしょ濡れだ。そんな中、点々と赤く染めるヤマウルシだけが際立つように目立っていた。昨日の蕎麦粒山もこの三周ケ岳もヤマウルシが実に多い。ウルシにかぶれやすい私は、多分家に帰ってから2、3日すると発疹に悩まされることだろう。  

どこを歩いているのか皆目わからないうちに、少し大きい下りがあって、ブナ林のコルから登り返すと突然目の前に三周ケ岳の頂上があらわれた。霧に目隠しされ、何が何だか皆目わからずに、ただ踏跡だけをたどって歩いてきたら、突然山頂に着いてしまったという感じだ。そう言えば三周ケ岳を示す道標は、ついぞ一つもお目にかからなかった。この山は有名な夜叉ケ池の陰に隠れてずいぶん冷遇されているようだ。  
一等三角点にもかかわらず、朽ちかけた粗末な山頂標柱が傾きかけて立てっているだけだった。濃霧で展望は閉ざされ、山頂を踏んだというだけで下山の途につた。  

帰りはわずかに霧が薄くなって、今度は夜叉ケ池を見落とすことはなかった。池畔へ降りてみたが、神秘の池という雰囲気とはずいぶんちがっている。山の中のありふれた少し大きめの池という感じしか持たなかった。直径数十メートル程度の池だが、霧で対岸まで見とおせない。やや拍子抜けした気持ちで池を後にして山を下った。  途中、小雨の中をお年寄のグループなど、かなりの登山者が夜叉ケ池へ登って行くのにすれちがった。   
往復4時間強、ゆっくり歩いたつもりなのに、予定よりだいぶ早い下山だった。  
天気には恵まれなかったが予定の3座を登り終わって、再び大垣市から東名阪桑名東IC経由帰路についた。