山行報告2073

錫杖ケ岳=しゃくじょうがたけ(676m)

三重県 2001.11.24 単独
コース 錫杖湖畔ふれあい公園(6.20)−−−Aコース登山口(6.35)−−−稜線(7.15)−−−錫杖ケ岳(7.40-55)−−−成覚寺Bコース登山口(8.40)−−−ふれあい公園(8.50)
錫杖ケ岳は岩のピーク

岐阜、信州方面の山へ出かけた帰途、東名阪道を奈良へ向かって自動車を走らせる。四日市あたりから鈴鹿山系が見えてきて、その山並みを眺めていると、ついで亀山が近づくにつれ真正面にひと群れの山塊があらわれ、中に目を惹く鋭鋒がある。
帰途はたいてい午後のために、その山塊は逆光のシルエットとして眺める。高距感も十分、1000数百メートルはありそうな威容は鈴鹿山系以上だ。この山にいつか登りたいと思っていたが、山の名前もわからない。
ふとしたことから三重県津市の郊外に位置する錫杖ケ岳というとがわかった。
北アルプス笠ケ岳南部の錫杖岳(2168m)と同名である。シルエットは一見そんな険しさに匹敵する山容をみせてくれる。
ところが標高はたったの676メール。見た目との相違に思わず「えっ、ほんうですか」と言いたい。

とにかく何年も気にかかっていた山だったので、絶好の快晴のもと登りにでかけた。登山というにはおこがましい低山、登山対象の山としては最低限の高さだろう。
芸濃ダムの錫杖湖畔にあるふれあい公園駐車場から歩き出した。
矛先を天に向けたような三角錐の山頂部だけが見える。
Aコース登山口の大きな道標から地道の林道へ入り終点まで行く。細い山道となり植林の中を登るようになる。思いもかけないほど急な登りがつづく。
山道に入って30分で稜線へ着いた。かなりの汗をかいている。狭い稜線の左は桧植林、右は落葉樹林とはっきり色分けされている。這い登るような急登がしばらくつづいて小さなピークに着いた。錫杖ケ岳かと思ったが、どうやらちがうようだ。
小さく下ってから登り返す。ここも急な登りで登山口からはもう1000メートル近くも登っているような気がして来る。途中からBコースが合流、丸太の階段が整備されて人工色が濃くなる。
潅木帯に変って明るくなると、そこに休憩舎があった。山頂はそこから1、2分登ったところにあった。

岩石の堆積した山頂はちょっとした高山の雰囲気がある。高度計を見ると標高差は500メートルだった。
360度の展望台。しかしこれという山は鈴鹿山系くらいのもの。空気が澄んでいると木曾御岳も見えるらしい。自動車の行き交う東名阪道、そして伊勢湾が朝日に銀盤の輝きを見せていた。

帰りはBコースから下山。上から下まで丸太の階段が設置されていて何だか味気ない。急な階段というのはかえって脚にこたえる。下りは1時間10分だった。

急登の連続、山頂の雰囲気、676メールの低山とは思えない登りがいがあった。
「山椒は小粒できりりと辛い」というが、これを山に当てはめれば、さながら錫杖ケ岳ということだろう。少なくてもこの程度の低山の中では出色の山であった。