山行報告2090

大峰山系
釈迦ケ岳
(1800m)孔雀岳(1779m)仏生ケ岳(1805m)

奈良県 2002.05.13 単独
コース 自宅(3.10)===林道不動谷線登山口(5.25)−−−尾根上分岐−−−古田森−−−釈迦ケ岳(6.50)---孔雀岳(7.35)−−−仏生ケ岳(8.20)−−−休憩(8.30-40)−−−孔雀岳(8.55)−−−釈迦ケ岳(9.40-45)−−−古田森(10.10)−−−尾根上分岐(10.25)−−−登山口(10.50)
未登の大峰山系のピーク2峰を登る
釈迦ケ岳より孔雀岳(右)と仏生ケ岳(左)をのぞむ

先月19日以来、久々の登山に出かけた。
大峰山系の孔雀岳と仏生ケ岳が目標。奈良へ転居してから5年、大峰山系主要のピークはあらかた登ったが、この二つが残っていた。この先登るチャンスがあるかどうかわからないので、晴天を見極めて登ることにした。

3時10分、マイカーで自宅を出る。R168十津川村旭口に釈迦ケ岳登山口の道標がある。
旭林道不動谷線を約17キロ、途中ダートもあるが比較的走りやすい林道を30分強疾駆すると釈迦ケ岳登山口の標識がある。

取りつきは杉の植林だが、間もなく芽吹きはじめたばかりの明るい雑木林に変る。
ひと登りすると峠からのコースが合流する尾根上に出る。道標にしたがって釈迦ケ岳へ向かう。初々しい新緑が目にしみる。緩い登りをしばらく行くと、尾根は広々として来てブナなどの高木も見えるようになる。
落葉高木の疎林と林床の小笹が、ゆったりとした趣を醸している。奈良周辺の山では珍しい広濶とした光景だ。
ポイントの「古田森」は知らぬ間のに通過してしまったしらしい。樹間の釈迦ケ岳を望みながら、やがて大日ケ岳方面からの奥駈け道と合して、最後の急登を詰めると一等三角点釈迦ケ岳山頂に到着。早朝にてほかに人影はない。
大気の澄明度も良く、大峰南端から熊野の山々、八経ケ岳、これから向かう孔雀岳や仏生ケ岳が見える。遠く金剛・葛城山も明瞭にのぞめた。

休みもとらずに先へ向かう。
痩せた岩尾根を急降下、高低差200メートルほどの最低鞍部は絶壁の基部を巻いて行く。岩の割れ目にピンクのコザクラが点々と咲いている。
小さな鎖場が何ヶ所かあらわれる。痩せた岩稜を起伏して行くと孔雀岳へ到着。樹林に遮られて展望はない。
そのまま仏生ケ岳へ。仏生ケ岳は、日本300名山で一等三角点でもある釈迦ケ岳より4メートル高い。
広い稜線にはブナなどの落葉高木に混じってダケカンバもあった。ここは近畿としては貴重な中級山岳として、景観もそれらしいものを持っている。気になるのは立ち枯れのブナが目立つことである。植生の交代期にあたっているのかもしれないが、やがてブナが絶えてしまうのだろうか。
白骨のように立ち枯れた針葉樹、長い年月を経過した倒木など、荒涼とした景観の稜線がつづく。

そろそろ仏生ケ岳山頂のはずたと思って注意していたが、登山道は高みを巻くようにして通り過ぎてしまった。そのうちにピークを往復できる道があるだろうと足を運んだが、いつか下りに入っていた。
戻りながら注意深く観察すると、テープが2つほどある。道型はないが、そこから高みを目指すと、何となく昔は道であったように痕跡がうかがえる。数分登るとコメツガに囲まれた三等三角点があり、手製のプレートに「仏生ケ岳」の表示があった。今はコースからも外れて、訪れる人もいない忘れられた山頂となってしまったのだろう。
仏生ケ岳まで4時間を予定していたが、所要3時間弱だった。

帰りは孔雀岳手前の鞍部で、倒木に腰を下ろして10分ほど休憩をとったが、あとはたいした休みもなく、もとの登山口へと下って行った。