山行報告2110

御陵山=おみはかやま(1822m)

長野県 2002.12.03 単独
コース 信州峠(10.45)===馬越峠(11.50)−−−送電鉄塔(11.25)−−−御陵山(11.45-12.05)−−−送電鉄塔(12.20)−−−馬越峠(12.40)
≪馬越峠から往復、眺望にも恵まれ寂峰≫
天狗山と八ヶ岳をのぞむ
横尾山下山が予定よりだいぶ早かった。このまま帰宅するのも惜しかったので、持参の五万分の一地図『金峰山』を広げて眺めて見ると、まだ登ったことのない御陵山が目についた。簡単に登れそうだし、ついでに登るのにはちょうど手ごろのように思われる。

信州峠から登山口の馬越峠までは30分もかからなかった。
川上村から見上げる御陵山の標高は、横尾山より4メートルだけ高い。冬の柔らかい日ざしをいっぱいに浴びて、のどかな冬枯れの姿を見せている。積雪の心配もなさそうだし、日だまりハイクにはもってこい。
馬越峠には天狗山への道標はあるが、御陵山に関する案内はまったく見当たらない。峠には2体の石地蔵があり、そこから10メートルばかり川上村に寄ったところに、わずかな踏跡が確認できる。この踏跡に取りついて、大岩の右手を巻くように急斜面を這いあがると潅木の尾根上に出る。
この先も山頂まで道標の類はまったくないが、目印のテープがところどころについている。稜線から離れないように小さな起伏をいくつか越えて行く。コースは登山道として整備されたものではなく、訪れる人の踏跡が自然に道となった、そんな感じだ。うっかりすると道をそれてしまうこともある。潅木の枝が張り出していたりするが、冬枯れのこの季節は気になるほどでもない。乾いた落ち葉が吹きだまって、足首まで埋まってしまうのも心地いい。

積雪の心配はなさそうだったので、この山はジョギングシューズにしたが、それで十分だった。
御座山が一つ谷を隔てて大きく眺められる。振り返ると天狗様が鼻を天に向けたような天狗山と、その先に男山。ときおり立ち止まって展望を楽しみながら足取りも軽い。
送電鉄塔を過ぎて、表面が氷化した雪を踏むようになり、じぐざぐの急な登りを詰めると、御陵山の頂上だった。
かなり傷んだ木製の祠が、ヒメコマツが覆い被さるようにして祀られていた。 御陵山という特色ある名前にはどんな由来があるのだろうか。“御陵”というのは天皇の墳墓、しかしそれと関係あるとは思えない。また天皇神格の時代に“御陵”などということばが軽々しく使えるなんていうこと考えられない。何かが訛って“おみはか”となり、それの当て字かもしれない。そんなことを考えながら無風の日だまりに座して、しばらく展望を楽しんだ。
凸兀として聳える八ヶ岳連峰、佐久の名山天狗山や御座山、冠雪の浅間山から籠ノ登山へとつづく山並み、遥かに見える北アルプスは鹿島槍の双耳がはっきりとのぞめる。横尾山では雲が邪魔していた甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳も姿をあらわし、さらに金峰山、国師ケ岳、茅ケ岳など馴染みの山々。
快晴で大気が澄んでいれば、見飽きぬような更にすばらしい展望が楽しめたに違いない。
小さい山ながら、1日2山に満足して馬越峠へと下った。