追想の山々1363  

 迦葉山=かしょうざん(1322m) 登頂日1995.10.15 単独
弥勒寺(5.50)−−−迦葉山(6.40-6.45)−−−奥の院巨岩の頭−−−弥勒寺(7.35)
所要時間 1時間45分 群馬県 三等三角点
潅木の茂みの中の山頂
昨日、武尊山へ登たあと弥勒寺駐車場へ来た。夜の暗がりの中で夕食を作り、車内に宿泊。風もない夜、人工的な明かりひとつ見えず、満天の星に見とれた。

明るくなるのを待って起床。砂糖をたっぷりと入れた紅茶で眠気を取り迦葉山へ出発。
弥勒寺の薄暗がりの石段を登ると、本堂の中に大きな天狗の面が不気味な妖気をかもしている。建立から1200年の歴史を有する古寺で、天狗の寺としてその名を知られ、多くの参詣人を集めているという。
境内を抜けるといきなりの急登である。
無名の山ではないと思っていたのに、登山道の標識は全く見当たらない。色づきはじめた樹木の中を登って行く。昨日の武尊山につづいて今日も絶好のハイキング日和だ。すぐに巨岩の基部に建つ奥の院に着く。風雨に老朽化した奥の院に参詣。巨岩を左から巻くようにして、岩の裏側へ回って行ったところで朝陽が昇った。岩と岩との間に爽やかな陽光が踊り輝く。紅葉が太陽の光を浴びて生きかえったように美しく映える。
紅葉を楽しみながら“御嶽大神”の石碑まではけっこう急な登りだっ た。しかしその先は樹林の緩い道に変わって、雰囲気のいい広葉樹林が山頂へといざなってくれる。
午前6時、山頂着。潅木などの梢が邪魔になって展望の方はもうひとつだったが、武尊山が意外なほど近くに逆光のシルエットで聳えているのが望めた。

下山にかかると、野鳥たちの夜明けのさえずりがひと際よく通っていた。巨岩のところで夫婦連れに出会って道をたずねられた。山頂に小さな表示があっただけで、一切道標がないのだ。山慣れない人はまごつくのも無理はない。
下りは巨岩の反対側を回ってみると、鉄ばしごで岩棚の上に出てしまった。岩棚からは見上げるような岩が聳え立ち、太い鎖が取りつけられている。ちょっとためらったが、思い切って鎖を頼りに最上部まで登って見た。さすがに足の裏がむずむずするような高度感がある。迦葉山の山頂が紅葉と岩のコントラストで朝陽に輝き、浅間山が鮮明に望めた。