追想の山々1374  

裏 妙 義
 御岳
(963m)・丁須ノ頭(1057)
登頂日1994.11.26 単独
横川駅(8.30)−−−登山口(8.45)−−−鼻曲ザンゲ岩(9.15)−−−御岳(10.05-10.10)−−−丁須の頭(10.50-11.10)−−−三方境(12.05)−−−入牧橋(12.50-13.05)−−−横川駅(13.55)
行程 5時間25分 群馬県 御岳 三等三角点
丁須岩
先週の谷急山につづいて、また裏妙義へでかけてきた。季節はこの1週間目にわかるほどに進んでいた。
晩秋と初冬との狭間にある山は静かだっ  た。

秋らしい高い青空の広がった朝、信越線鈍行列車の車窓からは、両神山や日光の山々が遠く藍色の影を見せていた。
高崎駅で2両編成の電車に乗り換えると、榛名山や薄く雪をいただいた浅間山が近づいて来る。

8時30分、横川駅から歩きはじめる。肌に冬の寒さを感じる。うら寂しい国道を碓井関所跡から登山口へと向かう。
ガイドブックで頭に入れて来た登山口とは少し違ったが、吊橋先の登山口から七福神を通り、御岳〜丁須岩を行く妻妙義稜線上の縦走コー スをとった。
木立にはまだ名残の紅葉が陽に映えているが、あらかた落葉した潅木林にはすでに冬の装いが濃い。
七福神の石仏が途切れたところで、鎖がつけられた岩場があるが、鎖を必要とするほどてもない。そこを登りきった先は虚空に突き出してよな岩頭になっていた。鼻曲りの岩場で好展望台でもあった。眼下には碓井川沿いの集落や、横川駅が冬の陽を浴びて箱庭のようなただずまいを見せ、正面には谷を挟んで表妙義の奇岩の峰々が間近い。

鼻曲りからは稜線の岩稜を幾つも越えて行くが、緊張を強いられるほどのところはなく、先年の表妙義縦走に比べれば、何ら気なるところはない。ただこのコースは起伏を激しく繰り返すので、体力的には消耗する。御岳までは考えいたより歩きでがあった。
岩室を過ぎると、展望のいい石祠のピークで御岳と勘違いしそうだ。ピークで浅間山をスケッ チしながらひと休みしてから岩稜を下り、再び登り返した所に「御岳」表示があった。
繰り返す鎖場も難無く通過して丁須岩の基部に着いた。
高さ3〜4メートル、丁字型をした岩には鎖がついているが、ちょっと怖くて取りつくことができなかった。しかし基部からでも表妙義の眺めが手に取るようだし、これからたどる赤岩や烏帽子岩の奇抜岩がにょきにょきと天に向かっているのも望める。

展望を楽しみながら一服してから丁須岩を後にした。
丁頭岩の先でちょっとした鎖場を通過し、次のルンゼの長い鎖の下りが、このコース中もっとも岩場らしい雰囲気があった。
ほとんど行き交う人も見当たらない静かに初冬の山歩きを満喫して、風穴尾根の頭まで来れば、もう岩場は終わりだった。歩きよくなった尾根道を、ぐんぐん飛ばして下って行くと三方境の鞍部で、先週妻と来たばかりのところだ。

下山は西側の入牧橋コー スをとった。下って行くと、ところどころでカエデの紅葉がまだ美しかった。足にここち良い落ち葉を踏みながら、一気に里目がけて下った。
最初に現れた民家近くの田の畔に腰を下ろして遅い昼食にした。田園の向こうに高い柿の木が見える。いくつか残った柿の実を、野鳥がついばむ風景が、実に長閑な初冬の里だった。
国道をてくてく歩いて横川駅へと向かった。