追想の山々1379  

奥多摩 戸倉三山
刈寄山(687m)・市道山(795m)・臼杵山(842m)・城山(434m)
頂日1990.02.12 単独
沢渡橋(8.10)−−−採石場登山口(8.45)−−−刈寄山(9.15-9.30)−−−入山峠(10.25)−−−724m三角点(11.00-11.05)−−−市道山(11.40-12.00)−−−臼杵山(12.50-12.55)−−−荷田子峠(13.40)−−−城山(14.20)−−−沢渡バス停(14.40)−−−5日市駅(15.10)
刈寄山・・二等三角点  市道山・・三等三角点  臼杵山・・三等三角点  城山・・三等三角点
行程 7時間00分 東京都
戸倉三山登山口の沢渡橋でバスを降りたのは私だけだった。
戸倉三山入口の道標を目にして秋川にかかる橋を渡る。採石場への道は、雪解けの水と土とがこねられて、まるで練りたてのモルタルを流したようだ。
30分ほどで採石場に着いた。無残に削られた山肌を見て、ようやく登山道らしい山道に入る。薄く雪の残る沢筋を少し遡ると、道は右手の山腹にからんで上っているのが目に入った。
右手山腹の急登にとりつくと山歩きの気分になって来た。じぐざぐに切られた道を高度を上げて行く。ポピュラ ーなコースにしては道標が見当たらないのも変な気がする。ひと汗かいて潅木や桧の樹林を抜け出ると明るい空が広がって、すぐ上が戸倉三山の一番目、刈寄山687メートルの山頂だった。四阿屋が建ち南東が開けて明るいピークだった。 純白の富士山が8合目から上だけのぞいている。

頂上から尾根づたいの通が続いていたので、何も考えず当然のようにその道を進む。桧樹林に入って一旦下ってから再び尾根にとりついて、あとはガイドブックどおり忠実に尾根道をたどった。落ち葉が散り敷く道は気持ちいいが、ハイカーが通う道にしては藪っぽい。だんだん傾斜が急になり思いがけぬほど下って行く。沢まで降りてしまいそうだ。周囲の山などを眺め回し、変だと疑念を抱く。
はっきり確認できる地点まで引き返すのが定石、素直に下って来た薮尾根を引き返す。これだけ下ってから引き返すのも楽ではない。結局刈寄山まで戻ってしまった。約40分のロス。
山頂で再確認すると、間違えた道とは全く逆方向に正規の登山道があった。採石場から沢筋に入り、山腹の急登にとりついたのが誤りで、沢に沿ってそのまま真っすぐ行けば、ちゃんと道標があったのだ。初心者向きのこの山に道標がないはずはなかった。

この後は多すぎる程の道標で迷いようもない。山頂から林道に下ってから、縦走路へのよく踏まれた尾根道に入る。小さく何回も凹凸を繰り返してトッキリバ(鳥切場)に着いた。登山道はここで90度右に折れて峰見通りを市道山へと向かう。
峰見通りは小突起の連続で、低山ながらけっこうハードだ。
724メートル三角点標のある明るい雑木林の日だまりで少休止を取る。三角点標から大きく下ったところが小さな峠で、ここが本日の三山縦走コースのちょうど中間だった。
繰り返す上り下りにいいかげんうんざりする頃、丸太で整備された登りにとりつくと、頂上の近づいたことを感じる。階段状の登りを終わってしばらく行くと、道標が市道山と陣馬山の分岐を示している。ここは逸歩地というらしい。あとわずか登ると二つ目のピーク市道山の頂上だった。行程は地図の感じよりずっと長かった。11時40分、時間もいいのでここで昼食にする。

12時ちょうど、最後の臼杵山を目指して頂上を後にする。頂上からは急な下りがつづき、勿体ない思いで足を運ぶ。ときおり木の間越しに三頭山や御前山が見える。
これまでとは違って、市道山からはずっと北斜面のコースとなり、初春を思わせるような明るさはない。二つの目立つ突起を越えると雪の残る臼杵山の頂上だった。歩いて来た凹凸の多い縦走コースが確認できる。南北に細長い頂上の北側には小社があって木製と石造りの祠が祀られていた。寒々しい空気に包まれていて長居する気にもなれずに山頂を辞す。

下山道は雪が多く残っている。途中にあった祠が『ぐみ御前』と いうそうだ。《戸倉山 菜葵御前》 と石に刻まれている。
薄暗い樹林の中、それでも下りは早く、あっと言う間に荷田子峠まで下ってしまった。峠には左へ荷田子バ ス停15分とある。1時40分でまだ時間は早い。もう少し先で盆堀部落へ下り、車道を今朝ほどの沢渡橋まで歩くとちょうどよさそうに思って山道を先へ進む。
右手への下り道が分かれる分岐に出る。これが盆堀への降り道らしい。尾根を直進する道には『城山』の道標があった。もう少し先へ進んでから盆堀へ降りてもいい。そう思って城山方面への尾根を行ってみた。ところが盆掘への下り道があらわれない。仕方なくそのまま先へ進む。どっちにしてもこのまま行けば、五日市方面に行くことは間違いない。
うんざりするほど上り下りの多い尾根だ。立派な登山道とは言えぬまでも、道形がついているので心配はない。それにしても思いの外歩かされて、ひと汗もふた汗もかいて、やっと尾根が終ったところが城山の三角点だった。戸倉三山のつもりが、戸倉四山になってしまった。
五日市の市街を一望できる好展望が開けていた。

城山から一気に下ったところが立派な構えの光厳寺だった。ここからバス停までは人家の間を抜けていく曲がりかするとすぐだった。
バスの時間まで40分もある。地図の上では五日市駅まで4〜5キロ、歩いても到着時間はさほど違わない。てくてく歩いて、結局バスより先に駅へ着いてしまっ た。