追想の山々1381  

高指山=たかざすやま(1268m) 頂日1996.04.13 単独
山中湖畔平野(6.45)−−−高指山−−−大棚の頭(8.30-8.40)−−−山伏峠(9.00)−−−平野(9.30)
行程 2時間45分 神奈川・山梨 三角点なし
ハイキングコースからの富士山
東京では例年になく遅く開花した桜が、今盛りと咲き誇っている。戻り寒波に震えた翌日、冬型の気圧配置となり、富士山の眺めがよかろうと、山中湖畔の高指山へやってきた。
昨日東京の氷雨は、標高1000メートルの山中湖は雪だった。うっかりして登山靴を忘れてしまった。あいにく山は降雪直後、ジョギングシューズしかない。引きかえすのも残念だ。少しだけでも登って富士山を眺めたい、そう思ってジョギングシューズで歩いてみ ることにした。

平野集落で、道志方面への国道を少し入ったところに空き地を見つけて自動車を止めた。
空き地の前にあった『東海自然歩道、切通峠』への道標にしたがって出発する。畑や民宿のなかの細道を抜けて国道へ出る。しばらく国道を歩くが、すぐに国道と分かれて別荘地帯へ入って行く。
車道を離れて霜柱の道を登りはじめる。この登りの山腹も別荘だらけ。大自然の中に点在する静かな別荘地というより、ちょっとした集落という雰囲気である。
やはり雪が出て来た。別荘地を抜けると、冬枯れのカヤトに被われた高指山が目の前にあった。直線では手の届くほどの距離だが、ルートは右へ大きく回りこんでいる。平坦を少し歩くと三国山方面から高指山をつなぐ稜線へ合わさる切通峠となる。

朝日を背にしながら高指山へ向かう。南向きのこの稜線は幸い雪はほとんど残っていない。山中湖が眼下に広がり、真っ白な富士山は典型的な絵ハガキのそのものだ。
高指山着は7時半、平野から45分だった。冬型の気圧配置が残っているため、この季節とは思えないほど風が冷たい。
ここまでは雪が少なくて何とか歩けたが、さてこれからどうするか。予定では高指山から稜線を北へたどり、いったん山伏峠へ下って、再び 石割山へ登り、平野へ下山というコースを考えていた。ジョギングシューズでは無理だろう。絵ハガキのような富士山を眺めたり、スケッチをしたり、写真を撮ったりしながら、あれこれ考えをめぐらせる。

結局山伏峠まで行き、そこから国道を平野まで歩いてみることにした。高指山山頂には菰釣山へ至る稜線縦走のルート標識が立っている。途中まではこの稜線をたどることになる。
思ったとおりたちまち足首までの雪となった。この状態がつづくと、ジョギングシューズでは厳しいかもしれない。雪を蹴散らして歩くというわけにはいかない。そおっと雪の上に足を下ろすようにして下って行く。まるで猫の忍び足だ。滑りやすいために、姿勢もへっぴり腰となってみっともない。
小さなこぶをいくつか越えて、山伏峠との分岐があってもいいは ずだが、なかなか分岐にならない。足元ばかりに気をとられて見落としたのかもしれない。戻ってみようかと思いはじめたころ、山伏峠と菰釣山との分岐を示す道標の三叉路となってほっとする。

三差路でコースを外れて5分ほど雪の急登を登ると大棚の頭(1268メートル)だった。ここも山中湖と富士山の眺めが優れていた。
雪で足元の濡れを気にしながら山伏峠へ下る。分岐から20分ほどで山中湖ホテルの前に降り立った。ここが山伏峠で登山道の終点だった。
山伏峠からは舗装された国道を平野へ向かって下って行った。