追想の山々1388
  

 金峰山(2595m)・朝日岳(2579m)  登頂日1994.07.10 単独
大弛峠(6.25)−−−朝日峠(6.45)−−−朝日岳(7.10)−−−金峰山(7.50-8.10)−−−鉄山(8.40)−−−朝日岳(9.00-9.05)−−−大弛峠(9.45)
行程 3時間00分 山梨・長野県 金峰山 三等三角点
鉄山より五丈岩をのぞむ
数年振り、2回目の金峰山は大弛峠からの最短距離を往復した。
梅雨の真っ最中、どっちを向いても予報は雨模様。雨の中を歩く覚悟でやって来た。
山麓の村は、やや強い雨と濃霧だったが、長い林道をたどって高度を上げていくほどに、だんだん雲も薄くなって、峠に近づくころには晴れ間もいくらか見えて来た。それにしてもこの林道は長い。最後の4〜5キロは車体の腹を擦るような悪路で、ハンドルに神経を集中させられた。

峠の駐車場には10台ばかり車が停まっていた。
軽いザックを背にして、早速山頂へ向かう。この峠はすでに標高2300メートルを越えている。山頂までの単純高低差は、わずかに300メートル弱。登る山は奥秩父を代表する高山でも、今日のコースは軽いハイキングというところ。

登山道に入ると、早々にシラビソなどの黒木の樹林が広がり、奥秩父らしい雰囲気が漂う。ひと登りしてから下った小広い鞍部には、ベンチがしつらえられている。朝日岳手前の朝日峠である。

鞍部から登り返せば朝日岳。樹林の切れた岩峰は格好の展望台の感じだが、 雲に閉ざされて見通しはなかった。
急なガレを下って行くと、『鉄山』の大きい標識がある。登山道から枝別れして鉄山ピークへ向かうか細い踏み跡が見えるが、そのまま通り過ぎる。
金峰山への道は、鉄山の北面を巻いて行く。この前南会津の大嵐山で名前を覚えたばかりの野鳥“うそ”の番が、私との距離を保ちながら、前へ前へと移動して行く。つかの間の道連れであった。

突然針葉樹林帯を抜け出ると、空が抜けたような広い空間域だった。いくつものケルンが不規則に林立している。なだらかな稜線上の砂礫を踏み、巨岩を踏んで金峰山山頂に立った。
数年振の山頂は霧が取り巻いて展望はない。かろうじて瑞牆山や八ヶ岳の片鱗が見え隠れするのが認められただけだった。  ひとまず目と鼻の先の五丈岩まで行って見た。てっペんまで登ってみようとしたが、素手では無理なようだった。
三角点の山頂へ戻って一服してから下山の途についた。

下山を始めてから、たった10分ほどの時間の経過で、雲上遥かに富士の高嶺が姿をあらわしていた。
帰りは鉄山のピークヘ立ち寄ってみた。五丈岩が見通せるほど、急激に雲が切れてきた。
朝日岳の岩峰から金峰山を振り返り、その先の岩場からは国師岳や奥千丈岳、雲の隙間の甲武信岳などを眺めて、10時前には大弛峠へと戻っ た。