追想の山々1393
  

 高谷山 たかたにやま(1842m) 登頂日1996.09.23 単独行
夜叉神峠登山口(6.20)−−−夜叉神峠(7.05-7.30)−−−高谷山(7.50)−−−夜叉神峠−−−登山口(9.00)
行程 2時間40分 山梨県 高谷山 三等三角点
高谷山山頂
足早に通り過ぎた台風一過、セオリーどおりの秋晴れを期待して北岳登山に向かった。北岳は相性が悪く、過去2回とも天気には見放されている。
3回目の今度こそという思いがあった。

芦安村の入口にある電光掲示板が、『落石のため夜叉神から先通行止』を表示している。
注意すれば通行できる可能性もある。取り敢えず夜叉神の森まで行ってみたがムダだった。道路はゲートでしっかり封鎖されていて、広河原まで入ることは不可能。
このまま帰るのももったいない。せめて夜叉神峠まで登って、白峰三 山のスケッチや写真を楽しんで帰ることにした。ほかにも予定の中止、変更を余儀なくされて、がっかりしている登山者が何人もいた。それぞれ夜叉神峠まで行ってみるというのも、私と同じだった。

夜叉神峠まで登ってみたが、天候は期待したほどの好天とはならず、ほとんど青空は見えない。白峰三山の7合目あたりから上は、樹木の紅葉が遠目にも赤や黄色が鮮やかに映えていた。
地蔵岳方面へ登って行く登山者を目にして、『私もという誘惑を感じたが、無断の予定変更は避けるべき』と自戒。
30分ほどスケッチをしたりしてから帰ることにした。夜叉神峠から下り始めてすぐ、高谷山への道標があった。どのくらい歩くのか見当がつかないが、“途中まででもいいから”と行ってみることにする。

展望はないがしっかりした道である。樹林の中を緩く登って行くと、夜叉神峠から30分もかからずに高谷山の山頂に立ってしまった。三等三角点がある。樹木に囲まれた山頂は、白峰三山方向だけ切り開かれ、北岳がのぞいていた。
さきほどより雲が低くなってきた。北岳へ登ったとしても、期待の展望はなかっただろう。そう思うと諦めがついた。
山頂からは桃の木温泉への下山コースもあったが、『上級者以外は入らないこと』と断り書きがあった。
途中、見つけておいたキノコを採ったり、マツムシソウをスケッチしたりしながら夜叉神の森へ下った。
家族連れや観光客が、夜叉神峠へぞくぞくと登って行った。