追想の山々1404  

 二ツ山(1826m)  登頂日2000.09.15 単独
鉄塔のところ(6.10)−−−林道終点(6.35)−−−中の鳥居(6.50)−−−上の鳥居(7.05)−−−二ツ山神社(7.15)−−−二ツ山(7.25-7.30)−−−林道終点(8.00)−−−鉄塔のところ(8.20)
行程2時間10分 長野県 ニツ山 三等三角点
二ツ山山頂
無名に近いが、二ツ山は鉢伏山から霧ケ峰へと延びる稜線上にあって、高度も1826メートルの中級山岳である。

下諏訪から和田峠への国道をたどる。樋橋という小集落に入ると、すぐに左へ別れる狭い道がある。注意しないと見落とす。勿論道標も何もない。多分これだろうという「感」である。
一車線の林道だが、はじめは道路状況に問題はなく順調に走れた。ただし、この林道が二つ山へのアプローチとして正しいのかどうかについては不安があった。
道は舗装から砂利道へと変る。とたんに勾配も険しくなった。カーブでは一度にハンドルを切りきれずに、切り替えして曲がることも2、3回。それも極端な急勾配ときている。四輪駆動にチェンジしてようやく登ってゆく。
やがて送電鉄塔の立つ小さな広場に出た。林道はここまで15分か20分ほどだっただろうか。歩けば1時間前後と思われる。道はまだ先へとつづくが、道路状況、駐車スペースを考え、ここから歩くことにする。

天気は良いはずだったが、上空はほとんど雲に覆われている。コメツガ、カラマツなどの樹木の間を通る車道は、広々としており、勾配もほとんどない緩やかな道である。防火帯にもなっているようだ。これならもう少し自動車を進めてもよかった。

10分ほど歩くと、四駆でもちょっと難しそうな凸凹の急勾配が1個所あって、車で来てもはここまでである。
急坂を登り、再び平坦な車道をたどる。結局鉄塔から25分で林道の終点となった。朽ちかけた二つの鳥居が、重なるようにして立っていた。ここから登山道へ入るが、なんの標識もない。

カラマツの木立と小笹、その中にミズナラも混じって気持ちいい登山道である。それほど厳しい登りではない。カラマツ林のつづく道は、秋の黄葉が美しいことだろう。
また鳥居がある。これも朽ち倒れそうな姿をしている。鳥居をくぐりミズナラとカラマツの混生する林を縫って登って行くと、尾根上に出たように感じるところがある。ここはミズナラが大きな林を作っている。尾根であるのはまちがいないと思うが、またすぐにカラマツ林の山腹をからむようになる。

次第に笹の茂みが濃くなってきて、それを分けるようにして歩かなければならなくなった。ただ道型ははっきりしている。
二つ目の鳥居から約15分でまた鳥居だ。額に「二ツ山神社」と書かれているのが何とか読みとれる。頭のつかえそうなこの小さな鳥居をくぐると、林床を一面笹が覆う平坦地だ。ここは小さな支尾根が集まったような感じになっている。
笹の背丈が少し高くなって、道型がほとんど判別出来なくなってしまった。右手の笹の中に踏み跡か獣道かはわからないが、かすかに道らしい様子がうかがえる。適当に笹を分けて高みへ登って行く。潅木の下をくぐったりして僅かの登りを終ると尾根に出た。そこに石仏が数体、さらにその上部にはやや大き目の石祠が祀られている。これが二つ山神社だった。

神社は二ツ山山頂の手前にある小ピーク上にあった。
ここから少し下って登りかえす。今度は道がしっかりしている。登りかえしたところに石碑が立っている。「国富立導」と彫ってある。何か戦時中を思い起こさせれような言葉だ。同じ潅木の中に「金桜神社」という石碑もあった。
石碑からは平坦同様の笹の道を進むと二ツ山山頂だった。標柱も何もない忘れられたような山頂に、三等三角点と棒杭だけが山頂であることを示していた。
霧の中に立ち枯れた木立が並んでいる。霧のために展望はゼロ。5分も進めば、鉢伏山と霧ケ峰をつなぐ主稜に出られるが、展望も期待できないので引き返すことにした。

このコースを歩く登山者はほとんどないようだ。結局、鳥居の「二ツ山神社」という額文字以外には、道標は一つとしてなかった。 誰にも会わず、静かな山を歩きたい人にはかっこうのコースと言えそうだ。