追想の山々1407  

 吉田山(1450m)  頂日2000.03.16 単独
堂所森林公園(7.15)−−−キャンプ場(8.15)−−−吉田山(8.45-8.50)−−−キャンプ場(9.10)−−−堂所(9.50)
行程 2時間35分 長野県 吉田山 二等三角点
≪伊那谷の山≫
吉田山山頂
登山口の高森町堂所自然公園はすぐにわかった。自然公園の前が浄水場になっていて、トイレもあるし、また山の神様が祀られていて、ここに自動車が2、3台くらいは置くことができる。

身支度をして出発する。カーブする舗装道路を上がって行くと、二又に分岐する。右手に取るとここにも駐車スペースがあった。
道が凍っていて滑る。注意しながら足を運ぶ。10分ほどで舗装された林道が終って、そこに「吉田キャンプ場」という案内板がある。ここで小さな橋で沢を渡ると登山道になった。
植林帯の道でところどころ雪が凍結している。植林帯はすぐに終り、明るい伐採跡地に出た。ここからしばらくジグザグの急登を登るようになる。登山道にはやがて雪があらわれてきた。

実は、昨日辰野では1日中雪が降ったり止んだりして、平地でも20センチほどの積雪があった。南信州に降る典型的な「カミ雪」だった。この吉田山も新雪が積もっていることだろうと、楽しみ半分、不安半分で出かけて来た。雪は確かにあったが、それはもっと以前に積もっていたもので、新しい雪はほとんど見えない。山頂はどうかわからないが、ひとまず順調に歩くことができそうだ。

伐採跡を登りきると尾根らしい感じになってきた。冬枯れた雑木林がつづく。
尾根の東側をトラバースする平坦道を進んで行くと、雪に覆われた小さな広場になった。大きな赤松に〆縄が張られている。半分壊れたようなプレハブ小屋、展望案内板、近くにはキャンプ場の表示もある。樹林の中にトイレらしい建物も見えるが、キャンプ場という雰囲気ではない。テントサイトがどこなのか、ここからは見ることが出来なかった。
天気が良いと、この広場から南アルプスの展望が良さそうだが、今日は山裾が見えるだけで、肝心の銀嶺は雲の中に隠れていた。

広場を数十メートル過ぎると、右手へ「出原」という道標があった。赤松の中をじぐざぐに登って行く。残雪が固く凍結していて滑る。じぐざぐが終ると、まっすぐ延びた尾根に変わった。勾配は比較的緩やかだ。赤松が途切れたところで、小さな明るい空間となった。吹き付ける風か冷たい。 ミズナラの高木林となった。道はほぼ平坦に延びている。雪はかなり厚くなってきた。昨日の雪がこのあたりから見えるようになった。雪上には人の歩いた形跡は認められない。

道型は確認出来ないが、尾根らしいところを歩いて行く。
平坦だった道は一変して急な登りとなった。ミズナラの樹林が実に良い雰囲気を醸している。アイゼンが欲しいような個所もあるが、足場を選び、木の幹を手がかりにしたりして、慎重に登って行く。
登りついたピークが吉田山山頂だった。
山頂周辺はミズナラの木々が取り囲んでいて、展望はまったくない。地味で静かな山頂だ。樹木の少し開けた場所に「吉田山」の標識が立っていた。雪が舞っている。樹幹に「前高森山」への道標があった。登山道が通じているのだろうか。それならいつか歩いて見たい。
山頂は一面雪に覆われているが、昨日の新雪は多くはなかった。せいぜい踝が隠れるほどのものだった。

下山は同じ道を戻った。途中わずかに南アルプス赤石岳、荒川岳あたりと思える山影を眺めることができた。眼下には伊那谷を蛇行する天竜川が光っていた。