追想の山々1408  

 飯士山 (1112m) 頂日1996.11.04 単独
岩原スキー場旅館街(5.45)−−−第三ペアリフト終点(6.10-6.15)−−−鋸山(6.30)−−−飯士山(6.40-7.00)−−−鋸山−−−第三ペアリフト終点−−−岩原スキー場旅館街(7.40)
行程 1時間55分 新潟県 飯士山 三等三角点
飯士山
金城山、坂戸山を登ったあと、六日町温泉で入浴して行く予定だったが、入浴だけで1700円といわれてびっくり。温泉はあきらめて、翌日登る予定の飯士山登山口湯沢町へ向かった。
高速道からは飯士山がよく見える。このあたりは越後三山をはじめ、谷川連峰など名だたる名峰が群拠する中にあって、標高わずか1000メートル余の小さな飯士山が、不思議なくらい存在感がある。特徴ある鋭鋒故だろう。

午後の陽が傾いて来たころ、岩原スキー場上部の旅館街へ到着。ここが飯士山へのスタート地点である。岩原スキーは古くからあった老舗のスキー場で、私も40年以上前からその名前は知っていた。このスキー場のゲレンデを有するのが飯士山である。
関越自動車道から幾度となく見慣れた飯士山の尖った頂が、ゲレンデ斜面の先に、夕暮れの陽を受けてそびえていた。
ゲレンデ末端にある旅舘街付近に車を止めて寝ることにした。日が落ちると急に肌寒くなってきた。スキーシーズンオフで人影はない。

標高が高いため、寒くて夜中に何回も目を覚ました。
明るくなるのを待って出発、絶好の登山日和である。霜が降りて初冬を思わせる朝だった。
ゲレンデの草むらの薄いところを選んで登って行く。リフト2本分を登った第3ペアリフト終点が、登山道への入口だった。標識はないが明瞭な登山道がある。
おおかた葉の落ちた潅木の尾根道を歩きはじめると、谷川連峰の稜線から昇った太陽が、背中に射してきた。幾条もの光線が一直線に走り、光の帯がドラマチックな光景を演出、厳粛さを覚える一瞬である。

足首まで埋まる落ち葉を、爪先で分けるようにして登って行く。なかなかきつい傾斜だ。分厚い落ち葉を踏みしめる足は今日も快調、元気はつらつである。
何ケ所か、ロープの固定されている急登を休まず登り切って、展望のいいピークに着いた。飯士山は小さなコルをはさんで目の前だった。
下から見ると、このピークと飯士山との間には、大きなコルがあるよに思えたが、取るに足らない小さなコルだった。
いったんコルヘ下り、それから10分ほどの登りで標高1112メー トルの飯士山だった。南北に細長い山頂で、北の端には石仏が安置されていた。
尖峰だけあって眺望は絶佳。360度遮るもののない展望が広がる。谷川連峰から朝日岳、巻機山、越後三山とつづく上越の山々。はるかに見えるのは越後白山あたりだろうか。妙高などの頚城山塊も確認できる。
魚沼平野は朝もやの中に沈んで、あたかも湖のようだった。

下山は同し道を戻った。