追想の山々1414  

毘沙門岳(1386m) 頂日1999.10.20 単独
白鳥高原スキー場入口(5.40)−−−登山口(5.45)−−−スキーリフト終点(6.15)−−−毘沙門岳(6.55-7.15)−−−リフト終点(7.40)−−−スキー場入口(8.00)
行程 2時間20分 岐阜・福井県 毘沙門岳 二等三角点
毘沙門岳から、野伏ケ岳は薙刀山が目の前に見える
今回3日間の山旅の主目的だった、籾糠山と三方崩山の2座を登頂して、残り最終日は軽い毘沙門岳を予定していた。  

地図を見ると、白鳥町干田野集落から毘沙門岳稜線上のコルへ突き上げている破線がある。これを登る予定にしていた。干田野集落で尋ねればすぐにわかるだろうと思ったが、集落からの登山道がどうもわからない。細い林道へ入ってみたり、集落の中で見かけたおじさんに声をかけたりしたが、今はそんな登山道はないという。地図にははっきり記されているのにどうしたのだろう。薮で歩けないと言う人もいた。

もしかすると石徹白への途中、桧峠あたりから山頂へいたるコースがあるかもしれない。あるいはスキー場のゲレンデを歩けば山頂を踏める可能性もある。
十字路の桧峠から南への舗装道路をスキー場へ向かう。行き当たりが白鳥高原スキー場とゴルフ場になつている。そのゴルフ場クラブハウスの手前に「毘沙門岳登山口」の道標があった。どうやらこれで登ることができそうだ。桧峠から山頂まで1時間も見ればいいだろう。
スキー場の広大な駐車場の片隅に自動車を止めて夜を過ごした。真ん前には大日岳とその山腹のスキー場が良く見えていた。  

目を覚ますと期待通り青空が大きく広がっていた。
明るくなるのを待って出発。毘沙門岳登山口の道標から、草が茂ってはいるが自動車の通れるほどの道があって、これを数分歩くと登山道への入口となる。ここにも2〜3台なら駐車できそうだ。

コースは杉林の中のゆるゆかな道をたどる。登山道へ入ってから薄暗い植林帯を30分ほど歩くと、明るい潅木帯に変わって毘沙門岳が見えてきた。すぐ先が白鳥高原スキー場リフトの終点となっていた。
毘沙門岳を目指してなだらかな稜線を行く。ブナの若木や低潅木の紅葉が美しいが、大きな樹木は伐採されてほとんど見えない。
小さな鞍部へ下ってから毘沙門岳ピークへの登りにかかる。見えているのがピークと思い、あと10分もあれば山頂かと目算。裸同然の尾根の急登を10分、山頂はまだだ。さらに5分、また5分・・まだ着かない。見えていたピークのさらに奥に山頂は隠れていたのだ。
10分という目算が、30分ほどかかってしまった。
雨上がりの雲一つない快晴。思いもかけない大きな拾い物をした気分だ。標高1385メートル、高い山ではないが展望には優れていた。
大日岳の大きな山容が目の前に聳え、その左手には白山、願教寺山、薙刀山、野伏ケ岳と連なる。そして東に目をやれば遠く北アルプスの山々が蒼くシルエットとなって浮かんでいた。
干田野集落から上がってくる道を探してみたが、それらしい道はわからなかった。薮や潅木に消えてしまったのかもしれない。

登頂記念ノートに記帳してから同じ道を戻った。
こんなに簡単に登れて、しかも眺望も良好。にもかわらずこの山についてのガイド記事等は一度も目にした記憶がない。忘れられたような山、地元の人たちでさえ登る道を知らないそんな不遇な山かもしれない。
下山してから桧峠の十字路を良く見ると、小さくて粗末なものではあるが、道標があった。白鳥町から上がって来ると右方向に「大日岳登山口」、そして左方向に「毘沙門岳登山口」となったていた。
籾糠山、三方崩山のついでに登ろうなんて考えたのが申し訳ないような満足を得て、自宅への帰路についた。