追想の山々1421  

宮越山(1030)〜鎌ケ岳(1161m) 登頂日1999.05.01 単独
宮妻峡(6.00)−−−水沢峠への入口(6.30)−−−水沢峠(7.20)−−−水沢岳(7.35-7.45)−−−鎌峠(8.50)−−−鎌ケ岳(9.00-9.25)−−−宮妻峡(10.20)
行程 4時間20分 三重県鈴鹿山脈 宮越山 三等三角点
奥が鎌ケ岳
鈴鹿山脈鎌ケ岳は、アルペン的で険しい山だという。期待して出かけた。

どうせ鎌ケ岳を登るなら、最も鎌ケ岳らしさを味わえるという鎌尾根をたどることにした。ガイドブックには、鎌尾根コースは初心者のみは避けるようにと書かれていた。私が初心者かどうかわからないが、多少の岩場くらいなら問題あるまい。

宮妻峡谷キャンプ場付近の駐車場からスタート。宮妻峡谷に沿った爪先上がりの林道を30分で水沢峠への登山口となる。しばらくは植林帯の道がつづく。ところどころ小さな流れに出合うので水は十分得られる。
台風の影響か、倒木が多い。片づけられないままに登山道をふさいでいるので、その都度くぐったり、またいだりで面倒だ。 植林帯を抜け出すと、明紫色のスミレがたくさん目につく。このスミレというのは種類が多すぎて何というスミレかさっぱりわからない。

かなり高度をかせいで涸沢を登っているとき、ちょっとコースがわかりにくくなる。沢を直登すると岩壁に遮られそうな気がするが、左右には逃げるためのコースがあるのかどうかはっきりしない。ここは左手の小さな枝沢状の急斜面がルートだった。
この急斜面を登った先からイワウチワの群生が点在していた。ショウジョウバカマも見える。潅木の中にはアカヤシオツツジだろうか、鮮やかな色を見せている。淡いピンクのツツジはアケボノツツジに似ているが、はたしてそうだろうか。フデリンドウもひっそりと咲いている。やはり春の山である。

花を観ながら足を運ぶと道標のある水沢峠だった。ここからは稜線を水沢岳(宮越山)へと登ってゆく。ざれて足場の悪いところもあるが峠から15分ほどで山頂に達した。
水沢岳の少し先から鎌ケ岳の姿が望めるようになる。高さこそ問題にならないが、風貌は北アルプス槍ケ岳に似ている。かなり距離感があるが、歩いてみればそれほどのことがないのはいつものこと。これから悪場が連続するのかと思って気持を引き締めたが、これという険しいところはない。鎖があったりするが、ちょっと注意して歩けば問題ないところばかりだ。
また鎖があってもこれを頼らなければならないような箇所はほとんどなかった。

何回もアップダウンを重ねて、小さな岩峰にたどりついた。目前に鎌ケ岳が鋭く聳えている。山頂に立つ人の影が大きく見えるほどの距離だ。ヤッホーと声をかけると手を振り返してくれた。
岩場を鎌峠へと下る。鞍部が十字路になっていて、帰りはこの十字路の一つを宮妻峡谷へ下ることになる。
鞍部から鎌ケ岳頂上までは、急登10分だった。

鎌ケ岳へは大半の人が湯の山温泉方面からのようだ。一番楽でポピュラーということだろうか。南北50メートルほどの距離を置いて、それぞれに好展望が開けていた。南側のビューポイントからは歩いてきた鎌尾根や、仙ケ岳、野登山などが、そして花崗岩の北側ポイントからは御在所岳や雨乞山などが望める。
展望を楽しんでいる間にも、次々とハイカーが登った来る。  鈴鹿山脈の盟主は御在所岳ということになっているが、あまりにも観光開発されてしまった現在、むしろ山としての良さを残し、登り甲斐のある山として見るならば、文句なく鎌ケ岳が盟主の座を占めるべきだろう。
鎌ケ岳から眼前に眺める御在所岳は、人工建造物が立ち並び山としての魅力は跡形もない。

下山は先ほどの鎌峠まで戻り、ここから宮妻峡へのコースをとった。ハイピッチで飛ばした結果、山頂から1時間弱で駐車地点まで戻った。