追想の山々1423
  

入道ケ岳(906m) 登頂日1998.06.04 単独
椿神社(7.30)−−−滝ケ谷コース合流(8.15)−−−入道ケ岳(8.50-8.55)−−−北の頭(9.00-9.05)−−−避難小屋(9.35)−−−大久保コース分岐(9.50)−−−椿神社(10.10)
行程 2時間40分 三重県鈴鹿山脈 入道ケ岳 三等三角点
入道ケ岳山頂
登山口となる椿大神社は、伊勢国一の宮だという。見るからに立派で特に巨杉の茂る広大な境内が、荘厳な雰囲気と格式の高さをあらわしているようだった。

神社までの途中、迷って1時間ほど時間を無駄にしてしまった。遅れた時間を気にして急いで出発する。まだ7時半、3、4時間のハイキングでは別に慌てなくてもいいのに、道草を食ってしまった分を取り返さないと気がすまない。変な性格だ。

神社横に広い駐車スペースがある。境内の柵と川に挟まれた舗装道を行くと、小さな橋を渡り林道が延びている。橋を渡ったところに入道ケ岳北尾根コースの入口があるが、それを見送って林道を10分ほど進む。左手が広い河原になっていて、上流部には堰堤がいくつも重なりあっているのが見える。
普段は涸れている河原のようにも思われるが、雨上がりのためか砂利の中に細い流れが出来ていた。その流れをまたいだ先に二本松尾根コースの取付き口があり、薄暗い杉植林の中の急登がはじまる。しかしこの杉林は下枝が払われ、手入れが行き届いているせいか陽光がとどき、いくらか明るい気がする。しかし他の樹木は一切生えず、林床にはわずかにシダ類が見えるだけという単相林、森の小動物にとっては実にうとましい存在に違いない。「森は生きている」はずが、生きているのは杉だけで、死んだ森にひとしい。
いつもながら杉の人工林に敵意?を抱きながら登って行く。
取付いた登山口から30分余の杉人工林の急登で滝ケ谷からのコースが合流している。これで尾根上に出たことになる。後は山頂まで尾根道のコースだ。

直角に右に向きを変える。急に樹相が変わり、落葉樹等が混生して山らしい雰囲気になってきた。なおも急登は続くが、杉の人工林から開放されたので気分良く歩ける。しばらく尾根を伝うと小さな避難小屋がある。小屋を過ぎたあたりからアセビが目に付くようになり、がれた急斜面にはフィックスロープも取りつけられている。アセビ一色、アセビの純林といえるほどになってきた。しかも枝を大きく張り出した立派な木が目立つ。付近の植生について書かれた看板がある。

アセビの樹林を抜け出ると急に前方の視界が開けて入道ケ岳の山頂が目の前にあらわれた。鳥居が立ち、風向を調べるような吹き流しが横に揺れているのが見える。山頂までは一投足の距離だった。
この時期にしては珍しく風が冷たい。曇り空で眺望は今一つ。しかし野登山、仙ケ岳、鎌ケ岳など鈴鹿の山々を眺めることができた。御在所岳は山頂部に雲をまとっていたが、その先の釈迦ケ岳や、眼下には四日市の工業地帯から伊勢湾方面が、霞に漂うように広がっていた。
広い山頂は風を遮るものもなく、早々に後にした。

帰りはこの先の北の頭から北尾根コースを下ることにする。山頂から稜線を少し進むと5分で北の頭に着く。風もなく暖かだったのでここで小休止。正面の鎌ケ岳を見ながら5分ほど休んで下山にかかった。
急坂をどんどん下って行く。蜘蛛の巣が多く、ちょうど顔面にかかってしまうのでうるさくて仕方ない。まさに蜘蛛の巣だらけという状態。休日で他に登山者でもいればいいが、今日は誰にも会わない。一人で蜘蛛の巣整理だ。それに笹がまだ乾いていないため、ズボンの裾が濡れてきた。30分も下ったところに避難小屋があった。小屋の先で急坂は終わり、このあと緩く上ったり下ったり、こぶを二つほど越えて、もう一度登ってゆくと大久保分岐道標がある。その先は植林の中をじぐざぐに下ってゆくと、小さな神社に出た。ここから300段ほどの自然石を積んだ石段を下ってゆくと、行きに見た北尾根コース入口の鳥居だった。