追想の山々1427
  

横山岳(1132m) 頂日2000.10.10 単独
杉野登山口(8.00)−−−経の滝(8.40)−−−五銚子の滝(9.00)−−−横山岳(10.20-10.50)−−−鳥越峠(11.35)−−−杉野登山口(12.00)
行程 4時間00分 滋賀県 横山岳 二等三角点
横山岳山頂
三周ケ岳へ登るつもりだったが八草峠が通行止め、仕方なく予定変更して予備知識ゼロの横山岳を登ることにした。
杉野という集落に入ると親切な道標が横山岳登山口へと導いてくれる。林道に入ると間もなく「横山岳登山口」の大きな看板が立っている。広い駐車場もある。私はまったく知らない山だったが、知る人ぞ知る山なのかもしれない。

登山届けに記入して出発する。駐車場のすぐ先、林道を20メートルほど行ったところに登山道入口があり、「五銚子の滝」の看板もある。白谷沿いの道を辿り、小さな流れを右、左と何回も渉りかえして行く。水量の多い時は、ちょっとした沢歩きのようになるのかも知れない。
岩盤上を滑るような流れが「経の滝」。ときにはへつりもあるし、小さな岩の乗り越えもある。

沢を離れることなく高度を上げてゆくと、登山口からちょうど1時間、五銚子の滝下へ着いた。水量は多くないが、なかなか優雅な滝である。高さもかなりありそうだ。
滝を右に見て、左から滝上へと急登して行く。滝の上へ出たあたりで胸を突く急登が待っていた。軽い山だと思っていたが、まさかこんな急登があるとは思わなかった。赤土のざれた急登で足がかりもなく、数少ない潅木につかまりながら体を引き上げて行く。登山者が苦労して這い登った時に、斜面を滑った跡が生々しく残っている。
急登はすぐに終ると思っていたのに、いっこうに終る気配がない。むしろさらに厳しさを増してゆく。何ともすさまじい登りだ。本当に登山ルートなのだろうか。疑いつつそれでも手足総動員で這い上がる。
いつしか表土の剥かれた踏跡は左右に分かれ、それぞれが少しでも良い足場を探しながら登って行った様子がわかる。その跡が次第にぼやけてきて、どちらへ進んでいいのか分からなくなってきた。頭上には立ちはだかるような巨岩も見える。  見当をつけて少しトラバースぎみに右手の尾根へ向かってみた。しかし踏跡らしいものは見当たらない。次は左へ移動しながら踏跡を探すがどうも判然としない。わからないままにこのまま直登してみることにする。薮が少し出てきたので、つかまる手がかりが出来て助かる。

万一の下山に備えて地形などを記憶しながら、薮を分けたりざれに足を取られたりしながら上へ上へと移動して行く。
このまま登ってもきりがない。右手の尾根へ乗ってみることにする。しばらく斜高して目指す右手尾根にたどりつく。何とそこにはちゃんとした登山道があるではないか。と言うことはどこかでこの登山道へつながった筈だが、まったくそれに気づかなかった。ざれの急登を攀じ登った跡があったのは何だったのか。キツネに鼻をつままれた思いだったが、このあとは安心して山頂を目指した。

ブナなどの気持ち良い落葉樹の道を登り、稜線へ出たところで左へ少し進むと横山岳の山頂だった。
平坦な広い山頂には、背の低い潅木が一面覆っている。ブナが何本か見える。北面が少し開けてはいるが、山頂からの展望はほとんどない。小屋の屋根に登ってみたが同じだった。  

下山は三高尾根というコースを鳥越のコルへと向かう。コル近くまで落葉広葉樹の林が広がり、感じの良いコースだ。足に任せてぐんぐん下って行くと、山頂から45分ほどで鳥越のコルだった。さらに進めば墓谷山。
ここでコースを左に取って網谷林道へと下って行く。林道に降り立ち草のはびこる道を15分も歩けば今朝方の林道へ出て、駐車場へはさらに5分ほどだった。
それにしてもあの登りには閉口した。やはりコースを間違えたのだろう。