追想の山々1431
  

伊勢辻山(1290m 頂日2001.03.20 単独
東吉野村大又(5.25)−−−和佐羅滝の上(5.55)−−−造林小屋(6.35)−−−伊勢辻−−−伊勢辻山(7.25-7.35)−−−伊勢辻−−−造林小屋(8.10)−−−和佐羅滝−−−大又(9.05)
行程 3時間40分 奈良県 三角点なし
伊勢辻山山頂
伊勢辻山は高見山の南方にあって、台高山地の一峰である。

穏やかな彼岸の中日、登山口の大又に着いたのは5時5分。空にはまだ星がまたたいていた。
20分もして足元が見えるほどになったところで出発。

和佐羅滝への道標にしたがって歩きだす。足元がほんのりと見える程度で、足運びには注意が要る。渓谷は急で小さな滝がいくつもあらわれる。
水音が大きくなって和佐羅滝へ着く頃には、かなり明るくなっていた。滝の落差は30メートルか40メートルくらいか、途中岩にぶつかりながら、飛まつを上げて落下している美しい滝だ。 急に薄くなった踏跡を追って滝の左岸をよじ登って行く。ガレ場の急登で足場が非常に悪く、落下の恐れもある。木につかまったりして安全そうなところを見つけながら、ひとしきり攀じてようやく滝の上に出た。
ここで道がなくなってしまった。獣道かと思われるようなところを強引に分け登ると、本来の登山道に出ることが出来た。滝の100メートルほど下流に、本道へ登って行く道があったのを、薄ぐらいこともあって見落としたのだった。(下山時にそれがわかった)

正しいルートはなだらかな歩きやすい道で、沢に沿って延びている。コースの両側はどこまでも杉の人工林、毎度のことながらこの杉一色で変化のない単相林は気に入らない。
沢が右直角に折れるところに造林小屋が朽ちかけた姿で建っていた。
少し傾斜が増し、雪が見えるようになる。凍っていてアイゼンが欲しいようなところもあったが、これを過ぎると尾根状の道となって雪もなくなり、また歩きやすい道に戻った。
ときおり雑木林も混じるようになり、次第に快適な雰囲気となってくる。
稜線の伊勢辻まで『40分』とか、『30分』などの表示を見ながら、それより早いペースで登って行く。登りついた稜線が伊勢辻で、高見山〜大台ケ原の縦走路でもある。
鹿が2頭、雪の斜面を跳ねるように下って行った。次はキジの雄が目の前でばたばたと大きな音を立てて 樹林から飛び立ち、びっくりさせられる。

伊勢辻から伊勢辻山までは10分もかからない距離だった。 北側斜面の樹相はブナ、ミズナラを主とした落葉樹林で、登って来た朝日にシルエットとなってすがすがしい朝の光景を見せていた。
山頂は草の広場で南の展望が開けている。正面に見える薊岳にはまだかなりの雪がありそうだ.。遠くの山々は春霞の中に溶け込んで、定かではなかった。
帰りも同じ道を下った。