追想の山々1436

  

玉置山=たまきやま(1076m) 頂日2000.10.27 単独
折立(7.05)−−−石地蔵(8.35)−−−ロス1時間半−−−花折塚(10.30-10.40)−−−玉置山(11.20-11.35)−−−玉置神社−−−参拝者用駐車場(12.05)−−−八大竜王の社(13.05)−−−折立(13.15)
行程 6時間10分 奈良県 玉置山 一等三角点
≪奈良県の一等三角点≫
玉置山一等三角点


玉置山頂上付近にある「玉置神社」は、熊野三山の奥宮として崇拝を集めたと言われるから、往時その存在感は大変なもがあったにちがいない。

県内の山とは言え、早朝の道路状況でもアクセスに3時間を要する遠い山だった。曲がりくねり、婉々とつづく国道168号線は、運転する者にはうんざりさせられる道である。途中大塔村の道の駅で仮眠、折立に着いたのは7時だった。

橋の手前を左に入ってすぐに駐車場がある。「玉置山登山口1.7キロ」という表示があるので、そこまで行っても駐車場はあるのだろう。ただ、その登山口がどこのことかわからない。登りと下りを別々の周回コースを考えて来ているので、計画どおりこの折立の駐車場から歩き始める。
道標はないが、南都銀行支店のすぐ裏手に、コンクリートの階段があって、これを道なりに上って行く。T字に突き当たったところで右へ進むとすぐに杉人工林の山道へ入る。ここに小さな道標があった。

滝を左に見ながらなだらかな道をたどる。人工林の中は作業用の山道が何回も枝わかれしている。道標やテープ類もないので、間違わないように気を使う。
山頂近くの玉置神社付近まで車道が通じているので、昔ながらの登山道をたどる人はめっきり少なくなっているのかもしれない。そのためか、コースの道標は皆無に等しい。あるいはこのコースがポピュラーでないためだろうか。

注意していたのに、やはり誤って作業道へ引き込まれてしまった。次第に道の状態が悪くなって薮が遮るようになる。10分ほど行ったところであやまりに気づいて戻った。
勾配がなくなって平坦な巻き道を進むと、間もなく2個の道標が立っている。5メートル程離れて別々に小笹の中に埋もれそうな道標だ。一つは高滝へ、もう一つは玉置山を示している。地図をもっていなくて高滝と言うのが何処を指すのかわからない。小さな石地蔵があるからガイドブックの記述には合っている。ここから30分ほどで林道へ出るはずだ。

玉置山を指す方向には、鹿避けのフェンスが張り巡らせてある。出入り用の戸はあるが、フェンスの向こう側は草が茂っていて登山道があるようらは見えない。これは高滝方面へ進むのが良さそうに思えた。
道はゆっくりと下ってゆく。どこまで行ってもガイドブックの林道に出ない。朽ちて文字が消えかかった道標が倒れている。『玉置山』の文字が見える。間違いなく玉置山へ向かっていると確信し、さらに下りつづけた。しかし林道に出る気配がない。
45分ほど歩くと前方に小さな集落が見えてきた。林道は近いかと期待して進む。道の状況は悪く、あまり人が歩いていない証拠だ。もう少し、もう少しと思いながら進んだが、やはりおかしい。
引き返してみることにした。これだけのロスに加え、玉置山への正しいコースも不明。登頂をなかば諦めかけた。(あの朽ちた道標は、倒れかたが悪くて逆の方向を指すように倒れていたのだ)
頑張って45分下った道をほぼ同じ時間で石地蔵まで戻った。

2個の道標の一つ、今度は玉置山を示す方向を笹を踏んでコースを探してみる。だが見当たらない。今日は退却しようかどうしようか、迷いながらフェンスの戸を開けて草の中を探して見た。草や笹が茂ってはいるが踏跡らしい形跡が認められる。しばらくたどってみた。やがて道型がはっきりしてきた。石の古い道標があり、玉置山を示している。これがコースだったのだ。ようやく安心して先へと急いだ。

フェンスの出口からは良い道が延びていた。そして車道へと飛び出した。やれやれという気分だった。車道を左へ下って行くと、花折塚の表示と奥駆道の表示がある。その山道へ入るとすぐに花折塚があった。ここではじめて小休止を取る。
また元の車道へ戻り、20メートルほどのところにもう一つ奥駆道の表示がある。これにしたがって登山道へ入り、あとは道なりに南へと進む。手入れの行き届いた良い道だ。この登山道も長くはなく、また車道へと出てしまった。
車道をてくてく歩いて行くと展望台がある。どうという眺めもなかった。
山道へ入る分岐がある。尾根に取りつくような道と、その奥に杉の巨木が連なる立派な山道とがある。よくわからないが杉並木の方を選んだ。これもあやまりで、登山道は尾根へ取りつくのが正解だった。今回は間違えてばかりいる。
平坦道を行くと、結局玉置山の下を巻いてピークを通りすぎ、肩のところで尾根道と合流した。「山頂はこの上」と言う表示を見てUターンするように引き返し、尾根道をたどる。ようやく山頂へ到着した。

立派な地蔵尊がある。標柱には「玉置山」「沖見地蔵」「沖見岳」と三つも書かれていた。天気は悪くないが、もやっていて眺望はきかない。一等三角点を確認、これで奈良県内の500メートル以上の一等三角点はすべて登頂したことになる。

昼食をとってから下山にかかった。5分も下ると玉置神社の境内となる。1000メートルの山上に、よくぞ建てたと思える立派な社殿が構えていた。神社には興味がないので、参詣をしてそのまま山頂駐車場へ向かう。大きな駐車場があり、トイレの裏手で山道へ入る。中学生の手による道標がたさくさんつけられている。道も登ってきたものに比べると格段に良い。これが本来の登山道、あるいは車道のないころの登拝道だったのかもしれない。

長い下りを終わって車道へと出る。途中八大竜王という社と滝のあるところで喉を潤し、今朝方の駐車場へと向かった。
迷ったりして、所要時間は6時間余もかかってしまった。下山後「上湯温泉」へ入浴。正真正銘の山奥の温泉だった。