追想の山々1444
  

兜岳(920m)・鎧岳(894m) 登頂日1998.03.14 単独
曽爾村嶽見橋(6.05)−−−目無地蔵(6.40)−−−兜岳(7.30-7.35)−−−峯坂峠(7.55)−−−鎧岳(8.20-9.35)−−−新宅本店前バス停(9.15)−−−嶽見橋(9.50)
行程 3時間45分 奈良県 鎧岳 三等三角点
鎧岳
兜岳、鎧岳周回は、小さいながらも縦走となるので、下山口のことも考えて自動車を嶽見橋のたもとに止めた。10台分ほどのスペースがある。

嶽見橋から少し戻って、横輪野バス停で国道を離れて奥香落渓谷へ向かう道へ入る。すぐに奥香落山荘の前を通り、勾配のある車道を上って行く。ガイドブックが古いのか記述と一致せず何となく怪しい気がしてきた。行くだけ行って、だめなら又考えることにするしかない。

40分近く歩くと、木立の薄暗い中に、石仏が祀られた社が見えた。これがポイントの目無地蔵のような気もするし、違うような気もする。ここで車道と別れて祠の脇の踏み跡ほどの細道へ入って行く。この細い道が兜岳へのコースかと思ったが、すぐにまた車道へ出てしまった。車道をショートカットしたに過ぎない。また車道を進む。感触としては兜岳の裏側へと回りこんでいる気がする。
どこまでも車道ではらちが明かない。やがて車道は香落谷へ下って行く。ほどなく右手へ林道らしい道が別れている。その道へ入ってみた。しばらくは車も通れるほどの道だったが、やがて細道となってきた。竹林のところで突然道が消えてしまった。コースを間違えたらしい。すでに完全に兜岳の裏側まで回り込んでいるはずだ。

険しい岩山の姿を思い起こすと、道のないところを強引に登ってゆくのはためらわれたが、ここで引き返す気にもならない。意を決して薮の斜面を這い上がりはじめた。
伐採の目印か、木の幹にビニールテープが見えるので、何となくそれを頼りに登ってゆく。引き返す場合にそれが目印になる。
斜面崩壊のところでは、倒木のむき出しになった木の根を乗り越えたりして、結構きつい登りで汗が流れ落ちる。
ビニールテープもなくなって、後は感を頼りに右へ右へとトラバースしながら頂上とおぼしき方角を目指してゆく。小さな尾根状の背に出合った。これを詰めていけば多分兜岩か、あるいは鎧岳とを結ぶ稜線へ出られると思われる。
薮の薄い所を選び、小枝を手で払いのけながら、それでも心配した岩場に遭遇することなく高度を稼いで行く。最後に笹の密薮に遮られ、「ここまで来たのにやばい」と落胆しながら見渡すと、少し先に赤布が見える。笹を潜るようにして強引に赤布を目指すと、ひょっこり登山道に出た。感で右手へ歩を進めると、すぐに兜岳の山頂があった。
反対側から山頂へ登って来るコースがある。予定していたのはこのコースのはずだが、どこに登山口があったのだろうか。

この後はコースどおりに鎧岳へ向かう。
急降下していったん鞍部まで下る。なかなかの急下降である。倶留尊山から見たときの険しい尖峰からして、急峻であることは当然であった。高低差で200メートルほども下っただろうか、標識の立つ十字路の鞍部、峰坂峠に着く。直進が鎧岳、左落合、右曽爾郵便局となっている。
鞍部から樹林の急登を30分ほど登ると鎧岳の山頂に着いた。ここではじめて休憩にした。周囲が樹林で、そそりたつ岩峰のピークに居るという実感はない。東側だけ樹木が切り開かれていて、倶留尊山が正面に聳えていた。

一休みして下山の途についた。植林帯の中をじぐざぐを切りながらどんどん下ってゆく。自動車を止めた近くの、郵便局あたりへ下山したかったが、うまく行かずに久津間という集落の近くへ出てしまった。嶽見橋まで国道をてくてく歩く。見上げると真っ青な空の下、春の陽を浴びた鎧岳が岩肌をむき出して厳しくそそりたっていた。