追想の山々1448
  

四寸岩山(1236m) 頂日1998.12.19 単独
赤滝長命地蔵(7.20)−−−林道終点(7.35)−−−ロス15分−−−工事中林道(8.40)−−−四寸岩山(9.10-9.25)−−−工事中林道(9.40)−−−休憩10分−−−長命地蔵(10.45)
行程 3時間25分 奈良県 四寸岩山  二等三角点
地味な四寸岩山々頂
地図を眺めていたら大峰山系の前衛に「四寸岩山」という風変わりな名前の山が目に付いた。その名前に誘われて登ってみる気になった。

奈良県でも山深い黒滝村赤滝が登山口となる。慣れぬ道を自動車を疾駆し、何とか山奥の赤滝集落までたどり着いた。地図によれば集落のどこかに登山口があるはずだ。猫の額ほどの平地もないような狭い谷あいには、駐車スペースも見当たらず、集落を抜けてさらに進んでみる。
赤滝から1キロ余も走ると道は二股に分かれる。メインと思われる方をなおも進んでみたが、林業専用の道という感じで頼りない。(この道をどんどん上がって行くと大峰山の稜線付近「百丁茶屋」というところに至るらしい。)
分岐まで戻る。分岐の橋の袂に「赤滝長命地蔵」という社がある。地図にはこの二股を左へ向かう登山道の破線が記され、四寸岩山へ通じている。多分この破線が今は舗装された林道に変わったものと推測される。
取りあえずこの左方向の林道を行ってみることにした。

15分ほどで林道は終わって沢沿いの山道になる。比較的しっかりとした道で、これなら心配することなく登れそうに思えた。しばらく行くと突然薮がかぶさった状態になり、そのまま直進するのに不安を覚える。小沢を渡って右手の山腹へと上がる踏み跡がある。この方が良さそうに思えた。伐採直後の山腹を道型らしい跡をたどって行くと、やがてそれも消えてなくなってしまった。

先ほどの沢まで戻り、今度は薮のかぶった沢沿いを進んでみる。薮はすぐに収まって踏み跡は薄いが何とか歩けそうだ。  ところがこれもしばらく行った所で踏み跡を拾えなくなってしまった。ここまで来たら強引にでもこの沢を登って行くよりしょうがないだろう。
薮を分けるようにして行くが、沢の詰めは笹斜面となって傾斜が厳しく、笹につかまって体を引き上げて行く。イバラが多くてシャツを突き抜けて引っ掻かれてしまう。
急斜面の上部は砦のようなコンクリート壁が立ちはだかっていた。壁を回り込んで登り切ると、思いもよらずそこに林道があった。ごく最近できたもので地図にも載っていない。

林道を右手に少し歩くと始めて道標を目にした。「新茶屋」とある。かつて大峰へ向かう修験者などのために茶屋があったものと思われる。
道標に従い林道を離れて登山道へ入る。緩やかな樹林帯となって道型もはっきりしていて、ここから先はもう心配なさそうだ。登山道に入って10分ほどで「吉野古道」というのに合流する。吉野山方面から大峰山へ通じる古くからの道のようだ。この先はさらに道はしっかりとしてくる。
四寸岩山は訪れる人も少ないのか、山頂へ通じる道は最後はちょっと薮っぽくなったが、それも長くはなく、やがて山頂へ達した。

山頂は落葉した喬木に取り囲まれて眺望はない。木の間越しに大峰の山々が望見されたが、山名を確認できるほどには明瞭に見ることはできなかった。
寒い風が吹き抜ける山頂を早々に後にして、同じ道を下った。 帰路、下市温泉へ入浴、裸になってみると、厚手のズボンの上から引っ掻かれた傷痕が無数にあった。