「You can't take such sweet memories away They will always be
Forever in my mind for all time And I know the feelin's just as strong」」


わかってしまった
あたしとヒカルは同じじゃなかった
ずっと同じだと思ってたから

だから


棋院からの帰り道、ヒカルはいつものように公園の中を通って家へ向かう。
こうすると若干の近道になったし、なにより…

「ヒカル!」
ヒカルは犬の散歩をしているあかりの姿を目で捉えていたが、あえてこちらから声をかけなかった。
にこにこしてこっちへ近づいてくるあかり。
「院生研修とかの帰り??」
「あー。どーだよそっちは、囲碁部はさ〜」
「うん、新入部員のコもがんばってるよ!それにね、」
「三谷、顔出すようになったんだって??」
「そうなの!」
あかりの顔が輝く。
「金子がゆってた」
「そっか〜伝えてくれたんだ」

ヒカルはブランコに寄って行き腰掛けた。
キィ…と錆びた鉄がきしむ音がする。あかりもそれにならって隣に腰掛ける。

「院生研修って楽しい??」
「まぁね、行きたかったトコだし、勉強になるし」
「あはは、ヒカルが『勉強』だってぇ」
カラカラと笑うあかりにヒカルはふてくされる。

「おかしいかよぉ…」
「んーん…ただ…ヒカル、どんどん行っちゃうね」
「行っちゃうって…ドコにだよ??」
「…とぉく」

胸がどくんと音を立てた気がした。
きっと佐為にも聞こえるくらいの音。

ちがうじゃん…遠くに行っちゃったのは…

「おばさんに聞いたよ、プロ試験なんだって??」
「あ、あー今予選だけどな」
「すごいよね〜いつかあたし冗談言ったのがホントになっちゃうんだもん」
「まだ、プロになったわけじゃねーよ」
「もう…追い付けないね〜ヒカルには!悔しいけど」

やめてくれ…そんなに距離をつくらないで・・・・・・・・・・・・!!

「あたし達も大会出れるように頑張るから、ヒカルも善戦してよ!」

やめて…

「あかり…オレって…忘れられちゃう??みんなから」
「何?どしたの??ヒカル??」

しかし、あかりの口から出たのは慰めではなく―
「ヒカルが決めた事だよ?後ろ気にしてどうするの??」

吹く風はすでに夏のものだった。
少し湿気の匂いがした。

「あたしね、ヒカルと一緒が良かった。何だって」
あかりが立ち上げる。ブランコに腰掛けるヒカルを正面に見据える。
「ひとりじゃできないこと、ヒカルとだったらできたから」

「ヒカルもあたし突き放さなかったよね、だからいつも一緒で…」
ヒカルを見つめるあかりの目は、まるで弟を見る姉のようで―

「今までがそうだったから、なんか当たり前みたくなっちゃって…
囲碁もそうだった。楽しそうだったっていうのもあったけど、ヒカルがやり始めた事だったから
あたしもやんなきゃ…みたいな?」

あかりはふふ…と笑う。

「でも…同じじゃなかったね、あたしとヒカルは。
こわかったよ…最初は。ヒカルどっか行っちゃうんだもん。何でも一緒だったのに」
「あかり…オレは…」
「ずっとおなじだと思ってた。ヘンなの、姉弟でもないのにネ」

「ヒカルは後ろから誰もついてこなくなったからって、どーよーしちゃダメだよ!」
「オレは…そんなんじゃねーよ」
「そ、ならいいけど。」
「あかりは…ひとりでダイジョブになったんだ?」
「うん。多分」


「三谷がいるから?」

「うん。多分」



わかってしまった
オレとあかりは同じじゃなかった
ずっと同じだと思ってたから

だから


きっとオレはもう、正面からあかりも三谷も見る事は出来ないだろう。
それはやきもちとかじゃなくって、オレが手に出来なかったものを手にした二人を見るのがつらいだろうから。
あかりにとって三谷が新しい「弟」や「兄」なのかもしれない。
オレのねーさん面してたように三谷にも接するのかな?

うん、わかってるよ。違うって。

なんだよ、結局オレのマネしてんじゃん…オレに佐為がいるように、あかりには三谷がいて…

あかりのマネっこめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


すみません…プロット練らないでいきなり白紙の状態から打ち始めたら訳わかんない事になってしまいました…
ええ〜〜と、つまりは「いつも一緒だった二人が別の道へ歩んで行く」過程を…こう…書きたかったんですが(汗)
この二人は付き合ってたわけじゃないから難しかったです…「好きなひとが別の人のところへ行ってしまう」
っていうのよりは「ずっと一緒に暮らしてたお姉ちゃんがお嫁に行っちゃう」的ニュアンスの方が近い気がします。
ヒカルはおこちゃまだから、きっとまだ漠然としかあかりがもういない事に気が付いていない

(もしくは今でも気がついていない)んでしょうね。
なんか、あかりのほうがすべてをもうわかっているような…うん、この頃って女の子の方が早熟な気がしますしね。
ヒカル自身もかなり精神不安定な感じです。だから不安を訴えようとしたり、慰めてもらいたがったり、強がってみたり、
最後はヒカルらしく(?)憎まれ口で終わらせてみました。
なんか…書かなきゃ良かった(汗)でも感想もらえると嬉しいです…言いたかった事伝わったか気になるデス(笑)


そんな甘い思い出を捨てる事は出来ないの
これからも私の心から消えはしない
どんな時も忘れはしない
あなたも同じように感じているはず