ダン・ルイスとクラクワット・サウンド

(2001.02.24)

24日に鎌倉の「パタゴニア」で開かれたダン・ルイス氏の 講演会に出席してきました。

ダンはジョン・ダウド氏とともに、カナダのバンクーバーでエコマリンのスクール部門を設立し、チーフ・インストラクターを務めた人です。日本でも柴田丈広さんの師として、シーカヤッカーの間ではメジャーな存在ですね。

現在、バンクーバー島の太平洋岸に位置するトフィーノで、

Rainforest kayak adventures.(http://www.rainforestkayak.com/)

をパートナーのボニーと共に起こし、エコツーリングからアドバンスド講習まで幅広く行っています。

講演の内容はスライド・ショーで、ダンとボニーが住む小さな島からシーカヤックを漕ぎ出し、渓谷を溯ってレインフォレストの森へと誘ってくれるというもの。

通訳はシーカヤックでバンクーバー島を一周した辻井隆行さん。

トフィーノ周辺のクラクワット・サウンドの温帯雨林の素晴らしさ、巨木の森と苔のカーペット。手付かずの大自然のスライド写真に思わずため息がでました。

氷河の後退後にできた森の土の厚さは僅か15センチしかなく、 そこに直径5m、高さ100mを越える樹齢1000年の巨木が成長して いるのです。この不思議な環境が成立つ答えは、鮭の遡上だと いうのが最近分かってきたそうです。

産卵に戻り、朽ち果てていく鮭たちがこの森の栄養分なのだと。 巨木を冬眠の住処にしている熊や、白頭鷲がほっちゃれを樹木 に運んでいたのです。

生き物の濃度が濃い温帯雨林は、南米の熱帯雨林と並んで 地球温暖化を防いでいる重要な場所というのにも、認識を新 たにさせられました。

近年、インターナショナル・フォレストプロダクツ(インターフォー) 社などによる巨木の伐採が生き物や森に悪影響を及ぼしはじめ
ていて、ダンとボニーは、この現状を僕らに知らしめる為にわざわざ 来日してくれたのです。

でも何故?

こんな遠く離れた日本へ訴えに来られたんでしょう?

それは、日本企業3社

@三菱商事
(郵便番号100-8086東京都千代田区丸の内2-3-1)
http://www.mitsubishi.co.jp/
地球環境のホームページへお問い合わせ先
mcenv@org.jp.mitsubishicorp.com

A株式会社林友
(郵便番号390-0841長野県松本市渚4-1-1)

B谷酒木材株式会社
(郵便番号279-0032千葉県浦安市千鳥13)

等が、この伐採林の25%を購入しているからです。 二人の想いは、この実状を日本のシーカヤッカーはもちろん、 森や自然を愛する人に訴え、3社にインターフォー社から、 温帯雨林から伐採した巨木を購入しないよう訴えもらいたい ということ。

まず、ハガキ作戦やメールで、購入中止を訴えてくださいと いうことでした。

彼らは森林伐採全てに否定的なのではなく、生き物への寄与 率が高い地域の、回復が難しい地域の巨木は切らないように しようというのが運動の趣旨なのです。

すなわち、同じく温帯雨林である屋久島の屋久杉を切っては いけないということに他ならないですね。

ユーコンやアラスカを旅したことがある僕は、クラクワット・サウンド が素晴らしい場所だというのは、写真はもちろん、ダンとボニーの 透明な眼差しからも理解することができました。

この温帯雨林を守る運動の詳細は、

http://www.ancientrainforest.org にて。

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4月に、カナダのブリティッシュ・コロンビア州政府が、 グリーンピースなどのNGO、伐採企業などが提出していた グレート・ベア・レインフォレストの手付かずの渓谷20ケ所 を保護する提案を支持しました。

もちろんダン・ルイス氏が守ろうとしたクラクオットサウンド も含まれています。

詳細はグリーンピースのHP http://www.greenpeace.or.jp/library/99af/af_index.html をご覧ください。日本中のあちこちで展開された 不買運動が大きな力になりました。 メール攻撃を行ってくださった方々のおかげです。 ありがとうございました。

名指した三菱商事さんは、まず先頭にたって輸入をとりや やめてくださり、インタフォー社への大きな圧力となったようです。 さすがですね!

ご助言、ご協力くださった皆様ありがとうございました!