REIのピナクル挑戦!

&野田知佑氏講演会

ロビンスフェース10a/b

東京町田にあるグランベリー・モールへでかけた。 お目当ては、REIのアニバーサリー・セールだ。

REIは、アメリカ合衆国のアウトドア用品を扱うお店で、 COOP(生協)である。 豊富な品揃えと、安い価格で、合衆国に行く旅の前後に 立ち寄って必要なギアを購入したりして、これまでお世話になってきた。 昨年、日本にもフラッグ・シップがオープンしたのだが、 東京方向はどうも腰が重く、なかなか行くことができなかったのだ。

開店一周年セールで、野田知佑氏講演会が行われるとあって、 土曜は、天気も悪いし、足を運んでみることにした。 講演内容が「世界の川を旅する」とあれば、最近更新できていない 「カヤックしに海外へでかけよう!」にも反映できるしね。

足を運んでみて、おどろいた。つくりはアメリカのお店そのもの。 広い店内は、犬連れでも入店可能だ。 キャンプ、ハイキング、登山、自転車いろいろなギアがそろっている。 そして店内の一番奥、国道に面したガラス張りの室内に、その人口岩が聳え立っていた。

”ピナクル”は、アメリカ南西部のレッドロックスを模倣したというだけあって、 噂にだがわぬ素晴らしい岩峰だ。さっそく受付して申し込む。 1回500円。REIの会員(入会金$15=1700円で入会できる)は無料だ。 一人当たり月4回利用可能。 身長100cm以上なら、保護者の同意されあえば、初心者でもピナクルで遊ぶことができる。

幸い空いている時間で、1時間程度の待ち時間とのこと。 土曜日曜なら2時間待ちはあたりまえだとのこと。 店内を物色していると1時間はあっという間に経ってしまった。

せいことミースケも他の買出しから帰って来て観戦。 妻と愛娘の目前で、みっともないところはみせられない。

ちょっと簡単で、長いルート(ロビンスフェイス)をセレクトした。 グレードは10.a/b。トップ・ロープだから。もう少し難しくても よかったのだが、ブランク2ヶ月なので、ウオームUPグレード でちょうどよかろう。

ビレイヤーのお店のおにいさんに声をかけてのぼりはじめた。 クラック、ホールド、すべてが自然の岩みたいだ。 登りながら熱中してしまう。いやはや、楽しい。 人口壁嫌いのオイラでもこれなら二重マルだ。 いろんなムーブをだせて楽しいルートだ。 途中、せいこや海音に手をふったりするため、何回か下を見たが、 ビレイヤーはいつもちがうところを見ていた。 おーい。。。でもそれだけ安定してたということか。よしよし。

夢中で、楽しんでいるうちに終了点にたどりついてしまった。 終点はコロになっていて、ロープを傷めない配慮がなされて いる。ちょっと高揚しながら下降。

「おみごとでした!」 リップサービスとはいえ、ちょこっとうれしい。 おまけに、完登すると認定賞をくれる。簡単なグレードといえ、 書状はうれしいもんだ。

買い物が大嫌いのオイラもアウトドアグッスと壁があれば話は別だ。 「月一回くらいきてもいいわね」 と、せいちゃんも、「しめしめよい場所をみつけたわ」という顔で こちらを見ていた。

シューズ、チョークバック、ハーネスはREIで貸してくれる。 自前シューズのみ使用可能。ぜひ、マイ・シユーズを もって、チャレンジしてみてください。 グレードは5.7から、5.13までいろとりどり、約20本。 誰でも楽しめる。まず受け付けしといて買い物だね。

そんなこんなで、12時45分。1時から、野田さんの講演会の 整理券がくばられるのだった。定員は75名。

配布場所に行ってみると、すでに長蛇の列が折り返していた。 恐るべし、ノダトモ人気! いかーん!

「あんなとこ登ってないで、はやめに並ばないからよ!」

とせいちゃんの目が吊り上った!やばーし! どうなってしまうの。。。。???

こぶとりのおねいさんが列の人数を数え始めた。 講演会を聞ける定員は75名。 なんと、ぴったり75番目。あぶねー。 やったー!と喜んだ! せいちゃんの、吊り目めが緩んだ瞬間、 前の列から、

「すいませーん、今、離れてている人もいるんですがー」

との声。 なぬー!?! 店員のおねいさんが、

「この前の列のなかで、今離れている人のいらっしゃいますか?」

と聞くと、さらに、4,5人、手を揚げるではないか!

恐る恐るせいちゃんに目をやると、逆三角形の目にかわりつつあった。 いかん!ひじょーにやばい。

「もー、○△■×。。。!!!」

でたー!文句ビームの矢継ぎ早の連射。 夫婦の危機を察した店員さんが、

「立ち見でも、いいか。。。」

ぼっそっとつつぶやいたのを聞き逃しはしなかった! せつない表情で、はげしくうなずくオイラ。

「はい、わかりました!いいです」

見事にOK!ラッキー!

81番、82番のフダをめでたくもらったのでござった。 よかった、よかった。

そんなこんなで、講演会がはじまった。 目のまえを何気なく通りすぎたオヤジが 席についた。それが知やんだった。

おっ。なんだか違うぞ。 元気があるぞ! REIスタッフのMCをけちらして、

「じゃ、さっそくはじめよう!」

おおー、こんな知やんは久しぶりだ。 最近、フジカドヒゲオヤジと二人で、 アイスランド、スコットランド、アイルランド、フランス、パタゴニア、 モンゴル、フィジーとあちこち行っている知やんは、 生き生きしていた。やっぱり旅は人を元気にするんだな。

フィジーの川や、モンゴルの川の話をしてくれた。 モンゴルはかなりよさそうだ。 4時間でいける近さも魅力。 ただしモンゴル語の勉強が必要だけどね。

そして、最近から放浪の日々まで下った世界の川や 海のスライドショーが、軽妙な冗談をまじえつつはじまった。

10年以上も前に、偶然、大学祭で、知やんの 講演会にでくわし、話を聞いたことがある。

当時、野田ブンガク、野田流川遊びに傾倒し、 カヌーを手にいれたばかりの青年にとって、 神サマのような存在だった。 オーラがでいたなあ。

憧憬のまなざしで、見入ったユーコンやアラスカの写真が 今は、懐かしい気持ちで見ることができる。 サーモンの引き。スプルースの匂い。澄み切った空。 脳裏に蘇ってきた。

この人が生きていてくれてよかったな。本当に。 20代前半のいちばん多感な次期に、人生の意味を、 生きる方向を教えてもらったような気がする。

「これまで、ダム反対に時間をとられてきた。  会う度に、今はどのダム反対してるんですか?  なんて聞くやつもいてな。  もう人生の終点が見えてきた。時間がないから  精一杯遊ぶぞ!」

といいつつ、徳島に移り住んだのは綺麗な川があるのも もちろんだけど、木頭村や吉野川河口堰のバックアップも 大きな理由だろう。

「本当にアウトドアが好きな人は、田舎に住む方がいい。  30から40歳くらいで稼いでくるといい。  オレなんか、300坪100万円で土地を、買った。  これでも高いくらいだ。」

世界のあと、日本の川の写真になった。 ガク少年やリョウ少年との冒険。 美しい日本の川。 そして、スライドの最後に、そっけなく

「ここもコンクリになりました!」

「今はなくなった」

「もうダメです」

「ドロだらけだ」

と淡々とつけくわえる。 場内にシーンとした空気が流れた。

「ユーコンやアラスカの川もいいけど、 やっぱり日本の川が一番です。曲がるたびに景色が変わる。 これだけ、繊細で美しい川はないよ。 西日本の川が泳げるから特にいいな」

「オブチケイゾーは、ワセダの同期です。  ワレワレの世代は、川を自然を守れなかった!」  これからの君たち、若い人の世代に期待します」  がんばって」

質問コーナーになった。 緊張してつまりぎみの声で質問する若者たち。

「公共事業で食べている人はどのくらいいるんですか?」

「長良川の河口堰はあんなに反対したのになぜできたんですか?」

などの愚問にもやさしい口調で丁寧に答えてくれる。

NZの秘密の川をとうとう教えてくれた。 ランギティキ川。 「5月ころ、本がでます。それに地図も載せました」 「これで、また日本人がいっぱいいくようになるんだろな」

ちょっと残念そうだった。

サイン会になったので、軽く会釈して 会場をあとにした。

やっぱり知やんは、かっちょいいな。 あこがれたり、真似しようとは思わないし、 (第一できないけど、)めちゃくちゃ影響を受けるなあ。 いろいろあった、一日でした。

おしまい。