ニセコ漫遊

2003/12/29-2004/1/2

ここ毎年、正月は海外で過ごしている。主に南の方。

理由は、キャンプ主体で、生活費が安いことと、航空チケットで マイレージをゲットして、国内旅行に有効利用できるのが理由だ。

さて、今年はどこへ行こう? わが家の手配氏、S嬢から、はやばやとニセコはどう? との提案がなされた。

ニセコスキーエリアは、ニセコ山系の主峰アンヌプリを囲むように南面に 面して、東から「ひらふ」、真ん中が「東山」、そして西に「アンヌプリ」、と3つのスキー場が 集まっている 巨大スキーリゾートで、世界屈指のパウダーエリアとしても有名だ。

3年前の1月〜2月。ニセコのひらふスキー場へ足を伸ばした時に、 パウダーにハマり、こんな天国のような場所が日本にあったのかと 狂喜したオイラにとって、却下する理由はなにひとつもない。 ふたつ返事で同意した。

年末年始をスキーリゾートで過ごすというわが家では考えられない セレブ系の企画はこうしてスタートしたのであった。

しかし、この暖冬雪不足。 なんとX'masが終わっても雪が無い!

「40cmだって。そんなのニセコじゃないわよ!」

「雪が絶対あるって、あなたが、いったじゃない!」

「あなたのせいよ!」(なぜそうなるのだ?)

「キャンセルするからね!」で、ドタキャン!

宿の人ごめんなさい。

で、冬休みに突入。代案のヨット達人オグラ氏からのもちつき企画の お誘いにすっかり心が飛んでいたオイラが、仕事納めで戻った時、玄関先 で、待ち受けていたのはS嬢の興奮した顔だった。

「雪降ったって」

「どうしよう?」

「宿も空いているんだけど」

彼女の相談は実は相談ではない。却下すると修羅場と化すだけだ。

今回は、特に、却下する理由も見あたらないので、首を縦にふると、 すかさず再手配を完了してしまった。

この時期にしてマイレージ無料チケットで、きてしまうというウラワザを駆使するか ら 使える手だが、格安航空券で変更が効かない人にとっては大変だろうなあ。

てなこんなのドタバタの末、ようやく千歳空港におりたったのだ。

前日ほとんど睡眠できなかったので、もうろうとしながら、 ニセコ行きのバスに乗り込んだ。

乗客は、ボーダー系若者達、セレブ系カップル、後部席分捕り宴会ファミリーと3つ にきちんと組み分けされているのが、面白い。

ボーダー系若者達は、「ひらふ」スキー場で、ワイワイと降りていく。

セレブカップルは、「東山」スキー場のプリンスホテルに、しずしずと吸い込まれて いく。

そして、宴会オヤジ系ファミリーは、最後の「アンヌプリ」スキー場にある 「ニセコいこいの村」で、どひゃどひゃと下車していくのであった。

なぜ、全部わかったかというのは、ワレワレも宴会オヤジ系の一行といっしょに 終点のいこいの村で降りたからに他ならない。

この「ニセコいこいの村」、やわらかいその名のとおり、近代的な建物のワリには、 全体的にのほほんとしていて、なんと素晴らしいことに広い露天風呂の温泉もある。 滑ったあとに、雪に囲まれた温めの露天風呂で、まったりするのは至福の 一言につきる。

地下には、カラオケBOX、数々の宴会場かねそなえ、 アンヌプリスキー場までメとハナの先。 料理も乾いた刺身以外はうまいし、量もたっぷり。 このお宿は、良いですぞ。一泊8千円前後。

初日は、温泉に浸かって泥のように眠り、疲れを抜いた。 今回は5日間もあるので、いつものように分刻みのスケジュールに 追われてアクセクしないで済むのがいい。

2日目には、毎年ニセコで年越しをする商人さんと合流して アンヌプリのリフト一番のり。

朝イチパウダーをイタダキ!

久々に浮遊感を味わった。

しかし、商人さんのスキーのうまいことうまいこと。 傾斜の緩い新雪でもスピードを落とすことなくかけぬけていく。 ミースケを預けたS嬢も合流し、仲良く遊んだ。

午後は商人さんがミースケを肩車して滑走。

ゲレンデに、ミースケの雄たけびが木霊するのであった。

3日目の大晦日。この日もこりずにゴンドラ一番乗り。

しかし、雪の降りが甘く、ゲレンデは雪上車(ピステン)でガチガチ グルーミングバーン。 はやばやと、飽きてしまったオイラは、商人さんを誘ってハイクアップ。 雪不足が原因で、一番上のパウダーゾーンのリフトが動いてないのだ。 そこを足で、稼いで、いただこうという作戦。

ハイクアップし始めたとたんピステンがやってきて注意されたが、

「On your own risk。保険、計画書、ビーコン、スコップ、フル装備で  南峰まで行きます」

と答えたら笑って見逃してくれた。

リフト1本ぶんをアルバイト。上部では、強風で、ホワイトアウトのため 南峰は諦めゲレンデに滑り込む。 ひらふの上部リフトが動いていたため、滑り降りてくるスキーヤーがいて ノートラックとはいかないが、パウダーを堪能。 下界に下りて、商人さんとガッチリ握手。

本日から、まったり「ニセコいこいの村」を離れ、旅の宿「吟渓」に転居。 ロッジ風のお宿は、実は今回最高に気に入ったイチオシになるのであった。

さて、正月。 本日の天気予報はニセコには珍しい晴れ。

またまた、商人さんと恒例のアサイチ合流。 ゲレンデのカリカリバーンに、はやくも登りモードの商人さん。 アイコンタクトで、GOサインがでる。 本日もアンヌプリスキー場の最上部リフトは止っており、エチッラオッチラハイクアップ。 リフト終点でもどんどん視界がよくなり、ニセコアンヌプリの南峰が きっちりと顔をだした。

後方から、初日の出のご来光が、僕らを後押ししてくれる。 ニコニコ顔でハイクを続ける。 南峰から、東山、アンヌプリスキー場方面へは、ノートラックの ヴァージン・パウダー・ゾーン!!!

いやがおうでも、ペースが速くなってしまう。 南峰手前で小休止。奥にアンヌプリの主峰が見える。 ひらふのリフトから、ハイクアップしてくるボーダー達。 今からなら、こちらの方が、主峰にはやくつける。。。。

けど 南峰から主峰までの稜線は、風で雪が飛ばされて 滑りは楽しめない。

どうしても、登ってきた斜面に心惹かれてしまう。

イタダキ(頂)が目の前にあって、しかも好天。

それを逃すのは 山屋として失格かもしれないが、今は、クライマーよりは ボーダーモード全開だ。

ひらふからトラバースしてきたスキーヤーがトラックを刻む前に、 この斜面を、ヴァージンをイタダこう!

商人さんと笑いながら、飛び込んだ。

上るのに30分近くかかった斜面が、数ターンであっという間に終了。 しかし、楽しい。楽しすぎる。再びのハイクアップは即決。

南峰手前にもどると、主峰には、蟻の行列のように、ひらふからの スキーヤーやボーダーが群がっていた。

選択の正しさに納得し、こんどは、違う向きのフワフワ斜面をイタダキ! 歓声が上がる。もちろんオイラの口からだ。 登ってきた外人のボーダーたちのうらやましそうな視線をクギ付けにして さらにボトムへ、ボトムへ滑り込んだ。 あとは、ラストラン。ゲレンデでもようやくスピードになれたオイラは カービングで最後のバーンをタイラげた。

商人さんが笑っている。 オイラも笑っている。 ようやく頭をだした羊蹄山も、しっかり笑っていた。 ひやっほっほー。

午後はS嬢とバトンタッチして子守りに突入。 旅の宿「吟渓」に帰り、正月料理に舌鼓の後は、 暖炉ので、ふるまい酒の「ゆくとしくるとし」を ヤりながら、「夏子の酒」全12巻を読破し、 涙にむせかえるのであった。

旅の宿「吟渓」は、料理も、米も、酒も、雰囲気も最高の一言。 ご主人は、アングラーなので、フライフイッシャーなら話しも弾むよ。 アメマス、レインボー、ヤマメ、オショロコマそして、イトウ。 尻別川、昆布川のことなら、おまかせあれ。

最終日はとうとうアンヌプリの最上部リフトがとうとう動いて、前夜 降雪もあいまって、この旅、始めてのアサイチパウダーをゲット したS嬢が、顔を輝かせて帰ってきました。 やっぱり、この人のツキは、ハンパではない。

のんびりしたため、今回はノー痴話ゲンカ。 こんなことは今だかつて。。。。 こういう年越しなら、ぜひ、もう一度やってみたいネ。

おしまい。 PS。写真はS嬢がメディアを忘れたため、一枚もございません。 とほほのほー。