親友Tの子供達がどんどん歩いて行く。
ヒサビサに再会したときは、恥ずかしがって、部屋に隠れて出てこなかったというのに。
どんどん自由に、どんどん元気になっていくようだ。
やりたいことを夢中になってやること。
それが元気の源だ。
そういえば、探検と称して、歩いたことのない野山を散策するのが、 小さなころのドキドキする遊びのひとつだったっけ。
思わずニンマリしてしまう。頼もしくてイイゾ!
んが、オイラも親から目線を手に入れたのだろう。 困ったことに、後から来ているハズのT夫妻の 心配顔が眼に浮かんでしまうノダ。
「もう引き返そうか。。」
という言葉が喉元までやってくる度に、努力して何度も引っ込めた。
小さな沢が流れ込んでいるところがあった。 その沢で遊んで時間をつぶし、Tとその奥さまを待つことにする。
小さな倒木を男の子のユーキが渡っていく。
度胸試しのドキドキする遊びだ。子供は遊びの天才だ。野外にでると自分からいろいろな遊びを生み出していく。
姉のキミちゃんもガレ場をいったりきたりして楽しんでいる。
友人のTと奥さまも到着。ふとした茶目っ気で、観光地から山道に分け入ってしまい、 街着姿で、ブーツの奥さまに申し訳ないなあ、、、と思っていたが、とっても楽しそうなので、嬉しくなる。
「さあ、どうしよう。このまま進む?引き返す?」
ハニカミながらキミちゃんが指差したのは、進む方向だった。
今日は、京都の出張の帰りに立ち寄った親友のTに連れられて滋賀の紅葉で有名な山寺に観光にやってきたのだ。 見事な紅葉に彩られた境内は、楽しそうな人々の顔で溢れかえっていた。
その山寺を抜けて尾根そってのびた山道に、なぜか四国八十八箇所のお寺たちと同じ名前の祠が祭ってあった。
数メートル置きに配置された祠を回ると八十八箇所の霊場巡りができてしまうようだ。
なんという偶然だろう。
親友Tの実家は四国八十八箇所の十七番札所である井戸寺のすぐ隣だ。嬉しくなって親友Tの家族を呼んだ。
親友Tとオイラは阿波男だ。人は故郷を愛すというが、なかでもトクシマーズの徳島や四国への郷土愛は別格のように思う。
行こう!大勢の観光客で賑わう山寺を後にして、ドキドキの扉をあける。
脱線や、寄り道が趣味でもあるオイラは、みんなを、どんどん奥へ奥へといざなった。
いろいろと綿密な観光計画を練ってくれたTには、申し訳なく思ったが、あまり人がいかないような秘密の場所、 そう、こんなハイキングをしたいなあ、、、と思っていたオイラは楽しくなってしまった。
人がやらないことをする。そうすれば、素敵な体験ができる。
情報であふれかえった世の中で、自分の直感を羅針盤にして手探りで何かを探していくことは、貴重な体験だ。
地図もなくどこにいくのかもわからない。
またまた、どんどん進んでいく子供達を追って、方斜面になっている丘を越えると、 夢のよう光景に出会った。 誰もいない広い広い空間に、大きな大きな紅葉の樹が立っていたのだ。
キミちゃんとユーキといっしょに樹の下に駆け寄る。
紅葉の樹の下は、一面、真っ赤な紅葉の絨毯が広がっていた。
こういうことがあるから、探検や冒険はやめられない。
地図をもたない彷徨。ちょっぴり心細くて、ドキドキがいっぱいの、、、
少し歩くことになったけど、素敵な素敵なプレゼントをもらってしまった。
素敵な素敵な紅葉ハイキングとなりました。
このあと、幻の天守閣をもとめて、安土桃山へ。
一日中お世話になりまくり。Tさん、奥さま、キミちゃん、ユーキ。 ほんまに、おおきに!。
また、いつか、遊ぼう!