べさはや2002アピール文

2002/07/27〜8/03

今や「無駄どころか害をなす公共事業の日本代表」と言われている諫早湾 干拓事業と川辺川ダム建設事業ですが、農水省も国土交通省も根本的な 見直しをせずに、相変わらずこれらの事業を推進しています。

 農水省は、再三にわたる漁民の悲痛な訴えに対して、諫早湾を干潟に戻 す意志はないと表明し、第二のギロチンとも言える前面堤防の工事を強行 しようとするなど、有明海見殺しへと暴走しています。

 国土交通省は、川辺川ダム着工に反対する球磨川漁民に対し、多数の 漁民が反対をしているにもかかわらず、漁業権の強制収用を申請するとい う前例のない愚行を推し進めています。

 また、治水でも「まず、ダム建設ありき」の姿勢を崩さず、代替案の可能性 を否定している状況です。  このふたつの事業は、水の循環を分断してしまうだけに止まらず、それま で平和に暮らしてきた人々の心までも分断してしまっています。

 私たちはそのことに抗議し、水の循環の復活と、分断された人々の心の 回復を訴えるため、昨年、川辺川源流の水と、その水に育まれた人吉盆地 の米を人の力によって諫早湾まで運び、有明海の海苔で包んだおにぎりを 作るというプロジェクト「川辺川と諫早湾を結ぶシーカヤック作戦」 (通称べさはや隊)を実行いたしました。

 肥後の川から肥前の海へ、人力で源流の清冽な水を運んだ私たちが目の 当たりにしたものは、身の毛もよだつ悪臭を発する調整池の水でした。

 今年は、この悪行を世の人に実際に触れてもらいたい、また干潟の浄化 能力の素晴らしさを改めて知っていただきたいと、あえて、この汚水を運び たいと思います。  また、鮭や鮎が海の栄養を森に運ぶように、諫早湾で死滅した牡蠣殻たち を、川辺川ダム建設予定地に近い「椿の木」に奉納します。この椿は、国土 交通省が地権者に無断で、ブルドーザーで踏みにじった墓地を見守り続けて きた椿です。

 海の汚れで弱った“牡蠣の精”が、川辺川の清流で元気を取りもどし、その 栄養を、ダム建設から川を守ろうとがんばっている椿に与えてくれるものと私 たちは確信しています。 そして、諫早湾に、潮流が復活し、水と人々、農業と漁業の信頼関係が復活 することも。

 海の栄養を山へ運ぶことの大切さを訴え、分断されてしまった人々の心が 再び結びつきを取り戻すようにと祈りを込めて、昨年とは逆コースのプロジェクト 「川辺川と諫早湾を結ぶシーカヤック作戦2002」、題して「べさはや2002」を、 今夏、実行いたします。

  【スケジュール】

●26日(金)

集合;諫早湾白浜桟橋

【海路の部(諫早〜八代)】7月28日(日)〜7月29日(月)

●7月28日(日)

白浜桟橋〜〜湯江漁港(シーカヤック3艇)6名。  9:00 白浜桟橋で出発式。アピール。 10:00 白浜桟橋を出発。貝殻ひろい、汚水収集。 10:30 有明海隊は森水産からスタート。潮受け堤防外で待機。   11:00 潮受け堤防。 16:00 菅港入港。

●7月29日(月) 菅漁港〜八代水島神社(シーカヤック3艇)5名  8:00 菅漁港を出発。 11:20 島原外港出発。 14:00 三角西港着。 15:30 三角西港出発。 19:10 八代水島神社着。蠣殻を水島神社に奉納。

【陸路の部(八代〜五木村「川辺川源流」)】8月2日(金)〜8月3日(土)

●8月2日(金)水島神社を出発〜人吉中川原公園  8:45 水島神社〜潮止め手前(カヌー)  9:30 潮止め手前の港発(MTB)。 11:30 荒瀬ダムバックウオーター(カヌー) 13:30 球磨村発(MTB) 14:30 川口商店で休憩 17:00 人吉中川原公園着

●8月3日(土)中川原公園〜相良村、ダム建設予定地の椿の木

 8:00 中川原公園出発。(MTB) 12:00 ダム予定地の椿の木前へ到着。 「諫早の現状報告。調整池汚水の体感、牡蠣殻の奉納」

「山の神・川の神への祈りの儀」

山の神々よ、川の神々よ、諫早の海は堤防で締め切られたままで、 我々が届けた命を育むはずの水は、このような姿に変わり果てた。 今、この場所も巨大なコンクリートのダムで堰切られ諫早と同じ運命をたどろうとしている。 私たちは、恐れを知らないこのような暴挙を許すことができない。 この山々から湧き出る命の水が人々の心を洗い流し、 この思いが再び諫早まで帰り、宝の海がよみがえらんことを切に願う。