june30 6月30日(金) うす曇りのち快晴 18516歩

No.3  知床峠〜ウトロ

・・・・・・・・・・ ウトロへ ・・・・・・・・・・

次はウトロを目指して知床横断道路を走る。
この辺はエゾジカがいるというので、二人は目を凝らして捜すが今日は出てこない。大きな橋の上から山中の木陰からこちらを見ているのがはるかに見えただけだ。運転手は二人の予定を聞いて、今日のうちに知床めぐりの船に乗っておけば、明日はゆっくり観光ができると勧めてくれた。今からだと最終の船に間に合うからぜひ乗るようにという。山の上にかかる大きな幌別橋を抜け、プユニ岬を見晴るかす橋上で眼下に広がるオホーツク海を眺めたら、一気に下って斜里町ウトロに到着。

3時半ごろに観光船の事務所に着き、船の時間を確認してからひとまず山の上のホテル、「知床プリンスホテル 風なみ季」へ向かう。チェックインして荷物を置き、また出かけるまでタクシーは待っていてくれた。船着場の近所まで送ってくれるということだったが、Rittyanの希望で郵便局の前でおろしてもらう。ずいぶん親切な運転手だと思ったが、考えてみれば、約2時間半ぐらいで二万円だったら上客だったのだろう。交渉係はまだまだ未熟だったと反省。

・・・・・・・・・・ おみやげ ・・・・・・・・・・

船の出る時間まで少し暇なので、車の中からRittyanが見つけた郵便局へ入る。記念切手を集めているRittyanは、こういうところで地域限定販売の貴重な切手が手に入るという。北海道ならではのデザインのふるさと記念切手をシリーズで買えて大喜び。

アトリエ夢民
船のチケット売り場へ向かう途中で、手作りのお土産を売っている店をちょっとのぞいたら、これがおもしろくてしっかり寄り道してしまう。木彫りや天然の材料を使った北海道らしいお土産が所狭しと置いてあって、どれもなんともいえないいい味を出している。夢中になって選んでいると、名前や日付を彫ってくれるという。

手彫り
ご主人がやってきて目の前で、角刀一本で目にもとまらぬ速さで次々と彫っていく技に目を奪われる。北海道の象徴、シマフクロウにちなんでフクロウをたくさん買いこむ。そんなことをしてる間に船の時間になり、大慌て。後は頼んで船に乗りこむ。


・・・・・・・・・・ 知床観光船 ・・・・・・・・・・

硫黄山航路
定員400名の大型船、「おーろら号」で硫黄山航路の乗客となる。船に乗ったら何がなんでも甲板にいないとおもしろくない。船尾の甲板は大賑わいだ。廊下に「オオセグロカモメとウミネコのちがい」という張り紙がしてあり、カモメとウミネコが見れるのかとわくわくする。

オーロラ号
この表を見ていたおかげで、飛んでいるカメモとウミネコの区別がついた。
遠くを飛んでいるときは、くちばしの色でよくわかるし、頭上を飛ぶときには、足の色がはっきりと違うのでわかりやすい。


 
オオセグロカモメ
ウミネコ
大きさ
足の色
ピンク
黄色
くちばし
黄色
先が黒、ほかはピンク

・・・・・・・・・・ カモメとウミネコと一緒に ・・・・・・・・・・

16時半に船が出航すると、とたんに鳥が飛んでくる。ずいぶん慣れていると思えば、観光客が投げるカッパエビセンを狙ってずっと船についてくるのだ。それも大量に群れをなして。ほとんどの客はめったに見られない景色もそっちのけで、カモメやウミネコが手から餌を取っていくのを大喜びで楽しんでいる。

船は国立公園の海岸に沿って走る。知床連山の裾野から一気に海に落ち込む断崖絶壁や、奇妙な形の海食洞、たくさんの滝、鳥の営巣地などが次々に現れる。
カメラを向けてシャッターを下ろそうとすると、突然視野にカモメやウミネコが飛び込んできて、何度も失敗する。

カモメとウミネコ
写真を撮るのをあきらめて景色を眺めていると、横のおじさんが差し出した手から餌を取ろうと、間近に飛んできた一羽のカモメ。あっと思った瞬間、このカモメの翼の先がKurbisの頬をかすめていった。この先一生二度と、飛んでいるカモメに触るなんてことはないだろうと、大騒ぎしていると、おじさんがエビセンを三つくれた。恐る恐る手を伸ばすと、ずいぶん向こうから餌を狙って滑空してくる。たまには失敗する鳥もいるが、小さな餌なのに、本当に上手に取っていく。

カモメやウミネコのほかに黒いウミウや、もっと小さな鳥もたくさん飛んでいる。洞穴から出たり入ったりする鳥がいるのが気になるが、遠くてよく見えない。どうもツバメのような気がするがわからない。Kurbisが船内に入っておしゃべりしている船員に聞いてみると、あっさり「イワツバメ」だという。洞穴の薄暗くて高いところに住みつくというあのイワツバメだった。

・・・・・・・・・・ 船からの眺め ・・・・・・・・・・

カムイワッカの滝
硫黄山航路の折り返し点は、カムイワッカの滝だ。幅の広いレースのカーテンのようなきれいな滝が、緑と茶色の岸壁に白いアクセントをつけている。
この滝の上流は温泉で水は硫黄分を含んでいるので、滝の落ち込む海岸付近は水が白濁しているのだそうだ。


遠いのと夕暮れが迫っていてあまり良くは見えなかったが、それがまた幽玄な雰囲気をかもし出していた。ここまでたくさんの滝があったが、この滝が一番大きくてきれいだった。

少し風が冷たくなってきたので、船室に入る。

思えば、お昼はあの芋団子と牛乳だけだったのでおなかがすいた。しかしここで食べては夕食に差し障ると、Kurbisが売店で買ってきたプリッツを二人で分けて我慢する。
船員が格好のいい制服制帽姿で、記念品を売りにきたのをつかまえて、いろいろ話を聞く。冬は流氷観光船が網走から出るのだそうだ。寒くて大変なのではないかと聞くと、海の上は案外寒くはないという。陸上よりかえって水の上の方が気温が高いのだそうだ。北海道なら一度は流氷も見てみたいもんだと思う。

ゴジラ岩
予定通り6時に帰港。
少し薄暗くなってしまったが、オロンコ岩を見上げたり、奇妙なゴジラ岩を見たりしていると、カモメの脱糞攻撃を受けそうになる。飛びながら人間をめがけているのでもないだろうに、結構近くに命中するので早々に港を後にする。


彫りを頼んでおいたお土産を受け取りに行くと、店主がぜひ今度は冬にいらっしゃいという。流氷の頃が北海道は最高だと、本当にうれしそうに話してくれる。こんなに地元の人がこぞって、勧める流氷の季節。さぞすばらしいものなんだろう。ますます見たくなってくる。

・・・・・・・・・・ ATMのようなお風呂 ・・・・・・・・・・

小高いところにあるホテルまで1.5キロの坂道を、ぺこぺこに空いたお腹を抱えた二人はぶつぶついいながら登る。

すぐに夕食にしたいところだったが、お料理を追加したので、待ち時間の間に先にお風呂に入ることに。ものすごく大きなお風呂にびっくり、しかも洗い場に仕切りがあってなんだか銀行に並んでいるATMのようだ。横の人にしぶきがかからなくていいのかもしれない。ここにも露天風呂があり、大浴槽にジャグジー、打たせ湯に水風呂、サウナと何でもそろっている。浴場自体がサウナのような暑さでのぼせそうになったが、露天風呂に行くと外の空気がひんやりしていて、ちょうどよい。温泉の泉質は含ホウ酸、重曹、食塩泉。

そう言えば、部屋も大きくて設備がいい。ちょっとした殿様気分、いやお姫さま気分になれる。バス・トイレ付き6帖ツインというタイプ。入り口は玄関のようになっていて、靴脱ぎの横にバスルーム。両側に板間がついた大き目の6帖和室。奥の一段上がった洋室にツインベッド。他に3つのクロゼットやテレビや冷蔵庫に、下駄箱。これだけあれば長逗留しても大丈夫。

・・・・・・・・・・ メニューをちょうだい! ・・・・・・・・・・

夕食のテーブルは女性好みのしつらえで、思わず椅子に登って写真を撮ってしまう。お風呂にも入り、ほどよく疲れて、お昼抜きのお腹はぺこぺこ。みんなおいしい、これはお世辞でなく本当においしい。

夕食
食べながら、これはなんだろう、こっちは何の味、と知りたいことだらけだ。ボーイさんに頼んでメニューをもらってしまう。ちょっと戸惑った顔をしていたが、じゃあとワープロで作ったのをプリントしてきてくれた\(^^)/

夕食

交渉係の苦労をよそにRittyanはよくやるよという顔をしているが・・・。ゆっくりとおしゃべりしながら飲んだり食べたりしているうちに、他のテーブルにはいつのまにか誰もいなくなってしまった。食堂は9時までと聞いていたのに、あちこち片付け始めている。残りは少しペースをあげたが、メニューにあるカニ椀が来る気配がない。片付けている人は数人いるのに、誰もこちらに来ない。完全に忘れられたようだ。まあお腹もいっぱいになったことだし、麦や米のエキスもたくさん入っている。あまり細かいことは言わずに退散することにした。

部屋に帰るまえにお土産コーナーを見に行く。見てるだけで楽しいくらいに、たくさんの種類のお土産が置いてある。まだ二日目なのに、すでにパンフや本やお土産をいっぱい溜め込んでしまったので、ちょっと自粛。だがお土産産業の手管は百戦錬磨で、本当にあれもこれもほしくなるようにできている。自粛しながらも適当に買ってしまう二人だった。

ただ一つ、どうしても買わないといけないものがあった。熊除けの鈴だ。Rittyanは恥ずかしいというけれど、命には代えられない。店員の男性に聞いてみると、「山に入るときは絶対必要です。わたしはこれを持っていきます。」といって、一番大きいのを指す。やっぱりこれでなくちゃと、一番大きい鈴を護身用に買って、小さなかわいいのはお土産用に求める。

部屋に帰って、集めたり買ったりしたものをいっぱい広げて、また話しに花が咲く。結局、寝たのは2時ごろ。もちろん、携帯電話式目覚ましをしっかりセットして。

・・・・・・・・・・ おまけの写真 ・・・・・・・・・・

硫黄山航路の折り返し点あたりから、その先を見ると、
半島が海に落ち込むところがきれいに見える。

半島
半島


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