july1 7月1日(土) 晴のち快晴 15080歩

No.1  知床五湖

・・・・・・・・・・ 朝ーっ! ・・・・・・・・・・

携帯電話の目覚ましのおかげで、6時半きっかりに起きる。人間なんて現金なもので、普段は目覚ましを止めてまた寝てしまったりするのに、旅の間は不思議に起きられる。 さあ、今日はどんな楽しいことが待っているかと思うと、もったいなくて寝ていられない。
今日は朝早いバスに乗るので、荷物を片付けてから、七時半の朝食に行く。広い食堂でバイキングの朝食。今日は歩く予定なのでしっかり腹ごしらえをする。
Kurbisの朝食
Kurbisの朝食は和食、普段はあまり食べないので、おかゆぐらいがちょうどよい。でもRittyanのを見てると、食べたくなってしまう。他にコーヒーとグレープフルーツジュースを飲み、デザートを食べたらほぼ一緒か・・・ 

Rittyan
の朝食
Rittyanの朝食は洋風。海外旅行中のような朝ご飯だ。朝食後、バスターミナルまでどうして行こうかと、フロントまで聞きに行くと、ちょうど前の人も同じことを聞いていた。そして、ホテルの車で送ってもらえることになる。ラッキー!


・・・・・・・・・・ バスも楽しい! ・・・・・・・・・・

かわいいバスターミナルで、まず目的の切符、知床五湖行きのチケットを買う。ついでに、今晩の宿へ行くためのバスの連絡など聞いておく。これはRittyanが時刻表を見ながら、窓口の人に相談してくれる。Rittyanはさすが旅の計画作りが好きというだけあって、列車やバスの時刻表を見るのが上手だ。Kurbisはびっしり並んだ数字を見ただけで頭がくらくらする・・・ 後で教えてもらうが、数字の入った阿弥陀くじのようでさっぱりわからない・・・

待ってる間に、他にも数人の乗客が集まってきた。バスに乗り込んで座ると、後から少し年上らしき二人連れの女性が乗りこんできた。カラフルでぴっちりしたシャツとタイツを身につけ、見るからにアウトドア系人種だ。大きなバッグを持っているので、他の乗客も興味しんしん。何かと聞くと折り畳み式の自転車だという。マウンテンバイクを駆って北海道の峠を制覇中だとのこと。ガッツ満点のおばさんパワーに脱帽!
8時50分、斜里バス知床大橋行きの出発。十分ほどで、途中の知床自然センターに停まる。

ガッツおばさんたち
ここで峠制覇の二人組みは下車。見ていると、バッグからマウンテンバイクを取り出し、組み立てている。昨日、わたしたちがタクシーで超えて来た知床峠を越すのが今日の目的とのこと。

次は岩尾別温泉に停車。ここにあるのは「ホテル地の涯」だけ。他にはなんにもない。この前で残りの乗客を下ろした後はわたしたち二人だけになる。またもや貸し切り状態。二人で、運転手と車掌付きの大型バスを占領して、知床五湖に向かって走る。

窓外の渓流
次々と変わる車窓の風景は緑滴る自然そのもの。あっちの窓、こっちの窓と代わる代わる見て夢中になっていると、女性車掌が「鹿ですよ!」と教えてくれる。窓ガラスに顔をくっつけるようにして興奮して見てると、あっという間に通りすぎてしまう。

鹿のお尻はどこでしょう!
ふたりで、ワーワーキャーキャー騒いでいると、次に鹿に会ったときには、しばしバスを停めて鑑賞タイムを取ってくれた。このサービスには、大感激。でもでも、わが愛用のデジカメは立ち上がりが遅く、シャッターチャンスを逃して、写ったのは鹿のお尻ばかりだった(^^;)

鹿の親子
おまけの写真。こちらは親子で出てきた鹿。ゆうゆうとして、バスを怖がりもせずに道路に出ていた。バスが止まると、こっちを見て、ゆっくりと林の中へ入っていった。
流れる曲線を描く、鹿の体は、なんともいえず優雅だった。


・・・・・・・・・・ 知床五湖 ・・・・・・・・・・

9時半ごろに目的の知床五湖に到着。バスも貸し切りで、今まで人っ子一人見なかったのに、着いてみると観光客がたくさん来ていてにぎわっていた。観光バスを連ねてきた観光客が多かったようだ。天気は快晴、暑いくらいで、まずコケモモとハマナスのアイスクリームを食べてから出発。せっかく遠路はるばる来たのだから、五湖すべてを回ることにする。

看板
入り口の掲示板に
「熊に注意!」とあるので
夕べ調達してきた鈴をつけて
万全の用意をする。

いざ、出発!「リンリン」というより、「ガラガラ」と派手な音を立てながら歩き出す。周りは林で下生えは熊笹・・・シチュエーションはばっちりで、ちょっとスリルがあり汗も引っ込みそう。鈴の音をさせ、陽気に話しながら物音を立てたて、熊の来襲に備えながら歩くが、向こうから帰ってくる人たちは派手な音に振り向いていく。ちょっと恥ずかしい・・・
しばらく歩いて一湖に来ると、前に歩いている人たちのグループと一緒になる。リーダーのような人が何やら説明をしているので聞いていると、エコツアーのガイドのようなので、これ幸いとつかず離れずに歩いて恩恵をこうむる。何も知らないでただ歩くのとは大違いで、いろいろなことを教わってすごく勉強になってしまった。いつもくっついているので、いつのまにか相手も待っていてくれるようになって、なんだか申し訳なくて・・・(^^;)本当は、ユースホステルに泊まった人へのサービスガイドだったようだ。

一湖から五湖まで順番に歩いて回る遊歩道ができている。なるたけ自然を壊さないように作ってあるから歩きにくいところもあるが、それだからこそ景色もいいというものだ。それぞれの湖がちがった顔を持っていて、一つ毎にみんな感嘆しながら回る。きれいな空気のなかに浮かぶ知床連山の美しさと、鏡のように水に映る姿がみんな絵のようにきれいだ。

・・・・・・・・・・ ガイドのお兄さんの話しから ・・・・・・・・・・

ミズナラの木
ミズナラ:斜里町のシンボルツリー。幹には筋状の割れ目があり、葉柄がほとんどなくて枝からすぐに葉が出ているのが特徴だそうだ。昔は建築によく使ったそうだ。


一位(イチイ):樹の名前。北海道地方では「おんこ」と呼ぶそうだ。昔、北海道はこの樹で作った鉛筆が有名だったという。聖徳太子が持っている杓の素材でもあり、太子の位が十二階位の一位だったことから着いた名前だそうな。

凍裂
凍裂:木部の維管束の水分が、冬期の寒さで凍り体積が増えて膨張し、樹の皮を縦に破ってできた裂け目。その柔らかくなったところに、クマゲラが穴をあけて巣を作ることがある。

倒木更新
倒木更新
風雨や雷、などで倒れた樹から、新しい芽が吹いて世代が交代すること。

根株更新
根株更新
樹の上部が腐ってしまったあと、残った株から新しい芽が吹くこと。


キツツキの舌:樹をつついて樹の空洞を捜す。空洞の中の虫を長い舌で捕らえて食べる。キツツキの舌は長くて、樹をつついている間は、舌を鼻の裏から頭蓋骨の中へ回して脳を保護し、脳震盪を防いでいるのだそうだ!

鹿の糞:黒くて小さくてコロコロしている。1ヶ所にいくつも転がっている。

アマツバメ:小型のツバメで一生飛んでいるという。飛びながら、昆虫を捕まえて食べ、眠るときも飛びながら眠るとか。足の着き方が特殊で枝などに止まれないのだそうだ。

熊が木に登った跡
熊の爪あと:熊が樹に登ったときの爪あとには2種類ある。短い爪あとは登るときについたもので、かなり高くまで上れる。縦に長いのは降りるときに滑った跡だそうだ。熊が樹に登るのは上のほうにある山葡萄を取って食べるためと、遊びに登る場合があるという。


・・・・・・・・・・ 道すがら・・・ ・・・・・・・・・・

展望台から見た一湖と笹原
一湖の対岸は、開けたササ原になっている。これは、昭和40年ごろまで行われていた放牧の跡地だそうだ。知床五湖のあるイワウベツ台地一帯では、大正、昭和と2回にわたって開拓が試みられたが、いずれも失敗に終わり、入植した農家は全戸離農した。


この開拓跡地を再び買い戻して自然を復元するための運動が、今、全国の人々の協力によって進められている。これが、りっちゃんから聞いた、「知床100平方メートル運動」だ。

三湖へ続く道にあった掲示板には、次のように書いてあった。

ここから先,人通りも少なく、
ヒグマとの遭遇の可能性は高くなります。
ヒグマとの危険な遭遇を避けるため、
また万一出会った時のために
もう一度注意事項の確認を!

1.頻繁に物音や声を出しながら歩いてください。
2.早朝,夕方,霧などで視界が悪いときは立ち入らない。
3.ゴミ捨て厳禁!ゴミに餌付いたクマは大変危険です。
4.クマに出会ったら、騒がず、走らず、ゆっくり後退。
    絶対に近づかない!

これには、ちょっとびびりそうだった。でも、ガイドのお兄さんたちはどんどん入っていくから、安心してついていく。

約2時間ほどかかって五湖全部をめぐる。お天気に恵まれ、景色は抜群、最高のガイドまでついて(^^;)、ほんとうに印象深いツアーとなった。これはお金を出してもいいから、絶対にガイド付きがいい! あのお兄さんがいなかったら、ただ漫然と歩いているだけで、熊の足跡も知らず、自然の営みの不思議さにも気づかないまま終わってしまっただろう。旅では、出会いがとっても大事だなあと、つくづく思う。


下の文字をクリックして
知床五湖めぐりをどうぞ.

| 一湖 |
| 二湖 |
| 三湖 |
| 四湖-a |
| 四湖-b |
五湖の写真は、この下をどうぞ!



最後の湖、五湖では、知床連峰のすべてを見ることが出きる。林の中を歩いていて、ぱっと開けたところに湖がある。五湖の中では、一番小さいが方向がちょうどいい按配で、連峰が目の前に連なっているのが見える。

知床五湖の「五湖」から望む「知床連峰」
Kurbis撮影、及び合成のパノラマ

五湖
立て札の絵から

知床連峰

後日、友人から聞いた話ちょうど同じころ知床五湖に行ったという友人。観光ツアーに参加して知床五湖では、一湖と二湖を廻る予定になっていたそうだ。ところが、いざ現地に着くと、ガイドが「最近、熊がよく出るから危険なので、散策はやめます」といって中止になったそうだ。駐車場にある休憩所で休んで帰ったという。
わたしたちが行ったのは、7月1日、友人が行ったのは、3日だという。何という違い、なんというツアーだろう。ツアー客は大勢いただろうに、鈴をつけて談笑しながら行けばなんということはないのに・・・ それにひきかえ、わたしたちのなんという幸運!

バス停のところまで戻って、またもやお土産を物色。ここではいろいろな果実酒を売っていた。眺めていると、店員のおばさんが試飲をさせてくれる。これはおいしい、こっちは薬臭い、とかいいながら、結局全部飲ませてもらってしまった。

展望台から見た知床連峰
展望台へ上がって四方を見渡すと、一湖の後ろの笹原から、海へ向かってずっとなだらかな丘陵風景が広がっている。そして反対側には、知床連峰が、遠くに霞んでいる。見渡すかぎり、この知床五湖のささやかな観光施設を除いて、人工的なものが一つも見えない。こういう風景の中で暮らしたくなってくるほど、いいところだ。


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