july1 7月1日(土) 晴のち快晴 15080歩

No.2  カムイワッカの滝〜フレベの滝

・・・・・・・・・・ またまたタクシーと交渉 ・・・・・・・・・・

ここからのバス便は少なく、こちらの予定にはあまりにも合わないので、タクシーを使うことにする。またもや交渉係=Kurbisの出番。
駐車場に止まっているタクシーの運転手に聞くと、ここにいるのは、みんなお客がついていて待機中だからダメだと言う。どうしようかと困っていると、会社に電話して呼んであげると言うので、頼むことにする。次の目的地、知床自然センターまで2000円で交渉成立。

しばし待つと、タクシーが来て乗りこむ。乗ったとたんに運転手が親しげに話しかけてくる。田舎の運転手は人懐こくていいなと、気分よく話し始める。今晩は網走湖畔のホテルに泊まる予定で、網走刑務所と原生花園は是非いきたいが、その他にも何か見物があるかと聞いてみる。

すると運転手は、ここまで来たのなら是非見ていってほしいものがあるという。カムイワッカの滝がいい。それは昨日すでに、船から見たから、というと、今度は山から入って間近で見るのだ、という。自然を保護するために、近いうちにバスでしか行けなくなるから是非いくように。それから、網走はあさってにして、先にサロマ湖の方へ行ったほうが時間を有効に使えてお勧めだ、宿は手配してあげる、というのだ。

話しながらも、車はどんどん走り、ここが分かれ目だから早く決めろと言う。なんとなく胡散臭いかなと思いつつ、滝だけ見てもいい、後の事はもう少し先で決めてもいい、というので、とりあえず滝へ行ってもらう。すぐだと言っておきながら、かなり遠かった。それに、途中で、必ずキタキツネや鹿に会えると言う話だったが、行けども行けども乾いた砂利道ばかりで、車も人も動物もなにもいない。北海道は広いから距離感覚が違うのかな、それともお客を釣るためにそう言っただけなのか・・・ 昨日のタクシーはちょっと高すぎたので、二人とも疑心暗鬼になっていた。

・・・・・・・・・・ カムイワッカの滝 ・・・・・・・・・・

カムイワッカの滝
カムイワッカの滝は、本当によかった。船からは遠くに霞んでいてきれいだったが、巨大な岩の上を轟々と流れるところは迫力満点。しかも岩の上を歩いて昇って水を触ってみたら、ほんのりと暖かい。上流は、天然の露天風呂になっているのだそうだ。


貸しわらじ屋
「わらじ貸します!」
横の立て札には「注意!当地区内における物品などの販売を禁ずる」と 書いてある。貸すのはいいのかな?


車を路肩に止めている人たちは、水着に着替えてお風呂に入るために来ているのだそうだ。道端で貸しわらじの商売をしていた。快活で気さくな運転手は、面白おかしく説明してくれるので、だんだん断りづらくなってくる。乗せられたかな・・・

運転手さん!
このころは、まだちょっと信用しきれていなかったが、結局はすごくいい人だった、運転手さん!


知床大橋まで行くと、ここはもう行き止まり。車はこれ以上は入れないそうだ。絶壁に囲まれた谷間に大きな橋がかかっている。落ちるとまず命はないだろう。ここにも熊がよく出るそうだ。鹿や熊、キタキツネがいると言うから来たのに、前々姿を見せなかった。

・・・・・・・・・・ 交渉、交渉! ・・・・・・・・・・

来た道を戻りながらも、ここからどうするかの話し合い。
網走へ行ってしまうと後の時間がかなり無駄になりそうなので、運転手の提案を受け入れることにする。1時に乗って、サロマ湖へは6時ごろに付くというので、半日だから4万円前後かかりそうな雰囲気。ここで向こうの言いなりになっては、交渉係の立場がない!それに、甘い態度を示すと、観光客は鴨だ、と思われても癪である。なんとかしなくちゃ・・・

向こうが値段を言う前にと急いで、「15000円だったらいいね」と言ってみる。それはあまりにむちゃくちゃだが、相手は2000円の仕事で来たわけだし、ここで帰っても今日は多分、もう客はつかないだろう。この辺のタクシーは誰が乗るの?と聞くと、観光客とお年よりだけ、との答え。さもありなん。誰もかれも車を持っているのだから、必要ないのだ。で、こっちは強気。

15000円は無茶だけど、昨日は2時間半ぐらいで20000円も払ってしまったのでくやしい。25000円以上は出せないといってみると、案外、簡単に交渉成立!

コースは、カムイワッカの滝の次は、自然センターへ寄って、ウトロへ出る。そして原生花園も見てサロマ湖の宿まで・・・宿は運転手のお勧めのところを取ってもらうことに。

・・・・・・・・・・ 自然センター ・・・・・・・・・・

自然センター
人里離れた山の中にある施設。
レストラン、トイレ、電話、売店があるということは
大事なことなんだろうな・・・
コンビニや自販機が氾濫している都会とは違う


まずは、Rittyanのお目当ての知床自然センターへ。何年か前に来たときに、知床の自然を守るために寄付をしたそうだ。その印にセンターに名札が掲げられているのを、是非見たいというのだ。Kurbisも知床の自然に魅入られてしまったので、是非寄付して帰ることにする。

運転手を駐車場に残してセンターに入り、まず腹ごしらえ。待ち時間に料金がかからないと思えば気が大きくなる。すぐにこちらへ来るつもりだったのに、滝や橋の方へ連れて行かれてしまったので、お腹がぺこぺこ。すばらしい景色を見せてもらって、じゅうぶん満足しているくせに、「あの人が悪いんだ」、とわけのわからない理屈をこねながら、山海そばに舌鼓を打つ。

腹ごしらえが終わってやっと人心地がついてから、Rittyanのネームプレートを見に行く。広いホールの壁いっぱいに賛同者のネームプレートがかけてある。なんだかそれぞれの人の気持ちがこもっているような、オーラが漂っているような、リンとした空気の中で「あった、あった!」と感動するRittyanの声が反響していた。

・・・・・・・・・・ 知床の自然 ・・・・・・・・・・

滝へ行く道を見つけ、これは後で行くことにして、まずは受付に行ってKurbisも寄付を申し出る。
現在受けつけているのは、「100平方メートル運動の森・トラスト」というもの。昔、開拓のために壊してしまった自然を回復しようとする運動だ。一口五千円でこの運動に参加できる。知床の自然に心を奪われたKurbisは早速申し込む。自然は一度壊されると、再生するのに計り知れない時間がかかる。絶滅した動植物は取り返しがつかない。アマゾン川の流域の惨状を考えても、ここはどんなことがあっても死守してほしいものだ。先ほどの知床五湖やカムイワッカの滝なども、自然を守るために人間や車の侵入を制限しているのだ。

キタキツネが姿を見せなかったことを、運転手はかなり心配していた。人間が入りこんでむやみに餌を与えたので、狐は自分で餌を獲らないで人に頼るようになったという。そして、車が来ると道路に出てきて餌をねだる。かわいいのでつい餌を上げてしまう。という悪循環で、餌をもらえないで餓死したり、車に轢かれて死んだりする狐が続出したという。これだけ走って一匹も出てこないなんて・・・と運転手は本当に心配そうだった。
実は、とってもやさしくて、気さくな人でした。

・・・・・・・・・・ フレベの滝 ・・・・・・・・・・

最初のプランでは、ここでRittyanのネームプレートを見て、寄付をしてすぐにバスに乗らないと間に合わないはずだったのだが、急遽タクシーに乗ってしまったので時間の余裕ができた。

それではと、先ほど確認しておいたフレベの滝へ行くことにする。ちょうど運転手が二人を捜しに来たので、仲間に引っ張り込もうと、一緒に行こうと誘う。
ちょっと途中下車と言いながら、お昼を食べてネームプレートを見に行き、寄付をしたりしてずいぶん待たせてしまった。でもせっかくここまで来たんだから滝も見たい。車の運転ばかりじゃ運動不足でしょう、とか言いながら引っ張っていく。

足もとのU字谷
細い道を辿っていくと、山の中にいたはずがいつの間にかU字形の断崖絶壁の上に着いた。絶壁の上から見晴るかす広大な知床の海、立っている絶壁と向こうの絶壁の間には目もくらむような奈落が横たわっている。

右手に見えるのがフレベの滝
向こうの絶壁の上には小さな灯台、視線を移すと右前方に、レースのカーテンのように流れ落ちている滝が見える。「乙女の涙」というなんとも優雅な別名もある。


「フレベ」とはアイヌ語で「赤い水」という意味だそうだ。鉄分や硫黄を含んでいるんで赤いらしいが肉眼では透明に見える。上には川はない。この水は地下水なのだ。そういえば知床五湖にも川はなかった。大きな岩盤の上に地下水が涌き出てたまっているのだそうだ。湖自体が絶壁の上にあるのだから流れ込むべき川があるはずもない。考えてみると何て不思議な風景なんだろう。


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