コラム
「住宅エアコンメンテナンス」
エアコンは今の生活には必要不可欠なもの。平均して一家に2〜3台というのが平均的な設置台数らしい。取付に関しては自分の力で、という人も少なくないとは思うが、家電販売店や電気設備工事店におまかせ、というのが一般的だろう。
室内機、室外機の取付は標準取付(ガスの銅管、排水ホース及び室外機との連絡電線が壁に対して真後ろに抜ける取付)であれば素人でも見た目は同じ。エアコン本体に同梱されている取付説明書をみれば、見栄え良く設置する事ができる。強いてプロと素人の違いといえば、この室外機と室内機をつなぐ配管の化粧カバー取付の有無。住宅の外壁に、直線と斜線で描かれたスリムな化粧カバーのラインはプロでも目を見張るものがある。それは中には化粧カバーを取り付けない業者も多々あるのも事実。カバーの長さや種類、メーカーなどによって異なるが、取付工事費用の他に5千円から8千円近くの費用が見積に追加されるので、需要家が安価に押さえたい、という要望だった場合、勿論カバー無しのグルグル配管テープ巻き工事に早変わりするわけだ。まぁカバーとつけたところでエアコンとしての効率が変わるわけでもないし、贅沢なお金の使い方であるのには間違いない。
ここ十数年の住宅メーカーでは、業者の手間を省くため、家の美観を良くする為という理由で、エアコンの配管類を壁の中に埋め込んでしまう工事が目立つ。2階に取り付けた室内機の真後ろの壁には穴は無く、一階の床下からいきなり配管が飛び出し室外機とつながっている、という代物だ。各部屋に取り付けられたエアコンは全てこの工事で、室外機だけが一カ所にずらずらと並ぶ。ようは、お客様のニーズだけに答えたスッキリ住宅、という訳だ。壁に穴があく訳でもないし、2階の屋根の上に重い機械が乗る訳でもない。それに費用の掛かる化粧カバー代だって節約できる。まさに10人中10人が納得のいく取付け方、という訳だ。
しかし、だ。メンテナンスとしてはどうだろうか。エアコンというものはガスの流れる銅管というものが存在する。室外機から室内機に送られてくるガスはその銅管を通ってくるわけだ。ご存じの通り、エアコンを買った時は室内機、室外機は別梱包。よって途中の配管部でジョイントする必要がある。その銅管は、一定の強さでトルクを締め付けるのだが、施工するのは勿論、現場の人間。そうなると100%完璧に施工しました、なんてのはあり得なくなる。強すぎても弱すぎてもガス漏れの原因。エアコン故障の上位にあげられる程の症状なのである。
ではこのジョイント部からのガス漏れが生じたときはどうなるのだろうか。言わずとしれた欠陥、”エアコンから風は出るけど冷えない暖まらない”という事になる。工事店はクレームが立ち上がると同時に、銅管ジョイント部の補修、及び減ってしまったガスの補充をするわけだ。
ここまで聞くと「なぁんだ。無償で直してくれるんじゃないか」で話は終わってしまうのだが、ここでさっきの話。某住宅メーカーの埋込配管だったらどうなるの?って事になる。
実はこのジョイントガス漏れ欠陥。漏れている時は臭いも音もほとんどない。プシュー、と音が出ていれば、現場も人間もすぐにガスを止め、補修する事が出来る。しかしさっき述べたように、締め付けの強すぎ弱すぎのほんの誤差で”漏れ”が発生するため、音もかなり微妙。ガスが2〜3年かけて徐々に抜けていくのである。これが標準工事(壁に穴をあけて剥きだし配管工事)ならば修理は簡単。では埋込配管は?
実はリフォーム物件でエアコン修理の依頼を受けたのだが、症状がなんと”冷えない暖まらない”。配管の点検をしようと窓から顔を出して外壁を見てみると穴も配管も無し。いわゆる「埋込配管」である。ガス漏れ場所が壁の中ではありませんように、と神に祈るような気持ちで調べてみると、やはり壁の中。最悪の結果である。
結局、クロス(壁紙)と石膏ボードを剥ぎ取り、まさに大リフォーム。エアコンの配管を修復し終えたと同時に、大工とクロス屋が着工。たかが1室のエアコンの修理で数人の職人が呼び出されたのである。
結局、お客様に渡った請求額は数万円強。下手すると新規エアコンが1台買えてしまう金額にまで跳ね上がった。
あくまで可能性のさほど高くない事例ではあるが、これはエアコンだけにあらず。あらゆる電気工事、設備工事に関して発生する重要な問題なのである。住宅の美観をとるかサービスマンのメンテナンスを考えるか。中古物件を買う場合、また大手住宅メーカーで家を建てる場合の、1つの観点として考えてもらえれば幸いだ。