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ジョン・ガードナー
(98/04/08)
イングランドの作家。シャーロック・ホームズのパロディや、イアン・フレミング後のボンドものを書いたりしている器用な作家。かと思えば、以下のハービー・クルーガー
シリーズのような重厚なスパイ小説をも書く。
・裏切りのノストラダムス(1979 東京創元社)
ロンドン塔で1941年に夫を処刑されたと、ドイツ女性が現れた。処刑の事実はなかったが、ハービー・クルーガーが過去の記録を探すうちに、WWU末期のノストラダムスの予言を利用したSS内での秘密作戦が浮かび上がってきた。
78年と41年を交互に描きながら、意外な結末に持ち込まれる。500ページを超す大作。
・ベルリン 二つの貌(1980 東京創元社)
ハービー・クルーガーの好敵手だったKGB将校が東ベルリンで病死した。だが、その死体に首がなかったとのうわさが…。おりもおり、この将校の副官がハービーを名指しで亡命してくる。しかも、極秘のはずのハービーが東ドイツに残した諜報網を知っていた。ハービーは指揮官として、ベルリンへ乗り込んでいく。
どんでん返しの繰り返しで700ページの大作でもある。ハービーシリーズ3部作の第2弾。
・沈黙の犬たち(1982 東京創元社)
長年にわたるシンパで、KGB最高幹部の一人にまで昇進したスパイを脱出させることになった。逆スパイの疑いをかけられ、日陰者同然だったハービーに起死回生のチャンスが。
英国海外情報部とKGBの騙しあいを中心に、中年スパイに活躍をえがいたシリーズ完結作。
・マエストロ(1993 東京創元社)
世界屈指のオーケストラ指揮者でありながら、ナチやKGBとの関係を噂されるルイス・パッサウ。彼がコンサート直後に襲われた。そばにいたハービー・クルーガーとともに窮地を脱したパッサウが一切の過去を告白するうちに次々と意外な事実が…。
華麗なるパッサウの一代記が素晴らしい。1300ページ近い超大作だが、まったく長く感じさせない。ぜひ読んでほしい作品(おいらの一押し)だが、上記ハービー3部作を順に読んでからにして欲しい。
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ジョン・グリシャム(98/04/16)
ミシシッピ-州出身のの作家。刑事事件専門の弁護士で、元州下院議員。作品は全て弁護士の絡むサスペンス。出す作品全てがベストセラーになる、読み物界のスーパースター。読者に損をさせない作家といえる。
・評決のとき(1989 新潮社)
人種差別の色濃く残るアメリカ南部の街クラントンで、二人の白人青年が十歳の黒人少女をレイプする事件が起きた。犯人はすぐ逮捕されるが、少女の父親は裁判所で犯人を射殺する。若き凄腕の弁護士が彼の弁護を引き受けるのだが…。
人種問題、法廷での駆け引き、KKKによる脅迫など、様々な起伏が用意されており、長編を長く感じさせない。
・法律事務所(1991 新潮社)
ハーバードのロースクールを優秀な成績で卒業したミッチ・マクディーア。八万ドルの年棒、BMWの無料貸与や低金利住宅ローンにひかれ、メンフィスの小さな法律事務所に勤める。だが、仕事が軌道に乗るにつれ、いくつもの不審な事実が…。
非常にスピーディに話を進め、読者を引き込んでいく。後半の展開は迫力満点である。読み出したら、やめられないだろう。
・ペリカン文書(1992 新潮社)
わずか2時間の間に二人の最高裁判事が殺害される。FBIもお手上げの事件の謎を、ロースクールの美人女子大生の書いた事件の摘要書<ペリカン文書>があぶりだしていく。その彼女に危機が…。
政界とその周辺にいる人物を絡めて、話を複雑でドラマチックなものにしている。
・依頼人(1993 新潮社)
十一歳のマークが野原で自殺しようとする男に出くわす。男はある秘密を打ち明け、目の前でピストル自殺を遂げてしまう。FBIはその秘密を知りたがるが、マフィアの報復が怖く、教える気にならない。思い余ったマークは、女弁護士レジーに助けを求める。
十一歳の少年と五十二歳の女性弁護士のコンビが絶妙に描かれている。
・処刑室(1994 新潮社)
シカゴの大手法律事務所に勤める駆け出し弁護士ホールが、処刑日まで4週間しか残されていない死刑囚の弁護を買って出る。爆弾事件で幼いユダヤ人の双子を殺した死刑囚は、実はホールの祖父なのである。ホールはあらゆる手を使って、祖父の命を救うべく、奔走するが…。
死刑制度を小説のテーマにした、様々なエピソードをたっぷり詰め込んだ作品である。
・原告側弁護人(1995 新潮社)
不況で就職先の見つからない新人弁護士ルーディー。その彼が、難癖をつけて骨髄移植への保険金支払いを拒否しつづける巨大な保険会社を訴える。彼に、勝ち目はあるのか?
サスペンス色は薄くなっているが、一種の深みのある青春小説に仕上がっている。
・陪審評決(1996 新潮社)
肺癌で夫をなくした女性が、その責任を問う裁判をタバコ会社を相手に起こす。同時に、原告側、被告側双方の陪審員への働きかけが水面下で熾烈に展開される。この中に正体のつかめない男が。この男のねらいは?
大々的にタバコ訴訟の内幕を暴いた問題作
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スコット・トゥロー(98/04/29)
シカゴ生まれ。スタンフォード大学大学院の文芸創作課程修了後、同大学で講師をするが、その後、ハーバード大学ロー・スクールへ。検事補、弁護士へと転身している。弁理士稼業の合間に書かれた「推定無罪」が大ヒットし、一躍注目されるようになった。どの作品も、ひねりの効いた結末が用意されている。
・推定無罪(1987 文藝春秋)
語り手は、地方検事局主席検事補サビッチ。その同僚の女性検事補の強姦殺人事件を手がけるが、上司の地方検事が代わり、サビッチの仕事も新任検事補が引き継ぐ。そして、容疑者として起訴したのがサビッチであった。
検事局内の勢力争いからハイライトの法廷場面まで、プロットが実によく練り上げられている。ストーリーがぐいぐい展開し、最後に大どんでん返しが待っている。
・立証責任(1990 文藝春秋)
「推定無罪」でサビッチの弁護士を勤めたスターンが主役。妻が自殺し、義弟には検察の捜査の手が。恵まれた生活を送っていたスターンの環境が一変していく。
様々な疑惑に、スターンと女性の色模様が絡み合って話が進んでいく。巧みな展開で、解決のひねりまで持って行かれる。
・有罪答弁(1993 文藝春秋)
560万ドルとともに消えたパートナーの行方を追う、元警官の中年弁護士。調査を進めるうちに、事務所内外の以外の事実が次々とあらわれていく。
したいがあらわれるサスペンスフルなシーンや、警官との鬼ごっこのスリルなど、娯楽的要素を盛り込みんだ、作風を一風変えた作品になっている。
・われらが父たちの掟(1996 文藝春秋)
「有罪答弁」に登場した女性検事、今は裁判官のソニーと25年前に西海岸で同棲していたセスを中心に描かれている。ソニーが指揮する訴訟は、彼女の知り合いで25年は反体制運動を率いた、現在は州上院議員の前妻が殺人事件。容疑者はその息子。その弁護にあたるのも旧知の仲で、セスの友人。事件の真相が明らかになるとともに、それぞれの25年があぶりだされていく。
アメリカの変革と激動の60年代にこだわった、問題作である。
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トム・クランシー
(98/05/11)
ボルチモア生まれ。ロヨラ・カレッジで国語を専攻して卒業。その後保険業に携わる。本の虫で、軍事テクノロジーに強く、趣味は射撃。
初期の作品は、インパクトも強く、評価は高いが、新しくなるにつれ、スケールは大きくなるが評価がさがていくのが気になるところだが。
・レッド・オクトーバーを追え(1984 文藝春秋)
ソ連の新鋭原子力潜水艦「レッド・オクトーバー」の艦長が、処女航海途中でアメリカに亡命を図る。それを追うソ連海軍と、艦を入手しようとする米英両国の海中での戦いが始まる。
海軍関係の専門書の出版社から出たこともあり、潜水艦等の描写は克明である。現代戦の心理を見事に描いている。
・レッド・ストーム作戦発動(1986 文藝春秋)
ペルシャ湾岸の油田の奪取をもくろむソ連が、その前段階として西欧諸国に進行する。当初は、順調に各地の占領が進むが、やがてNATO軍も反攻、新鋭の兵器を駆使した現代戦が展開していく。
スケールが非常に大きく、また、非常な大作であるが、最後まで飽きさせることのない作品に仕上がっている。
・愛国者のゲーム(1987 文藝春秋)
かつて海軍兵学校教官だった、「レッド・オクトーバー」事件で活躍したCIAアナリスト、ジャック・ライアン。ロンドンでの休暇中、IRAのテロに遭遇し、英国皇太子夫妻を救う。しかし、帰国した彼らの家族に、報復の手が…。
ハイテクではなく、人間を主人公にすることも可能であることを示した大作である。
・クレムリンの枢機卿(1988 文藝春秋)
スター・ウォーズ時代をめざす兵器開発の中、クレムリンに潜む大物スパイ「枢機卿」が危機に陥る。CIAアナリスト、ジャック・ライアンは、一か八かの救出に向かう。
諜報と防諜、ソ連共産党の権力闘争等、壮大なスケールでクライマックスに向かっていく。
・いま、そこにある危機(1989 文藝春秋)
アメリカ全土をむしばむ麻薬カルテルに打撃を与えるべく、秘密作戦が遂行される。滑り出しは順調だが、筋書きが徐々に狂い出していく。CIA情報担当副長官代行ジャック・ライアンは作戦半ばに見捨てられた兵士たちを救出すべく、行動を開始する。
ホワイトハウスと麻薬カルテルとの対決に、様々な人物を絡め、話を盛り上げていく。
・恐怖の総和(1991 文藝春秋)
中東和平実現に向けて行動するCIA長官ジャック・ライアン。そんな中、存在意義を失うテロリストが核テロを実行する。再び米ソの対立を招き、危機が生ずる…。
ますます、スケールが大きくなっていく。核製造や、爆発シーンは迫力を感じさせる。
・容赦なく(1993 新潮社)
一瞬にして家族を失い、抜け殻と架していた元SEAL隊員ジョン・ケリー。その彼が、麻薬組織を潰しに、また、北ベトナムへ、捕虜救出に向かう。
ケリーが正義の鉄槌を下す仕置き人として活躍する、勧善懲悪作品になっている。
・日米開戦(1994 新潮社)
日本経済に大打撃を与えた貿易法をきっかけに日本はアメリカにマリアナ諸島の占領、ウォール街の混乱をもたらす。大統領補佐官ジャック・ライアンは祖国の危機に臨んでいく。
経済問題を明確に打ち出し、日米の対立点を浮かび上がらせる作品である。
・合衆国崩壊(1996 新潮社)
合衆国首脳が壊滅した惨事の後、大統領に就任したジャック・ライアン。その彼に、前副大統領による攻撃、中国の野心、イスラム連合による生物兵器テロが。国家存亡の危機に、ライアンは策を練っていく。
大統領にまでなったライアン。この作品で、クランシーの描くアメリカ像が浮かんでくる。
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ボブ・ラングレー
(98/05/25)
イングランド・ニューカッスル生まれ。兵役後、アメリカで農林業を体験、帰国後、地方テレビ局の台本作家、キャスターを務める。
40代になり、小説に手を染めるが骨格のしっかりした本格的の冒険小説を多数書きつづけている。
・北壁の死闘(1980 東京創元社)
第2次世界大戦末期、原子爆弾の開発をめぐってナチスが精鋭クライマーを集めた奇策。追い詰められたクライマーたちのアイガー北壁での壮絶な死闘を描く。
ジャック・ヒギンズもが折り紙をつけた冒険小説。北壁に挑むシーンは印象的である。
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スチュアート・ウッズ
(98/05/25)
ジョージア州マンチェスター生まれ。大学卒業後、空軍のパイロット、コピーライター等を経て執筆活動へ。大統領選に関係したりした後、「警察署長」の発表にいたる。作風はバラエティーに富んでいる。
・警察署長(1981 早川書房)
1920年、ジョージア州の田舎町デラノで少年が殺害される。初代警察署長ウィル・ヘンリー・リーは、事件を解決できぬまま、思わぬ事件に巻き込まれる。1946年に署長に抜擢されたサニー・バッツも犯人の逮捕をあせり、犯人のわなにはまる。62年に就任した初野黒人署長は、その事件に挑んでいく。
3人の署長を中心に南部の町の変遷を描いていく。地方政治や人種問題をも絡めた、40数年にわたる大河小説である。
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トマス・ハリス(98/06/10)
テネシー州生まれ。テキサス州ベイラー大学卒業後、地元で政治記者に。その実績でAP通信社に招聘され、デスクに昇進。小説を書くために退社する。
非常に寡作の作家で、長編は3作。全てサスペンス物で映画化されている。
・ブラック サンデー(1975 新潮社)
スーパー・ボウルの行われる競技場を大統領もろとも爆破する…パレスチナ・ゲリラ「黒い9月」が無差別テロ計画を立てる。情報をキャッチしたイスラエルのモサド、アメリカのFBIは、これに立ち向かっていくが…。
話のスケールが大きく、人物描写が優れている。また、国際情勢等の調査が緻密であり、迫力はフォーサイス級といえる。非常にスピーディーで手に汗を握らされる。
・レッド・ドラゴン(1981 早川書房)
満月の夜に一家を惨殺する事件が相次ぐ。その殺人者に、かつて異常殺人の捜査で目覚しい業績をあげた元FBI捜査官グレアムが挑戦していく。
殺人犯の生い立ちから背景が明らかにされ、後半はグレアムの対決、とサスペンスが盛り上がっていく。次作「羊たちの沈黙」にも登場するレクター博士もアドバイザーとして登場する。
・羊たちの沈黙(1988 新潮社)
若い女性を殺してその皮膚を剥ぎ取る連続殺人犯「バッファロウ・ビル」。手詰まりになったFBIは、事態をを打開すべく、女性訓練生スターリングを患者9人を殺害して収監されているレクター博士にもとに向かわせる。
さまざまな役者を取り揃え、見事に書き上げている。肝心の「バッファロウ・ビル」の影が薄くなるほどだが、その殺人の動機には最後に驚かされる。
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