オーナー:かがみさん    
試乗or同乗:試乗


ポルシェ・勝手にインプレッション

964turboは最後のシングルターボ搭載のポルシェである。

以前RX-7(FC)を所有していたがこちらもシングルターボ。
後継のRX-7(FD)になるとツインターボ化してしまい、こちらも試乗した事があるが。
明らかに乗りやすく速くなったFDに対しFCはパワーの出方がピーキーであり明らかに遅く難しかった。
しかし私はFCのシングルターボの方が圧倒的に好きであった。

964turboはハードランしたわけではなく短い試乗で語りつくせる車とは到底思っていないがやはり同種の特徴があると感じ取れた。

試乗させて頂いたのはかがみさんの964turbo。
5速である。

5速といっても964までのturboは直線番長的な味付けであると思う。
ギア比は最高速を狙ったものであり日本の公道を制限速度で走る分には明らかにギア比が合っていない。
この10分あまりの短い試乗でも3速を無理やり入れたという感じ。
2速で150kmまで問題なくでるセッティングなのだ。

下の3000回転まではブーストはかかっていない印象。
トルク感もない。
しかし3000回転を越えた辺りから急にブーストがかかる。
シートに体が押し付けられるイメージ。
まさにドッカンターボなのである。
馬力的には3.3Lモデルで320ps、3.6Lモデルでも360psであるから、997のcarreraと大した差はなくなっている。
しかし体感速度はものすごく速い。

まず思ったのが。
これではコーナーリング中にブーストがかかると制御は難しそう。
この車で速くコーナーを駆け抜けるには、4000回転以上をキープし続け、コーナーリング中は決してアクセルを抜いてはいけない。
抜いた瞬間、スピンアウトは目に見える。
300ps以上の馬力をもつRRレイアウトのターボ車をアクセル開度とステアリング操作でねじ伏せる。
これがもし自在にこなせるならその人間は相当のドラテクを持っているといえる。
私にはそのような車を所有した経験がなかったのでこれは乗りこなすには相当の時間と練習が必要だと思った。

しかし、私はこのネガティブともとれる特性がスポーツカーには必要な要素だと考えている。
扱いが難しくテクニックを要求される。
そしてシングルターボの演出ともとれるドラマチックな加速感。
そして964の誰が見てもポルシェと分かるフロッグアイの伝統的なエクステリア。

ギア比が合ってなくてもいいじゃないか(笑)
これぞポルシェ!車に人が合わせる最後のturboだ。

未だに人気のモデルであるから価格も高価であるし、新車価格1800万オーバーのモデル故にパーツ代をはじめとした維持費も男らしい事だろう。
それだけに誰もが買える車ではないと思うがこの車は人生をドラマチックにしてくれるに違いない。