オーナー:EVOさん    
試乗or同乗:同乗


ポルシェ・勝手にインプレッション

993は空冷モデルの最後のポルシェ。
水冷ポルシェにない軽さとコンパクトさが相まって現代でも十分に通用するスペックである。
しかしこのポルシェはただの993ではない。
2駆のRRをベースにワイド化し、エンジンをボアアップしターボで武装したGT2。
これを更にアイメックに持ち込み600PSにし更なる軽量化により車重は1200kg程にダイエット。
ロールバー等を全面に張り巡らせ剛性をアップさせた。
ただでさえ速いGT2をこのように全面的に改造するとどうなるのか??

もしかしたらアスピテーラインのがけ下に転落して人生が終わるのではないか??

口にこそしなかったがこのモデルで全開することが命がけであることはかもしだすオーラからそのような不吉な予感がビシビシ感じ取れたのである。
あまりに高価であるし次元の違う扱いづらさを感じ取り試乗などはなから頼むつもりはなかったが同乗をなんとかお願い、快諾していただいた。

走りだすなりこの車がその辺を走るポルシェとは別次元の乗り物であることに嫌でも気がつく。
ギャップ、段差。
全てが情報として足回りを通じステアリングに伝わっているはず。
しかしボディ剛性が上がりすぎているからか。
足だけから不快な振動が伝わるスポーツ風の車とは違う。
ボディ全体を使い金庫のようなポルシェはことのほか、しなやかにワインディングを抜けるのである。
コーナーを流すもワイドすぎるタイヤと煮詰められた足回りがまったく狙ったところを外さない。
吸いつくように。
どこまでもこの車はしなやかだ。

しかし少し前が空いた直線で最大1.5に及ぶブーストを少しかけた瞬間。
ゴツゴツとした上下動を繰り返し一瞬景色が揺らぐ。
そう、この馬力を後輪駆動で全て路面に叩きつける事など不可能なのである。
ワイドトレッドも悲しく、後輪は3000kmしかタイヤがもたないのだという(・∀・;)
ちなみにバナナウイングが一番ダウンフォースを得られるのが体感できるそうである。
軽く300km超の世界にいざなってくれる車両。
カナード。
ウイング。
フェンダー。
ロールケージ。
全てに意味がありその結果この過激なルックスなのである。

ワインディングを抜けて多少慣れたと油断した時。
前方がガラ空きの直線でフルブーストが突如牙をむく。

あ、ああああああああああああああ!!!!

危険だ!死んでしまう!

3速で空転しながら加速していくそれはもはやワープに他ならない。
後から聞いてみるとフルブーストだと思っていたがブーコンによりまだまだ鋭い加速が可能だそうだ(´ヘ`;)

モデナも。
カレラGTも。
ムルシーも。
F50も。

サーキットでこの車についてはこれない。
もはや現実味がない。
一言で言って私は最高峰のポルシェに乗ってしまった気がする。
速さに限って言えばこれ以上は重い水冷モデルでは不可能だろう。

本気のポルシェ。
一言で言うならそういう言葉が似合う車だが車両の購入費はもちろんのこと、維持費、改造費全てを含め。
この車のオーナーになれるお方はほんの一握りだろう。
スペシャルな体験でした…